第10話

グラスを受け取り、ネット環境も整えた、後は時間が有る時に仕入ルートの確立だが、なんでも米本に頼めばなんとかなりそうだ本人が知らない間にかなり依存しているが、矢張り持つべきものは友達だな。


米本には感謝しかない、今度缶コーヒーでも奢ってあげよう、まだ借金の返済の目処しか立ってないため余分なお金はかけられない。


マジックバッグに荷物を全部入れてドアを開ける、1番先に向かう先は商人ギルドに商品を買い取ってもらおう。道はもう覚えたので迷わず行くことが出来た。


「こんにちは、ヒルダ様お手隙ですか?」


「ヒルダ様?また犠牲者が出たんだね、あの子にも困ったものだよ」


受付に居たのは40代の中年男性


「私は当ギルドを任されている、ライトだ、ヒルダは事務所で書類仕事しているから、すぐに呼んでくるよ、それとヒルダのことはヒルダで構わんよ、すぐにマウントを取って相手を下に見るのは悪い癖だ、同等でいいのに」


「アハハ」


苦笑いしか出ない、交渉ごとで相手の下手に出るのは日本人だけかもな、確かに物を売る際に"買ってもらってる"と"対価との交換"だと雲泥の差だこちらの世界では商人の立場が強いのかも知れん。


"お客様は神様だ"とほざくユーザーに言ってやりたい。


「お待たせしました、3日ぶりですね、本日は延滞費をお支払いいただくと、期限までまだだいぶありますが、全額ご用意できたのですか?」


「はい、なんとかかき集めることができました、まずは集めてきた商品の査定をお願いします。」


そう言ってグラスを1つ取り出した、グラスは全部で1万個用意した、全部渡すかどうかは査定額次第だろう。


「ほう、これならば銅貨35枚でいかがでしょうか」


ならこれを1600個出せば充分賄える。


「それではこれを1600個で支払います。余った分は銀貨で」


「それでは足りません、支払額は金貨5枚半です、あくまでも1個なら銅貨35枚ですが、そこまで大量に買い取れば相場が崩れてしまいます。良くて銅貨30枚ですね」


中々優位に立てない、こちらとしてはこっちの世界の相場がわかってないこともあり、素直に肯くしかないか


「なら2千個でお願いします。」


ヒルダは驚いた顔をしたが頷いた。これでやっと借金返済後は利益を生むために商品を売りまくるのみだ、契約書を受け取り、お店を立ち去ろうとしたら、ヒルダが


「ナオト君、今後の為に私から一言申し上げたいことが商品を査定するに当たり、相手の言い値で売らないほうがいいですよ、本来ならこのような商品は銅貨50枚でも安いぐらいなのです、あなたはもう少し交渉方法を勉強したほうがいいです」


(やられた、完全に騙された。)


「騙されたって顔してますね、物には定価と言うものはないのです、お互いが合意した金額が物価なのですよ」


確かに日本でも場所によって同じものでも値段が違う、コンビニで150円で売ってるジュースでも、スーパーであれば100円で売っている、前途多難と言える。


「そこで当ギルドでは、新人経営者に向けて、助言を与えると為に、コンサルタント契約があります。規模によって価格は違いますが、ナオト君の店なら年間に銀貨30枚で出来ますが、如何しますか?」


30万円か、日本でのコンサルタント料に比べると随分と良心的だ、ただその分内容が伴わなければドブに捨てることにもなりかねない、詳しく聞く必要がある。


「具体的な内容を教えてもいただいていいですか?

契約だけして、大したことない助言なら、、、」


こちらがまだ話していたが、ヒルダは手で制した


「売価の相談、他ギルドへの仲介、経費相談と多岐にわかってサポートさせて戴きます。」


迷うところだな、また手玉に取られるのも癪に触る、どちらとも言えない顔をしてると


「本来なら先に頂くのですが、半年間で区切ってもいいですよ」


試しに頼んでみよう


「それではよろしくお願いします。グラスを80個渡します差額は銅貨でもらってもいいですか?」


もらった銀貨は25枚ある、計算がおかしい、ホントなら銀貨9枚


「そんな不思議そうな顔しなくても大丈夫ですよ

それが本来の買取価格なんですから、今度からは私がサポートしていきますから安心してください、悪徳業者からも守ります」


(悪徳業者はあんただよ、ぼったくりドS女め)


「そんなにこちらを見つめると恥ずかしいです、惚れちゃいました?」


どこに惚れる要素があるんだよ、自意識過剰にもほどがある。綺麗だけど


「冗談はこれぐらいで、用意した商品の売価決めていきましょう、ばんばん売ってばんばん税金納めましょうね」


テンションの上がらない呼びかけだな、税金のことよりも収益を上げることを考えよう。

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