第81話
トゥリ、ボルテ、トルン、ジュチ、ジビィ、ラム、カイシュ、サガン スラムの子達を全員集めて
「お前達あのおじいさん達のこと話さないとダメじゃないか」
「俺達自分達の家が出来るって思ったらそんなことすこーんと忘れてたんだよ」
確かに10歳の子供達に他人の生活のことを考えろと言っても無理な話だ
「後俺に話しておくことはないか?」
「う〜ん、わかんない」
まだまだ何か起こりそうな気がしないでもないが、その都度解決していくしかないか
「今回はこれから毎日炊き出しを用意することで落ち着いたから用意してくれるテレサとロッテとタリムさんにお礼を言っておいてくれ、それで今回は良しだ」
「わかった」
「でどうだ、ここでの暮らしは」
「毎日が天国だよ、前までは1日働いてもご飯食べられるとは限らなかったからね」
「パン作り以外でお前たち働いてたのか?」
「うん、入ってくる人達にタオル渡して疲れてるなら汗拭いてって言ったり井戸の水を渡して代わりにご飯もらうんだけど、こんな汚いとタオル使えるかって言われたりくれない人も居たりして」
なんだ、その仕事、東南アジアとかで車の窓を勝手に拭いてお金要求するようなやり方じゃないか
「よく今まで生きてこれたな」
「たまにブキャナンさんが来てご飯くれたり、奴隷に誘ってくれたりしたんだよ」
ブキャナンさんってこうゆう場所で奴隷の確保してたのか、通りでいつ行っても人が途切れないわけだ、俺がここでこいつらの保護をすると商売仇になったりするのかな
「お前達は奴隷になることに抵抗はないのか?」
「だって奴隷になればご飯は食べられるでしょ?前まではなりたかったけど今はなりたくないかな」
「それはなんでだ?ご飯食べられるのは一緒だろ」
「だってここに居ると楽しいんだよ、テレサもロッテも優しいし、奴隷になって買われた先がここより楽しいとは限らないだろ?」
奴隷になって楽しいって感じることはないだろうな
「楽しんでくれてるなら良かったけどちゃんと働けよ」
「うん、テレサが言ってたんだ、にいちゃん口ではきついこと言ったりするけど甘々だって」
確かに甘やかしている気がしないでもない、奴隷が喜ぶためにお土産買ってきたりして、最近は手ぶらで帰るとシルキーとフレイヤは文句言ってしばらく口聞いてくれなくなる、もうあの2人は売っ払っちゃおう
「頑張っている者に報いるのは当然のことだ、努力は無駄にはならないぞ、それよりお腹が空いたな、俺も朝飯食って行こうかな」
「俺らはもう食っちゃったけど、まだ残ってる物あるかもね」
俺スポンサーなんだけど、なんで残り物なんだろ、理不尽な場所だな、でも残り物があるかないかわからないぐらいたくさん食べたってことか
「ロッテ、まだ朝ご飯残ってる?俺も食べたいんだけど」
「パンとスープならすぐに出せますけど、足りなければ何か作りますよ」
「いや、それでいいよ」
朝は軽くていいさ、ヨーグルトだけで済ますこともある、出してもらうとパンをスープに浸して胃に流し込む、するとそのまま残っていたテレサが
「ご主人様、そんな食べ方するのお行儀悪いですよ、子供達の見本になって欲しいです」
「はい 気をつけます、それより食堂はどうだ?白米は受け入れられてるか?」
「実は残す人も居ます、パンに代えてくれと言われることもありますね」
「代えてくれって言われてどうしてるんだ?」
「特に指示がなかったですが、こちらのパンなら出してもいいかと思いまして、私の判断で替えてます」
テレサも人が悪い、孤児院で出すパンは日本で作ってるパンと同じでバターと牛乳と塩入りだ、こっちのまずいパンなんて買ってこないとないだろう、原価的には自家製のうまいパンと買ってきたまずいパンと同じぐらいだ
「日本のパンではなくて?」
「折角ご主人様が決めた白米に文句言う人たちにそんなパン出すなんてありまえませんよ」
見事なテレサ、嫌がるだろうけど頭を撫でてやろう
「もう一品増やすことは可能か?」
「3人で作ってますし、他の方々も慣れてきましたから可能です」
「なら次はクレージーブルの肉を使ったハンバーグにしよう、付け合わせはうちの自家製のパンだ、焼肉丼と唐揚げ定食の白米をパンに替えろって言ってきたやつはこっちのパンを出せ、ハンバーグの値段は銅貨20枚にする、多少手間が掛かるからな」
「かしこまりました、ハンバーグは子供達にも好評なので人気が出ると思います」
「余りお客さんが殺到するなら数量限定でもいいぞ、孤児院の運営費ぐらいの利益が出れば大丈夫だ、その分こんびにで稼げているからな」
「シルキーもフレイヤも昼は必ずここで食べに来ますよ」
「あいつらもテレサが居なくて寂しいんだろ」
「ただ心配なのはオクタはこっちには顔出さないのです、うまくいってないのでしょうか」
「わかった、それはこちらでなんとかしてみる」
「お願い致します」
古参と新参がうまくいかないのはありえる話ではないからな、同じ仲間だから出来ればうまくやっていって欲しいものだ。
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