第36話

「肌着は追加発注してきたぞ」

テレサ

「嬉しいような辛いような、あればお客さんたくさん来て大変で、ないと文句言われて大変なんですよね」


「今まで通り先着だけにしておけばそこまで殺到しないだろ、近々また帝国に行くので留守を頼むぞ」

フレイヤ

「任せとけ、私が居れば大丈夫」

シルキー

「今度はお土産お願いしますね」


ぶれない2人、力強い後押しももらったのでひとまず安心するとしよう、テレサの負担だけが増える気もするが


「日本語の勉強はどうだ、進んでいるか」


「最近忙しくて前ほどは頑張れなくなってますけど、日常会話程度ならできるようになりましたよ」


さすがテレサ、模範解答だ

シルキー

「食べ物屋さんでの注文の仕方なら問題ない、タブレットでの注文もできるようになったよ」


最近口頭ではなくタブレット注文も増えてきたが、食べ物屋限定ってのもどうかと思うぞ

フレイヤ

「多分もう大丈夫だよ、話せなくてもテレサに聞けば通訳してくれるから」


こいつも俺と同じで人頼りのとこあるね


1度みんなで出掛けたいな、モールと言わず東京とか、新幹線とか乗ったら驚くだろう、ネットで見て知ってるとは思うが、見ているだけと実際の体験では全然違うだろうからな


「お店は休業できそうか?」


「無理すれば大丈夫だとは思いますけど、少なくても3日ぐらい前には予告しないとだめでしょうね」


そんなに時間かかるなら帝国に行く前にって予定では無理っぽい、今回は商品の仕入れのために戻ってきただけだからな


何しろ塩と砂糖と胡椒を大量に持ち込みたい、希望としては1トンだ、それだけあれば物価高騰に役立つと言えよう


どうせやるならチマチマと売っていてはヒルダの言うことは果たせそうもない


意外に従おうとしている自分自身に驚きだ。


ファステルでの塩は100グラム銅貨3枚、砂糖は5枚、胡椒は10枚らしい


日本だと塩は1キロ150円、砂糖は300円、胡椒は800円で小売してる、卸しなら半額くらいか、これは米本に頼まなくても俺にも伝手があるから大丈夫だ


各1トン注文して70万円、楽勝だな、これがいくらになるか楽しみだ、ファステルの相場であっても金貨18枚にもなる


中々いい売上だ、でもこれじゃ全然足りないな、肌着も20,000枚持って行って、これで庶民の貯蓄はだいぶ散財することができるとは思うけど


財産持っているのは貴族なんだよね、貴族用に絹の肌着とかどうだろう、数は少ないけど単価はかなり高く設定できる。


絹だと3000円ぐらいか、10倍も高いから売る時は30倍ぐらいで設定してみるとすると、一点90,000ゴールドぐらいか、なんかとんでもない価格だけど貴族からならいいや


たまには搾取される苦しみを知るといい、どうせ大したこともしてないくせに親が貴族だってだけで代々楽してお金を得ているのが貴族だ。


もちろん領民の為に尽くす貴族も居るが珍しいからがゆえに目立つだけ、殆どの貴族はポンコツの寄生虫だ


そんな貴族は大嫌い、こっちの生まれでもないのに特権階級への怒りは止むことを知らない。


前世で何かあったのかなと思うぐらいだ、もちろん記憶なんてないけどね


それにしても帝国に行く時間がもったいない、新しい商売も始める予定もあるのに、困った時には商人ギルド、相談してみよう


今の商人ギルドにはヒルダが居ないことは知っている、まだ1週間は帰ってくることはないだろう、代わりに相談に乗ってくれたのはオゴダイと言う人で貿易が主な担当のようだ


帝国で商売したいけど自分が行けない事情を説明してすると代わりに運送させることを教えてもらった


ただ誰に頼むのかが問題だ、かなり高額な商品の為信用できない人に頼むのは怖い、その点もオゴダイさんが解決してくれた


代行預かり証の発行だ、ギルドが商品金額の8割を保証してくれて、ギルド専属の冒険者が運んでくれる、冒険者にとっては割の良い仕事の為、持ち逃げする心配はない


その代わり商品の一割が手数料兼運送費となる、自分が行くよりは安く済み、時間を取られることはない、ギルドとしてはその手数料が利益になる。その為下限金額の設定がある


代行預かり証の発行は金貨10枚以上の商品のみ、今回は問題なさそう、砂糖塩胡椒で金貨18枚、綿の肌着で金貨60枚、絹は単価は高いが枚数は少ないので金貨9枚、合計で88枚だから手数料は8枚、かなりの出費だ


この内容で契約することを決め、商品が用意でき次第連絡することにして、その日は終えた


なんかやってることって暗躍してる役人みたいだな、お気楽に商売している間は利益はカツカツだったけど、何も考えずに済んだ、自分のペースでできるようにしたいものだ。

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