第2話

ドアを開けると小さい部屋に出た、地下のようだが上から光が漏れて部屋の全容は見えた、部屋を見渡すと来たドアとは反対側に階段があった。


(ここまで来たら行ってみよう)


そう思い階段を登った、登った先には先ほどまで居た、小部屋の4倍ぐらいの広さの部屋に出た、その部屋にも人の気配はなかったが、店舗として成り立っていないお店のようだった、なぜかと言うと、商品が何もない空になった棚と、カウンターがあった上には使い古したショルダーバッグがあるのみだ、


持つのに躊躇われる


窓にはカーテンもかかっておらず、格子状の窓から外が見える、空には青空が広がっていた、確かドアを潜る前は夜だったのに一瞬で過ぎてきたのにかかわらずまるで時間が違う


どこかの国に移動したのかな、時差があるにしては変だどこ○もドアがうちの倉庫に眠っていたのだろうか


そのままぼーっと何も考えずに外を見ていると昼間なだけに

普通に人が行き交っていた、ただ日本と違うのは窓から見える外には黒髪は居なかった、白、銀、青その他色々な髪の人が居て、肌の色も白、黄色、黒、緑、青と組み合わせは色々だ。


外国云々と言う前に地球ですらないかも知れない髪・肌だけでもこれだけカラフルなのは見たことがない、しかもコスプレして歩いてる姿も異様である


まだ2月だと言うのにハロウィンの仮装と言うのは些か無理がある。本当にコスプレなのであろうか、熊やウサギ、猫、犬、の耳をつけ、おまけに尻尾まで付けている念の入りようだ。


(まさか本物の耳じゃないよな)


確かめずには居られないが、町中を歩く人を捕まえ聞くぐらいの無神経さは持ち歩いていない、


矢張りこれは”異世界”ってやつなんだろうな


まさかばあちゃんが異世界でお店していたなんて初耳だ、正式に継承をしたわけでもないが、父から何も聞いてないってことは祖母と俺以外は誰も知らないってことだろう


商社で働いている身の上だ、商売となれば興味をそそる、ばあちゃんの代わりに俺がこの店を続けるのは有りだな


これからのことを考えながら、窓の外を見ていると、うさぎの耳を付けた女の子と目が合った


その子がこちらに向かって勢い良く入り口のドアを開けた入ってくるなり、こちらに向けて大きな声で


「☆☆☆☆☆☆」


何を話してるのかさっぱりわからない


「ごめん、何を言ってるのかわからない」


こちらが日本語で話しかけると、身振り手振りで手を耳に当てて何か言ってる、なんとなくポケットにしまった


補聴器を耳に付けてみる


「これでいいのかな?」


うさ耳の子が


「おばあちゃんは?もう病気治った?」


言葉がわかるようになった、ただ祖母の死因は病気と言っても、老衰に近かった、92歳まで生きたら大往生だ


「ばあさんはもう亡くなったよ、3年前にな」


「え?だっておばあちゃん戻ってくるって、、、、」


言ってる途中で泣き出してしまった。祖母がここまで慕われてる子は何者なのだろう、15分ほど泣いていたがこちらの話が聞ける態勢になってから


「君はうちの祖母とどんな関係なの?」


「おばあちゃんはいつも花を買ってくれて、甘い

玉をくれたの、お母さんのお手伝いして偉いねって」


女の子を見ると赤い花を何束も持っていた。


そう言えばばあちゃんは俺にもよく飴をくれた、いつ会っても飴持っていて、うちの母親が虫歯の心配をしていた。


そんな何気ないことを思い出し、俺も少しうるっときた。こちらが黙って女の子を見ていると沈黙に耐えらなかったようで、女の子はしゃべり続けた。


「ほんとはお母さんが花を売っていたんだけど、お母さんが

病気になっちゃって薬が買えなくて私が代わりに」


「そっか偉いなお嬢ちゃんは」


「私リリムだよー お兄ちゃん リリムって呼んで」


「わかった、俺はスギヤマナオトだ、リリムはいくつだ?」


「14歳だよ、もうじき成人なんだー、そしたら冒険者になるの」


冒険者?なんだそれ、俺の知らない業種だな


「冒険者ってどんなことするんだ?」


「冒険者ギルドに登録して、ダンジョンに入ったり

モンスターを退治して町の平和を守るの」


ロープレかよ、俺は夢でも見ているのか現実との区別がわからなくなってくる、もし現実だとしたら夢が広がる。


今はやらなくなったが昔はロープレは好きなジャンルだこの世界でならリアルロープレが出来るかも、でも何をやるにしても情報がなくては何もできない、


折角のこの世界の接点である少女との出会いを無駄にはできない


「頼む、この世界のことを色々教えてくれ」


「私もおばあちゃんにお世話になったから、教えて

あげたいのはあげたいけど、まだ今日のお花売らないと」


「じゃあそれ終わったらでいいよ、夕方またここに来て

くれるか、教え賃として飴用意しておくから」


「わたしもう子供じゃないよ?お菓子ぐらいじゃ」


「なら何か違うもの用意しておくから、お願い」


「う〜ん、わかった、いいよ楽しみにしてるね」


そんな約束をしてリリムと別れた、そう言えば祖母がこちらの世界に行き来していたとは驚いた、何の為に来ていたのは謎だが、凄いのはこの補聴器だ、


これを付けると全く意味がわからなかった言葉が理解できる、他に指輪とメガネがあったな、よし付けてみよう指輪とサイズ的に小指にしかはまらなかった、メガネを掛けて指輪を見ると、不思議なことに文字が浮かび上がってきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 ゴートの指輪


スキル 物質変換


(材料が揃っていたら形状を変化させることができる

足りない材料は利用者が知っているものであれば表示)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

メガネを取って指輪を見ても何も文字は浮かばない再度掛けると先程の文字が浮かぶ。


(これ鑑定って魔法じゃね?)


補聴器もメガネも指輪も未来の便利アイテムであった。

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