第71話
まずは王都の外に出てもらった、見える範囲で親方とシルキーが作業していたが、声を掛けて邪魔するようなことはしない、順調に進んでくれてたらそれでいい、戦車をバッグから取り出した、全部で5台ある
「これの動かし方を覚えてもらって実際に帝国軍の目の前で操縦するのが今回の依頼だ」
「これはなんだ?バイクと同じような物か?」
かなり驚いていて陳腐なことしか言ってこない
「これは戦車と言います、バイクは移動のための魔道具ですが、戦車は戦争の魔道具です、スピードはあまり出ませんが防御に優れている点と大砲って武器が付いてます」
「ほ ほう、それはすごいな、店主には毎回驚かせてくれるな、魔道具作りの天才だ」
1台は俺とハルクが運転するから、残り4台は暴風の疾駆者に任せた、操縦と言っても実際のところは砲台の向きを変えるのと発射だけだ、移動させることはない、移動となるとかなり視界も悪いし振動も多い、かなり高度な技術が必要だ
移動の操縦は身体能力が高いハルクに任せる、俺は拡声器と砲台担当だ、戦車は最低2人は居ないと動かすことができない、まともに動かすことができるのは1台だけ、後の4台はただの大砲だ、それでも火薬がないこちらでは希少な存在だ
火薬がなくても魔法がある、魔法攻撃に耐えられるかどうか試すのがフレイヤの仕事、戦車に向かって火球やファイヤーアローを撃ってもらう、危険なので無人にして、その代わりに人形を乗せておいた
魔法ですぐに壊れてしまうようでは戦力として心許ない、これはある種賭けになってしまう、戦車が使えなければ焦土と化すしか方法はない、なんとか耐えて欲しい
フレイヤ
「じゃあ撃つよー、最初は火球からねー」
「パァーン、、、、、ドン」
なんともなさそう
「10発ぐらい連続で撃ってくれ」
フレイヤ
「はいよっそれっ」
「ドスンドスンドスン」
大丈夫みたいだな、後は中の人形に変化がないかの確認だ、外はなんともなくても中が丸焼けでは意味がない
「じゃあ次はファイヤーアローいこっか」
フレイヤ
「はぁーいっ」
またもや10発ほど連続発射したが、、、、、大丈夫そうだ、なんとか戦力として使えそうだ、
「ハルクはこれの移動をできるように練習しておいてくれ」
「はい」
素直でいい子だな、俺はもうやることないから街に戻るとしよう、一気に気が楽になった、今日はゆっくり寝て明日は帝国軍の進捗を偵察しにいかなければ
翌朝日が明け切れる前に街の外で四駆車をバッグから取り出し、エンジンを掛ける、距離を調べるために車の距離メーターを0に合わせる、最大値で300キロだが、どこまで近付いているのさ調べる、見つかって攻撃されるのだけは避けないと
まだ誰も動いていない時間のため辺りはかなり静かだ、ディーゼルエンジンは音が大きい為、五月蝿く響く、歩いていくのであれば足音を気にしつつ静かにいけばいいが、車にそんな理屈は通じない、開き直ってアクセル全開で走る
3時間弱ぐらい走らせると遠くに夜営しているテントが見える、ここまでの距離はメーターを見ると240キロ、後12日ぐらいは掛かる距離だ、なんとか邪魔してやりたいのは山々だが俺自身にそんな力はない、あくまでも偵察のみに留める
帝国軍の位置を確認するとまた王都まで戻る、親方達の進捗次第だな、面倒だけど俺も作業手伝うことにしよう、王都に着くと10時だった、既にみんな作業を開始している時間だ
「親方ー、後10日ぐらいで完成しそうか?」
「昨日やっと土台が出来たからこれから柵の作成をして立てていくって感じだな、かなり広範囲で作るからまだまだ土台も作らないといけないがな」
こんな時土魔法が使えたら便利なんだろうな、うちのメンバーだとシルキーだけだ、冒険者ギルドで募集掛けてみようかな、俺が行くより暴風の疾駆者のメイジのポーラさんが言った方がいいか
「ポーラさん、今から俺と一緒に冒険者ギルドに行って土魔法の使い手を募集したいのですが」
「土魔法の使い手は冒険者には余りならないから無駄だと思いますよ、どうせなら建築現場でたくさん働いてますよ」
適材適所と言うことか、確かに危険な冒険者よりも少ないながら確実に稼げる建築のほうが向いてるからな
「わかりました、そっち方面で当たってみます」
「この戦車って使わなくなったら私にください」
いくらすると思ってるのだ、バイクでさえ踏み倒したくせに
「考えておきますね、引き続き練習お願いします」
便利な言葉だ、断ると気分を害し協力を仰げないかもしれないが、肯定をしたらあげないといけなくなる
「トムルンさん、土魔法を使える人が10人ばかり必要なんですが紹介してくれません?」
「今王都では建築なんてしてる場合じゃないので人は余ってますが危険はないですか?」
「後は10日ぐらいは到着に時間が掛かるので大丈夫ですよ」
それならと7人だけ回してくれた、親方のもとに連れて行き協力をさせることができた、俺も魔法使えるようにしておけば良かったと後悔した。
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