第56話
「お店の中の商品全部ください」
「全部ですか?一万点ほどありますが」
「はい、大丈夫です」
日本最大手の古着のチェーン店でのやり取り、全国展開しているが1店舗辺り1万点ほど古着があるそうだ、10店舗ほど回れば帝国に持っていく商品が揃う、ただ会計をしたり運んだりで1日1店舗が限界だ
先に500万円ほどの現金をレジの前に出し、お会計をしながら段ボールにカートに入れ、それを車で待っているハルクがバッグに詰めていく段取りだ
ここのお店の商品は全て1グラム1円、1つの服が400〜600グラム、500万円で足りる計算だ、もちろん足りなければ出せばいいだけ、まだまだ現金はあるから心配していない
流れ作業のようにレジをしている店員さんは疲れたら交代しながら6時間ほどひたすら店内の商品をレジに運びそれを打つという行為を繰り返していた、店内から駐車場に持っていくだけで疲れる。
「この後他の支店の商品も全て購入する予定です、後9店舗ほど、連絡しておいたほうがいいですか?」
「え、ええ、そうですね、こちらから連絡します、他の店舗でも全商品をですか?」
「はい、全部で10万点ほど必要です、全て発展途上国に送る為に、向こうではなんでも喜んでくれますから」
「わかりました」
勝手にアフリカかアジアに送るボランティアに見えただろう、俄然やる気になってくれた、店員が勘違いしているのはわかったが、発展途上国の異世界に送って売るのだ、嘘ではない、必要なことを全て言ってないだけだ
「他の店舗の商品先にお会計しておいたほうがいいですか?商品は送ることもできますが」
それはかなり助かる、毎日繰り返すのも大変だ
「それでは代金は店舗ごとに決済してその後配送をしていただいて宜しいですか?」
これなら他店舗に寄っても支払いだけで済む、物の5分ぐらいで終えることができるだろう
「今日はもう時間が時間ですし、明日でも宜しいですか?」
「明日の朝一から回らせて頂きますからそれまでに商品の計上をお願いします。」
他店舗では今日は残業しないといけないだろうが、そんなお店の都合よりも帝国に早く商品を送るほうが先だ、衣食の内、食の部分はすぐに果たせないが、衣の部分だけでも早めにこなしておきたい
食の部分はかなりの人手が必要な為商人ギルドに協力してもらう必要がある、それ用の準備があるが、一応それについても考えがある、ポイントはハルクは大人並みの体格をしており、獣人種としての特徴でもある身体的に優れていて反射神経や目も良い、これが今回の作戦の肝となる。
数日掛けて古着を張達できた、次は食の部分だが、その前に古着だけでも帝国に運ぼう。
今回は自分で帝国に行く、俺が行った方が馬車よりも早く着くことが可能だからだ。
「ヒルダさん、明日から帝国に向かいます、帰りは4日後です、帰ってきたら今度は食の方でなんとかしますが、人手が必要な為10人、いや20人ほど用意しておいてください。」
「4日後?4日間で往復するのですか?転移魔法でも使うのですか?そんな古代の魔法今は使い手が居ないと聞いていますが、ナオト君はそんな魔法使えるのですが?」
転移魔法なんて便利な魔法あるのか、でも俺には使えないよ、その代わり文明の利器って道具が使える
「そこら辺の事情は秘密です、今回は急いで行って戻ってくるので、私と奴隷だけにします、ヒルダさんは連れていけませんからね」
「よくわかりませんが、お気をつけて」
ヒルダに予定を伝えて、次は帰ってきてからすぐに行動を移すため
「もしもし米本?、小麦粉と砂糖と牛乳とバターを大量に用意してくれる?」
「例の計画は小麦粉で賄うつもりか、どれぐらい欲しい?」
「30万人が1ヶ月に使う小麦粉の量が3,000トン必要だから、取り敢えずそれぐらいかな」
「3,000トン?それをどれぐらいで用意しろと?」
かなり驚いていた、そりゃあ今までの無理とは規模が違う
「できれば4日で欲しいんだけど」
「無茶苦茶だな、なんとかあたってみるよ」
「後一つ無理言っていい?」
「もう何言われても驚かないよ」
「毎月欲しい、なんと言っても毎月消費する量なので」
「そんなことより金は大丈夫なのか?かなり掛かるけど」
確かにそろそろ無くなるんだよな
「今回の分は大丈夫だ、ただそろそろ宝石を換金しないと底をつきそうだ、頼みの綱のサダムさんも居ないし」
「そこは協力できないから自分でなんとかしてくれ」
一応帝国に行く前にやることはやった、帝国に無事に古着を届けるだけだ。
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