第101話

やっときた、ずっとしたかったけど今まで結婚や新婚旅行や店舗巡回してて出来なかったけど、ヘリに乗って今から帝国へと向かう


教えてもらってから1ヶ月ぐらい経ってしまったけど、覚えているかが心配だ、まずはローターを起動させる、音を響かせて回り始めてる、回転が安定したら車体を前に傾かせる、すると浮力が生まれ車体をまた水平に戻すと浮き上がる、後尾ローターで方向を決める


よしよし手順通りに進ませることができた、後は帝国に向かって飛ばすのみだ、今は安全のため1人で飛んでいる、慣れてきたら他の人たちも乗せる事にしよう


ベテランパイロットでも墜落してしまうことがあるだけに油断は禁物だ、慣れというものは怖いものだ、今は慎重に動かしていても段々と手順を無視するようになる


車で移動してきた時のことを考えると驚くべきスピードだ、空には魔物も湧いていないし、途中で休憩を挟まなくてもいい、順調にいけば2,3時間で到着してしまう


今日は何のために帝国に行くかと言うとお店を閉店させるつもりだ、元々が王都に二号店を出そうとしたのだが、ヒルダに唆されて帝国へ出店することになってしまった


売上的には順調な実績を積むことが出来ているのだが政治が不安定すぎて危険なためだ、ほんとに内戦が起きそうな為急いで撤退を決めた


現皇帝が皇太子に位を譲る為に起こした戦争でなんの実績も上げることが出来ず人気が急降下、しかしそれでも現皇帝であるハンバルトが言論統制を行い地下運動が起こっているらしい、もう勝手にしてくれよとは思うが、うちの従業員に危険を及ぼすわけにもいくまい


別に買った財産を失うのが痛いわけではこれっぽっちもない、奴隷であろうが大事な仲間だと思っているのでなんとか救い出してあげたいのだ


すぐに帝都の街の外に降り立つと走って店まで向かい、商品はそのまま置き去りにしてスージー、ハンク、ローザ

デリア、ジェシーの5人を車に押し込んだ、定員オーバーではあるが仕方ない、少しぐらいは窮屈な思いをしてもらおう


「ハンク内戦は始まりそうか」


「すぐに起こっても不思議ではない空気にはなってました、内戦が起これば暴徒が押し寄せ商店は略奪対象になってしまうのですが、我々奴隷は勝手な行動はできないようになってますから困ってました」


危機一髪だったな、新婚旅行なんてしてる場合ではなかった、もう少し時間的な余裕があるかと思っていたのと折角開いたお店を閉じる事に抵抗があった為判断が遅れてしまった


今回は外に攻め込むわけではないので街の外に出てしまえば安全だ、それにしても人がたくさん居て窮屈だな、少し進んだらトラックに乗り換えよう、四駆に比べたら遅いから嫌なんだけど、このまま走らせれば不快感の方が強くなってしまう


ファステルに5人も連れていくと住む場所の心配をしなければならない、広い家で余り人が住んでなくて気を使わなくていい場所、思い当たる場所があるのでそこへ向かおう、反対はされるが持ち主は賛成してくれるであろう


とゆうわけで着いたのはフレッチャ伯爵邸


「ルードヴィヒさん、うちの奴隷達をしばらくこの家に住まわせてください、今奴隷用の家を作っているのですが完成まで早くても3ヶ月は掛かってしまいます」


「もちろんいいですよ、大事な婿さんの頼みですから、ただ問題はうちの娘がなんと言うかですね」


「ヒルダって昔からああなんですか?」


「とんでもない、昔は今の10倍酷かったですよ、ナオトさんのお陰でだいぶ更生しましたよ」


「あれでですか?」


「ナオトさんって王族でありながら王族らしくない、そこが良いところなんですよ、お金はあっても権力を振りかざすことはしませんし、人を大事に思いやることが出来、常に周りを助け助けられている、そんな人が近くに居ることによって浄化されたのでしょう」


「昔はどんな人だったのですか?」


「人には厳しかったですね、自分には甘かったです」


聞きたくないような最低な人間なんだな


「もっと努力して浄化させて金銭欲を捨て去らせますよ」


「ナオトさんは太陽を撃ち落とすことができますか?」


「何をそんな無茶苦茶なことを」


「それぐらい無理です、太陽は常に見えてます、手が届くと思う人も居るかもしれませんが不可能ですよね?同じことです」


自分の娘を太陽に例えるなんて痛い父親だ、それぐらい愛情があったんだな


「でもそんだけ娘さんのことをわかっていたのに何故放逐を?」


「わかっているからこそです、ヒルダがあのまま終わるとは思ってませんでしたから」


その餌食になったのが俺じゃん、他の人が犠牲にならなかったと思うようにしよう


「はい、出来る範囲でなんとかします」


「そのできる範囲の中でのお話ですが、私たちもそろそろ孫が欲しいのですが、なんでもナオトさんは同衾してくれないと嘆いてましたよ」


「そんなことまで言うのですね」


「はい、自分を正当化するのは長けている娘です、孫の話したら同衾も余りしてなくてその期待には応えられない とそう答えたので」


そろそろ子作りも真剣に考えよう

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