第50話
「鷲見さんはお酒お好きですか?」
「毎日少量でも口にはしますね」
鷲見さんの居た場所には空の紙コップが多数あった、それ絶対に少量しか飲まない奴の飲み方じゃないぞ
「そうですか、つまみとかお勧めあります?私は余り飲まないですが、酒のつまみは好きなので」
「そうゆう方多いですよね、酒のつまみってわざと濃く作られてるのではっきりした味が好みの方だとそうなりますね」
そんな理由いちいち考えたことなかったな、親父が酒飲みでいつもみんなでの食事の前に飲んでてお腹を空かせた俺がつまみ食いしてる内に好きになっただけ
確かに濃い味が多いかも、冷奴とかもつまみとしてあるけど、貝の煮付けとかおでんとかのほうが好きだな
「今日のつまみはどうですか?合格点もらえますか?」
「おでんがおいしいです、牛スジが煮込んであっても脂がくどくなくて」
意見が分かれるな、前回と調理法を変えてるのがいいと思う、確かに前の牛肉炒めは少しくどかったからな
「明日に響かない程度に飲んでくださいね、でも明日鷲見さんは遅番でしたね」
「大丈夫ですよ、二日酔いなんて経験したことないですから、どんだけ飲んでも次の日には元気です」
頼もしいな、明日の出勤は12時からだからまず問題はないだろう、昼出勤で遅刻なんてありえないからな、
牛木さんは自分の身の回りに料理の皿が大量にあった、空の紙コップも、この人豪快だなー、たくさん食べる女の人っていいな、見ていて気持ちいい
「料理は気に入って頂いてるようでなによりですね」
「私普段小食なんですが、美味しくてつい食べすぎちゃいますね、特にこの唐揚げなんて美味しすぎます」
滅多に入手できない食材だからね、その大量に確保してあるもの見たら小食なんですなんて言葉信じるわけはない
「ご満足いただいたようで何よりです」
俺の目線が牛木さんの前に確保してある皿にいくのに気付き
「米村さんに持ち帰られる前に取っておかないと」
それは俺も思う、タッパーの詰め方が堂に入ってる、でもまあたくさん食べてくれたら持ってき甲斐がある
「それでは楽しんでいってくださいね」
最後は米村さんだが、なんか苦手なんだよな
「どう?楽しんでる?」
タッパーに詰める手が止まる
「こんなに持ち帰る食料があるなんて楽しいですよ」
誰も持ち帰って良いとは言ってないのだが、どうせ余るだろうから好きにするといい
「たくさん持ち帰るのですね、誰かにあげるのですか?」
「いえ、この唐揚げは本当に美味しくて、同居人に持って帰って」
「お土産ですか」
「はい、同居人に売ります」
え?売るってどうゆうこと?元手0でしょ?
「私無職の時に元同僚が部屋余ってるから来る?って言われてそれからずっと居候してるのですが、今度は元同僚が無職になって」
この人も苦労してるんだな、でも無職ならただであげればいいのに
「無職なので何をやるにもお金を取るようになって、家に居るから掃除してくれても一回三百円取られたり、洗濯も手数料取るんですよね」
中々鬼畜な同居人だ、そんな殺伐とした同棲嫌だな
「じゃあたくさん持って帰って売ってください」
もうめんどくさい、好きにしろと言うつもりで言った
「ありがとうございます、オーナー、今日はタッパーは持ってきたのですが、水筒忘れました、ありますか?」
まさかの飲み物まで持ち帰りするのか、たくましすぎる
9時ぐらいにお開きにして、片付けをしていたら、船橋さんだけ残って手伝ってくれた
「ソラちゃんも居ることだし、船橋さんも帰って良いです」
「いえ、ソラはもうそこで寝てるので大丈夫です」
確かに寝台で寝ていた、よだれだけは垂らさないようにしてくれ、折角新品のシーツ用意したのに、お客さんが使う前に汚されても
10時ぐらいには終わって船橋さんにはタクシーを呼んで帰した、さすがに8歳の子をおぶって帰るの無理だろうし
自宅はもう使えないので、ビジネスホテルを事前に予約してあった、チェックインはもう済ませてあるのでこの時間に戻っても問題はない、次の日に寝坊しないように早めに寝た。
次の日にはオープンだったが、特に宣伝もしてなかったので客足はない、お昼に鷲見さんが出勤してきたが
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