第55話
「ヒルダさん居ますか?」
今日は朝から商人ギルドに来ている、さっきの米本との話した内容をヒルダに伝える為だ
「この前の件考えて頂きました?」
「前向きに考えましたが、すぐには無理だろうという結論に至りました、ただ徐々にでしたら不可能ではないかなと」
「どれぐらいの期間なら可能ですか?」
「早くて50年、長くて100年以上ですね」
かなり驚いていた、50年なんて1世代越えてしまう、でも全部依存なんてそれぐらいの期間は掛かるだろう。
「そんな悠長なことをしてたらとっくに侵略されてしまいますよ、国がなくなってから相手を経済的に困窮させたとしても意味はないのですが」
「衣の部分はなんとかなるかもですが、食の部分はどうにもできなさそうですね、パンに代わる主食は難しいです、たとえばヒルダさんこれ食べてもらえますか?」
バッグの中に入っていたコンビニの鮭のおにぎりを渡す
「これ美味しいですね」
「はい、ではそれを毎食食べられますか?これからはパンがなくなってそれに替わりますって言われて従えます?」
「無理ですね」
「これに使っているのはお米と言う物です、これなら依存させるに足る量は用意できますが、パンと代わるかと言われたら無理ですよ」
食べてもらった方がわかりやすい、これでこのヒルダでも納得するだろう
「なんでパンを米に替える必要があるのですか?ナオト君の作るパンで依存させればいいんじゃないですか?ナオト君なら美味しいパンも作ることできるでしょ?」
確かにこっちのパンは堅くてまずい、フランスパンのように堅くて風味があるのとも違う、小麦粉からしてまずい、パンで良いなら材料だけこちらで用意して焼成してもらってもいいな、そしたら普及できるかも知れない。
「確かにそれなら可能かも知れないな、どれが受け入れられるか試作品のパンを持ってきます。」
米本とかヒルダさんとかで話してわかったが、このことに関しては自分の意見がブレブレだな、すぐに考えを変えさせられている。
「はい、お待ちしてます、フォーセリアの命運はナオト君に掛かってます。」
「でもなんで国の行末をそこまでギルドが助けることに?国が替わっても困らないでしょ」
「今の権利関係がなくなってしまうのです、採掘権や営業権、関税決定権、それらがまた一から見直されて没収されてしまうとかなりの赤字なんですよ、それに今回の作戦も基本的にはナオト君の持ち出しですからギルドは負担ないです、口出しだけすれば良いのですから」
こいつクソだな、人の苦労をなんて考えてるんだ、在庫確保の為に色々調べたり、店舗回るったり大変なんだぞ
「聞かなければ良かったですね」
とりあえず、明日はいろんなパンを持ち込んでみるか、堅いパン、柔らかいパン、菓子パンも良いかも知れない、原料の砂糖は販売するには許可制だが、使う分には自由に使うことができることは知っているし
お店で売っている物を持ってくると大量生産ができないので、テレサに作らせてみよう、新しく買ってきた料理のレシピ本に載っているといいが
こんびにに戻ると
「テレサ大事な用事がある、ちょっも抜けて付いてきてくれ、ちょっも向こうまで戻る」
「わかりました」
大事な用事がと言えば断ることはされない、一緒に祖母の家に行くと
「パンを作って欲しい、いろんな種類のだ、食パンやフランスパン、菓子パン、揚げパン」
「お時間いただきますが宜しいですか?丸一日ぐらい」
パンって作るのにそんなに時間掛かるのか
「それは大丈夫、宜しくな」
次にヒルダさんに会う時には持っていけるといいな、ついでに麺やパスタも持っていこう、何がハマるか全く想像ができない、麺もパスタも小麦粉のような物だろう、お米のようなこちらの人にとっての変わり種とは違うし
業務用スーパーにでも行って買いに行ってこよう、あそこならまとめ買い用の物なんかあるだろう。今までの自分の中の常識を疑ってかかるようなことは初めてだ
小さい頃から当たり前のように食べていたお米やパンや麺とかを食べたことがない人が居て、その人たちに食べさせての反応を予想するなんて、受け入れてもらうことが当たりだが確率的には10の2もあれば成功かも知れない
服の方は単純でいい、革は丈夫だが加工が難しく、水に弱いそして汚れも落ちにくい、麻は汚れても洗うことで綺麗にはできるが高価、これを安価な綿に変更するだけだから受け入れられるだろう
洗うと言えば洗濯用洗剤ってあるのかな、それがないと綿の良い点が台無しになる、服とセットで用意しておこう、テレサ達は当たり前のように洗濯していたが向こうの人達は洗濯ってしてなさそうだ。
考えてみると色々思いつきそうだな、まだまだ異世界に必要な物ってたくさんありそうだ、だがお店以外でほとんど暮らしてない俺にはその背景が読めない、奴隷達もそうだ、向こうの住人であるリリムに相談だな
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