第4話

階段を上り、上の部屋に入ると、既にリリムが待っていた


「遅いよー、何時間待ってたと思ってるの?お兄ちゃんが早く来ると思って、気合を入れてお花売ってきたのよ、待たされた分お土産期待してもいい?」


容赦のない言葉を掛けられ、言い訳をした


「思ったより荷物が多く運ぶの大変だったんだよ」


両手に提げたレジ袋を上に掲げて見せる


「その透明な袋は何?カウンターにバッグ置いてあるんだけど使わなかったの?」


「そんな古びたバッグなんかに荷物入れたら底が抜けるだろ、まだレジ袋のほうが信用がある、ビニールはこっちにはない材質なのか、石油加工商品だから石油が出ないのかな」


「よくわからないんだけどそのレジ袋よりこのバッグのほうが凄いと思うよ、底なんてないんだもん、抜けるわけないよ」


そんなバカなとバッグを手に取り、バッグに手を入れてみる、確かに底はない、何ていうかいつまで手を伸ばしても空洞のままだ、確実に手の長さを超えている。


これはもしや、異世界では定番の


「これマジックバッグだったのか、こんないい物があるなら朝の内に教えてくれよ」


「知らなかったの?目の前にあったけど?おばあちゃんが大事にしてたのに」


そんなの教えられでもしない限りわかる訳がない、こんな汚いバッグがそんな貴重物だなんて、数年間放置してたのだから、汚くなっていても不思議ではないか


想像すらしてなかった、そんな大事な物を鍵もかけてない、お店のカウンターに置き去りになど普通するものか盗まれてしまってもおかしくはないだろう


「よく無事にずっと置いてあったな、取られでもしたら大損だ」


リリムは何を当たり前のことをと言った目でこちらを見て


「登録済みのマジッグバッグなんて家族しか使えないし、盗んだのがばれたら、手がなくなるよ」


こちらの刑罰はかなり重いらしい、盗んだだけで手がなくなるのではスリなんかは商売にならないだろう。


「で、何持って来てくれたの?」


リリムの興味があるのは俺が持ってきた袋の中身に推移していたようだ。


「色々持ってきたから見てくれ」


砂糖、塩、胡椒、マッチ、缶詰、缶ビールと並べていった、見慣れない包装に聞きたくてしょうがない顔をしている


「これはマッチだ、まぁ火を付ける道具だな、これがあればわざわざ火を起こす必要がなくなる」


「そんなの魔法でいつでも付けれるし、要らないよ着火!」


そう言うと指先に小さな火が灯る、魔法なんて完全に予想外


「ほらっえ〜と、魔法使えない人用だ」


「ふ〜ん、私は見たことないけど、そんな人が居たら必要かもね、私は見たことないけどね」


何故2回も言う、段々とわかってきたがこの子は思ったことをなんでも言う、日本人の美徳である遠慮がない。


「じゃあ次いくぞ、次 これは缶詰だ、これがあればいつまでも食料が保存できるぞ、便利だろ?」


「マジックバッグに入れておけば、食料なんて劣化しないよね?各家庭に1袋はあると思うけど」


「でもマジックバッグは高価な物だろう?買えない人とかも、、、」


反論しても正直自信はなかった、また言い返されるかもだ


「そうだね、銀貨3枚はするから、浮浪者だと持ってないかもね」


あっそうなんだ、銀貨3枚の価値は不明だが、浮浪者以外は持っているレベルなんだな、なんか出すのが馬鹿馬鹿しくなってきた。


「ねぇねぇ、この白いのは何?」


「あぁ砂糖と塩だよ、どうせこれも見慣れた物で珍しくもないんだろ?」


用意したのは砂糖と塩、両方とも1キロづつだ


「こんなにたくさんの砂糖と塩なんて見たことないよ、うちにあるのはこんなだよ、小瓶でね」


親指と人差し指で広げた間は厚さにすると5センチ程度恐らく30グラムほどだろう、予想だが


「そうかそうか、ならこれは価値があるものなんだな、もしかしてここに置いたら売れたりする?」


マッチや缶詰が完全に目論見が外れた為、塩で採算を取らないと経費が回収できない


「うん、でも国から免許のある人しか扱えないから、お兄ちゃんがこんなに大量に持ってるの人に見られたら捕まるね」


価値がありすぎるのも問題らしい、恐らく専売でかなりの税金が掛けられているのだろう、扱いに苦労する、リサーチをせずに物を用意しても良いことはない


この分だと2万円は露と消えそうだ。

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