第91話

「なんで親父がここに来てるのさ、うちにいつの間に寄ったの?全然気がつかなかったよ、聞きたいこともあるから2人だけで話そうよ」


小部屋に2人で入った


「あのドアってお前のところだけだと思ってる?うちの物置にもあるんだぞ」


実家にあるぼろい物置のことかな、自転車2台仕舞えばいっぱいになるような大きさの


「あのボロい物置じゃ高さ的にあのドア無理じゃね?」


「縦が無理なら横にすればいいじゃないか、第一あのドアって固定じゃないぞ、いくらでも移動できるし」


え?どうゆうこと?そんな裏技あったのか、全然知らなかった


「親父はそのドアからこっちに来てるのか?」


「おうっ物置と王都を繋いでいるよ、母さんと違って俺は商売なんて向いてないから滅多に来ないけどな、主に冠婚葬祭用だよ、こっちっていいこと何にもないじゃん?飯はまずいし、治安も悪いし」


ダイヤが二束三文で買えるの知らないんだ、もったいないな、俺もアステルの工房に行かなかったらそんなの全く気付くことなかったであろう


宝飾用で普及してるだけであって何か特別な用途とか、効果があるわけでもないし、王族である祖母や父が冒険者用の鍛冶屋に用があるわけがない


俺が何百億の資産持ってること知らないだろうな、ポーションとか肉とかバッグとか、こっちにしかないチートアイテムもたくさんある、普通のサラリーマンが戦車とかヘリとか持つなんてありえないだろうしな


「親父のところにあるドア俺がもらっていい?俺の店に置きたいんだけど」


「お前かなり稼いでるらしいな、何をやってそんな稼いでるんだ?タダで渡すのはもったいないな、100万でどうだ?高過ぎるか?」


「100万か、、、痛いな、また頑張って稼がないといけなくなるな、でも良いよ」


矢張り俺の血筋は甘いな、今の俺にとって100万なんて1日もあれば稼げる金額だ、でも戦車とか持ってること知らないのか、それが知られれば億単位の金が必要ってばれるからな、親父が帰った後にでも国王に口止めしておこう


「ハルエには内緒にしといてくれよ?へそくりにするから」


「母さんもこっちのこと知ってるの?」


「いや、話してない、話すとやっぱ漏れる危険性でるじゃん」


漏れたところで俺の一族以外誰も通れないだろ、いや待てよ、一族が通れるなら国王も日本に行けるのか


「逆に国王は日本に来たことあるの?」


「昔母さんが連れてきたけど、怖いってなってもう二度と来たくはないらしい」


ばあちゃんは何を見せたんだろう


「こっちのほうが断然治安悪いと思うんだけど」


「そりゃあ庶民の場合だ、王族はそんな危険な真似はしないよ、戦争で占領されて打ち首にでもならん限りな、日本の人の多さが怖かったらしい、後人の動きのスピードが早すぎて疲れるとも言ってたよ」


確かにこっちの人ってノドカだもんな、日本であんな動きしてたらそこら中でぶつかっているだろうな


「じゃあ近いうちにドア取りに行くから母さんに言っておいて」


「お前もたまには帰って来いよ、母さんが会いたがってるぞ」


俺の実家は俺の住んでた家から祖母の家に向かい、それを通り越して更に車で3時間のちょーど田舎だ、いつもの俺の行動範囲で考えると逆方向になってしまう為余程のことがない限りいくことはない


「じゃあ親父またな」


次がいつ会うことになるのかは完全に未定だが、今度は孫でもできた時に会いに来るだろう、祖母に家に大きなアパートが建っていたらさそがし驚くだろう、まだ工事は土台の段階でいつ出来るかは未定だ


「ナオト君何してるのですか、母と弟、妹を紹介しますよ」


なんで俺より先に親父が会ってるのか納得がいかないが、余り接点もないだろうから気にするのはやめておこう、人間細かいことにはこだわり過ぎないほうがいい


「初めまして杉山直人です、ヒルダさんをもらってすみません」


「ほんとーにヒルダで良いのですか?返品するなら高くつくことを覚えておいてね、お父様は王族ですが農家っておっしゃってました、ナオトさんも農家をするのですか?」


お金にうるさいのは娘と同じ、こりゃあ喧嘩するだろうな、似た者親娘だ


「いえ、私は普通に商人ですから地道にコツコツと稼いでますよ、これからもそのまま地道にね」


「そんな貧弱な身体じゃ姉上に勝てないだろう、俺と一緒に騎士団にどうだ」


その騎士団が不甲斐ないから俺が戦車で追い払ったのだがこいつは知らないのだろうか


「そうですね、善処しておきます」


「私はヒルダ姉さんは姉として居ない者と思っています、私には兄のグルテンだけです、これまでもこれからも、なので貴方のことは兄とは思えません」


理屈屋の小生意気な子娘だ、まだ中学生ぐらいだろう、テレサよりもまだ若そうだから昔のヒルダさんが許せないのだろうな


「分かりました、それでは異世界の美味しい食べ物はルイーザさん以外に持ってくるとしましょう、この世界では絶対に食べることができないのですが、他人と思われる方に渡してもね」


「貴方のことは父の友人として認めるわ、だから、、、、」


俺がルードヴィヒさんの友人なんてかなり無理があるだろう、20歳以上離れているんだぞ、でも喧嘩するよりは俺だけでも認めてもらったほうがいい、なるべく仲良くしていこう


「まずはそれで許しましょう」


ヒルダの相手してるのだ、ジャリガキの扱いなんて楽なものだ


「それじゃあナオト君行くわよ、初夜よ」


違う意味だとわかってはいるが言葉を聞くとドキッとする。

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