第100話

今ハルクと一緒に王都に来ている、商品を運ぶだけならハルクだけで良いのだが、運用方法を説明するのにハルクだけでは多分ヒルダが切れる、もちろん切れる先は俺にだけ


蜂蜜の一斗缶で量り売りを考えたのだが、油も専用容器をセットでくっつけることにした、毎回あの重い一斗缶を持ち上げてフライパンや鍋に入れるなんて到底無理だ


アステルに頼んで鉄の容器を作ってもらった、代金はもちろん酒だ、最近アステルにお金を渡してないような気がする


「銀貨・金貨を渡すぐらいなら酒の代金にしてくれ」


なんて言われるからそのようにしている、もちろん代価以上の酒は渡すようにはしている、大事な取引相手だ、特に最初のダイヤ90億円で3万円分の銀貨しか渡してないので何年分かの酒代にはなっている


これが何十年分かではないかと聞かれたら、それはドワーフの酒量を甘くみていると言いたい、一本1万円の高級ウイスキーでも一晩で必ず飲み干す、もちろん1,000円のウイスキー10本でも同じ、あればあるだけ飲まないといけない病だ


リップと化粧水は簡単な説明で終わったが、トランプは遊び方説明書も一応着けないといけない、初心者用ではババ抜きと7並べ、それ以外では銅貨3枚で本を売る、もちろんこっちの人の言葉で書かないといけないため、テレサが一生懸命作ってくれた、俺はそれをコンビニのコピー機で刷りまくった


日本語と異世界語を完全にわかるのはテレサだけだ、俺は字を書くのが苦手なので無理だ、シルキーも読んだり買いたりもできるが絵が才能がなくて無理だった


ゆくゆくはトランプ協会なるものを作って大会とか主催してみたい、それぐらい力を入れていきたい商品だ、ババ抜き世界大会は見ものだな


大富豪とかポーカーとかセブンブリッジとか人気が出ると嬉しい、俺個人は7並べと大富豪が好きだ、ポーカーとかブラックジャックは運がかなり左右するから好きではない


いつもはテレサが一緒だがトランプの説明書作りで疲れたので家で寝てもらっている、ヒルダは店舗をファステルのこんびにと同じ広さを借りてあり、奴隷を2人買い入れていた、ただ店舗名はこんびに王都支店ではなく、ヒルダズになっていた、一応は俺の店なんだが


「ヒルダ看板の名前間違っているから新しいの発注しとくね」


「いえ、あれはあのままでいいのですよ」


「わかった、商品の仕入れがなくなっても店舗として成り立つか見ものだね、もうギルドは辞めてしまってこのお店を頑張ると思っていたが残念だ、専業主婦も楽しいよ」


「そうですね、専業主婦になれば家政婦を雇って悠々自適に趣味でも見つけて暮らすことできますよね、是非そうさせてください」


「お願いだから看板だけは修正してくれる?」


「初めからそう言えば良かったんですよ」


てっきりヒルダはお金に絡む事には絶対に諦めないと思ったら俺に屈服することのほうが嫌いらしい、ヒルダと対して勝ったと思ったのはハワイの夜で最後かもしれない


嫌な気持ちのまま商品の運営方法を説明してしていった、


「油の容器は足りなくなったらこっちの工房で頼んでもいいですよ、信頼できる工房探してください、粗悪品はお店の評判が落ちてしまいますから」


「父のコネを使えばまともな工房はあると思いますのでご安心を」


「化粧水とリップは乾燥防止の為、って前に使ったからわかりますよね?付けていたヒルダは綺麗でしたよ」


「付けていないと綺麗ではないと?もちろんそんなわけないですものね」


険悪な雰囲気を払拭させようと思ったお世辞だが、意味がなかった、恥ずかしさが残っただけで言わなければよかった


次にトランプの遊び方と説明書の本のことを見せた


「損をするつもりはないが娯楽の少ないこちらの世界で普及させることが目的です」


「売る時にはしっかりと説明してから売るように致しますのでご安心を」


「はい、私はこれで失礼します、またいつかお会いしましょう」


「今夜は私の実家に泊まって行ってください、父も母も待ってます、もう既に連絡してありますから」


「はい、寄らせていただきます」


これで第1の目的を果たした、次は第2の目的だ


異世界へと通じるドアがある家に向かった、親父がドアを置いてある家は誰も近づかないような古民家だ、間違えて取り壊されてしまったら怖ろしい、早めに建て直しをしたい処だ


ハルクを置いて俺だけでドアを通り抜けハワイのコンドミニアムに出た、従業員のみんなにドアには触らないようにと伝えるのを忘れていた、このドアはお金には変えられないぐらい大切なものなので現地まで行って注意するのが目的だ


もちろんみんなが居る前でこのドアを通り抜けるわけにもいかないので、なんとかみんなが到着する前にと急いで王都に来たわけだ


「お邪魔しまーす」


鷲見さんの声が響く


間一髪といったところだ


「オーナーこんなところで何を?」


「みんなに注意することがあって急いで来たんだよ」


「どんなことですか?」


「ここに置いてあるドアは実はアンティークで有名な物で前にハワイに来た時に買って郵送するのを忘れてしまっていたんだよ」


「へぇーそんな高価な物に見えないところに価値があるんですかね」


「そうなんだ、このドア実は3,000万円もするんだ、今度新居に使うからくれぐれも触らずにおいてくれるか?縦で置いておくと倒れる危険性があって、寝かせておくと踏んでしまう可能性があるから横にして置いておくからくれぐれも頼んだよ」


「わかりました、それだけを言いにこちらに?」


「いや、みんなと夕食でもどうかと思ってね」


「ハワイはまだ朝の8時ですよ、時差の関係でもう眠いですけど」


「そうか、それでは時差ボケ解消の為に観光してきたらどうだ?夕食の予約はやっておくから」


「そうですか?ありがとうございます


「さあ、荷物を置いたら行きたまえ」


こうして注意だけをしにハワイに行って、またドアを使って戻ってきました、なんと無駄なことをしているんだろう

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