第53話

なんだなんだこの人だかりは


待ち合わせ場所であるゲーセンに行くとかなり混み合っている場所がある、その先に何があるのか一抹の不安を覚えつつ、人を掻き分け進むと不安は的中。


フレイヤがダンスの体験型ゲームをしており、夢中になって行っていた為パーカーのフード部分が外れて猫耳が出ていた


ゲームの途中ではあったが、フレイヤの手を引っ張り連れ出した


「今ちょうど乗ってきたところだったのに邪魔するなんて、ご主人様ひどいよ」


「お前頭のフードは絶対に外すなと言ってあっただろう、外れててみんながお前のこと見てたんだぞ」


「注目されるほど上手かっただけだよ」


そんなわけあるかと思ったが事実だった、ダンスゲームのカリスマプレーヤーが動画配信サービス用にコスプレしていると思って人だかりが出来ていただけだった


「とにかくフードは絶対に外さないこと、守れなかったらゲーム機取り上げるからな」


勉強をしない子供の説教の常套文句だか、フレイヤには効果抜群だった


「ゲーム機を取り上げるのだけは止めて、なんでも言うこと聞くから」


「テレサとシルキーは見てないか?」


「わからない、特に呼ばれてないからまだ来てないと思うよ」


ならパンケーキ屋から行ってみるか、さすがにもう食べ終わっているだろ、パンケーキ屋に行ってみると、シルキーはまだ椅子に座ってジュースを飲んでいた


「お前まだ食べていたのか」


「いえ、流石にもう食べ終わってますよ、いくら私でもそこまで食べていませんよ、傷つきますね」


そらそうだよな、別れてから2時間ぐらい経っている、甘い物なら引くぐらい食べるシルキーでも、そこまではな、さすがに悪かったな、でも


「ならなんで待ち合わせのゲーセンコーナーに来なかったんだ?」


「お金が足りなくなって来るのを待ってました」


(俺の謝罪の気持ち返せ)


「なら俺が払っておくから一緒にテレサのところに行くぞ、ほんとお前何枚食べたんだよ」


「メニュー全部美味しそうなので、一通り頼みました」


食べ放題の店と勘違いしてるのかよ、こいつにお金渡すの控えたほうがいいな、全部スイーツに消える。まあ幸せそうな顔見てるとつい許してしまう。


テレサは本屋の前で待っていた


「なんだもう買ってしまったのか、俺が出してやるって言ったのに、何を買ったんだ?」


「秘密です。」


変な物買ってなければいいが、テレサなら大丈夫だろう、突っ込んで聞くほどのことでもないか、ハルクには動物図鑑を2冊買っておいた。


「これでみんな満足しただろ、そろそろ帰るぞ」

テレサ

「はい、楽しめました」

シルキー

「もう少し経てばまた食べられますが」

フレイヤ

「まだ最高スコア更新してなかったよ」

ハルク

「・・・・・」


テレサは目的を果たせたようだ、シルキーは食べ過ぎた、あれでなんで太らないか謎だ、フレイヤはまだまだ遊び足りないようで、ハルクはもっとしゃべれよ


5人で帰りにハンバーグを食べて帰った、ハンバーグ嫌いな人って見たことないもんな、たまにはこんな日もあっていい


「お兄ちゃん!お母さんの具合よくなったよ」


リリムが店に現れた、どうやらビタミン不足は解消されて症状が緩和されたようだ、何にしても喜ばしいことだ


「これからも毎日食べさせるんだぞ、後動けるようになったら散歩にも連れて行け、寝てばっかりも良くない」


「わかった、ありがとう、また来るね」


笑顔で帰って行った、こちらもなんか嬉しくなった、だが次の訪問者が現れると気分が暗くなった、嫌いではないけど


「ナオト君、戻りましたよ、お待たせしましたね」


ヒルダの帰還、向こうでの目的を果たしたようで無事帰ってきた、もう5年ぐらい居れば良かったのにとは思ったが


「おかえりなさい、お疲れでしょうから今日はゆっくりお休みするといいですよ」


追っ払おうと思ってもそう簡単にはいかないのがこの女


「お気遣いは無用です、ナオト君に話がありますから商人ギルドまでお越し下さい」


また無理難題を言われるのだろうな、行かないわけにもいかないので素直に付いて行った。応接室に入ると


「この前はご協力ありがとうございました、もう少しご協力いただきたいのですが」


結構頑張ったと思うんだけどなぁー


「はあ」


「人に必要なのは衣食住です、住はもともと帝国の地なので奪うとなると戦争しかありませんが、衣と食に関しては奪うことができるのではないかと、この際の奪うとは依存させると言うことです」


「それ一商人がやることじゃないでしょ」


「ナオト君ならできると思っていますが」


期待するのは勝手だが、応えるかどうかはこっちの自由だぞ、そんな膨大な数どうやって用意すりゃあいいんだよ、食に関しては農家ごと、衣に関しては工場ごと移転させないととても無理だろ


「ちょっと考えさせてくれ」


やり方としてはスーパーの新店作戦に似てる、安価で商品を提供して近隣小規模店舗の資金を枯渇させて、潰れたところで価格を正常に戻す、それを都市ぐるみでやるようだ


大規模ってことは物量的に可能か不可能かだな、今度こそ米本に全てを話す時期にかったのかも知れない、孤軍奮闘は限界だ、奴にもうまい話だと思えば首を縦に振ってくれるかも


全くやっかいな案件持って帰ってきやがって。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る