第78話

初芝さんから連絡があった、前回の絶品空間とは違い、今度は表に面した人通りの多い所に店を構えたい、何個かあった候補の内俺が選んだのは、カウンターが8席、4名掛けのテーブルが2席のこじんまりとした場所だった、


居抜き物件の為清掃すればそのまま使用することができる、営業許可を取るために食品衛生管理者の講習が必要だ、1日でいいらしいが、座って話を聞いてるだけなんて寝ろと言ってるのと同じだ


学生の頃は寝ながら持っているペンを小刻みに動かして教師の目を誤魔化す強者も居たが俺にはそんな器用なことは無理だ、今はそんなに急いでやるような仕事もないのでのんびりと講習を受ければいい、本業の仕事はあれから何も動きがなく、休業状態だ、副業の方が稼げるがいつ何があるかわからないから本業も辞めたくはない


もし将来結婚とかなった時に向こうの親に挨拶に行く際に


「ナオト君の仕事は何をやっているのかい?」


と質問をされ


「異世界間の貿易をしてます。」


なんて答えて自分の娘を差し出す親は居ないだろう、もちろんそんな心配をする前に彼女も長い間いないのだから無駄な杞憂になることだ、こんだけお金持ってるのになんで彼女居ないのか、まず出会いがない、従業員はそんな目で見ることも無理だし、奴隷達は10代か子持ちだし、なかなかハードルが高い、


とりあえず講習の申し込みをした、月に15日ほど行っており、定員100名がすぐ埋まるぐらいの人気だ、なんとか2週間後の講習に申し込むことができた、こんだけ申込む人が多いなら開店も閉店も多いわけだ、久しぶりに米本に連絡でもしてみようか


「今度は飲食店をやることにしたよ、異世界食材使って」


「あの肉なら間違い無いだろ、いつ頃出来上がる予定だ?」


「初芝さんがすぐ店を探してくれたから、許可と免許もらって後は従業員だな、誰か居ないか?雇われ店長的な」


「知り合いに当たってはみるけど、具体的には何をやるつもりだ」


「カツ丼と唐揚げで揚げ物屋をやるつもりだよ、料理の腕は普通でいいんだ、なんて言ったって食材が良いからな」


「そんな程度で良ければすぐに見つけることができるだろ」


「俺がほとんど顔を出すことができないから、信用第一だな、日本じゃ裏切ることができない奴隷は雇えないし」


「そんなの雇ったらお前すぐに捕まるぞ」


「わかってるよ、だから店長は知り合いがいいんだけど、俺ビジネスライクな付き合いしかしてないからコネがなくてな、お前なら顔が広いから居るかもと思って」


「食材の次は人材かよ、俺はお前の何でも屋じゃないぞ」


「いい人紹介してくれたら50万でどうだ、お前も無報酬じゃやり甲斐ないだろう」


「お前が億万長者だと知らなければその金額でお前の本気度がわかるけど、今のお前にとったらその金額って端金だろ」


「でも結構お金使ってるからそこまでじゃないぞ、この前はサダムさんに頼んで戦車まで買っちゃったからな」  


「戦車?お前向こうで何やってるんだよ、異世界征服でもやろうとしてるのかよ、今度は核とか買うんじゃないだろうな」


「成り行きでだよ、見せつけに使っただけ、実際には使ってないよ」


「だといいがな、それじゃ100万で探してやるよ」


「さりげなく値上げするんじゃねえよ、でもそれでいいからたのんだぞ」


実際戦車はエリクサーで相殺したのでお金は出してない、ほんなことは言う必要もないので言わなかった、いくら米本でも俺がお金が有り余ってると知ればいい気にはならないだろう


みんなのお土産も買ったし、そろそろ戻るとしよう、祖母の家に帰るのが面倒だ、いっそのことヘリでも買おうかな、ヘリっていくらするんだろう、それよりも祖母の家改装しようかな、奴隷も増えたし、みんなが暮らせる家があったほうが良い気がする、田舎なだけに土地だけは余っているからな


地元の建築業者に見積もりだけでも出してもらうとしよう


「どうも杉下建設の、杉下です、今回は家を建てる相談とお聞きしました」


「はい、今住んでいる家はそのままで新しく敷地内にアパートを建てようかと思っているのです」


「失礼な言い様ですがあんな田舎にアパート建てて人が入りますか?車がなければ何もできませんよ」


「住む人は決まっているので大丈夫です、うちの従業員をすまわせる予定です、農業をやろうかと」


「そうですか、それなら寮って感じですね、間取りはどうなさいます?」


「2DKを10室あればいいです、トイレは各部屋に付けてもらってお風呂は大浴場を建物に1つ作ってくれればいいですが、男用と女用と分けて欲しいです、部屋の内装はなんでもいいです、好みが分かれないぐらいで」


「その条件で作ってみます、建材は何で作りますか?特殊な建材を使えばそれだけ値段に違いがでますが」


「一般的な物で良いですよ、震度5ぐらいが耐えられるぐらいで」


「それではまたご連絡します」


1週間ぐらいでできるそうなので、それまでは待つことにした、もうテンプレみたいなのが何パターンかあるのでそれに当てはめればさほど時間は掛からないようだ


すぐにできることはないので異世界に戻って行った

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