第13話

リリムが次の客を連れてきた、また中年男性だ、リリムは親父キラーなのか?


「また再開したんだな、ポーションはあるか?」


「はい、何個ご用意しますか?1個銅貨15枚です。」


「銀貨1枚分くれ、細かいのがない」


割り切れないじゃん、初日だし多少まけとくか


「サービスで7個お渡ししますね、またのご利用お願いします。」


ポーションだけ買って帰って言った、初日の客は2名だけだ、中々に厳しい戦いだ、商品が良いとしても再開が知れ渡っていない。


「お兄ちゃん私帰るね、またお客さん連れてくるからご褒美楽しみにしてるね」


「ああ、ありがとう、今日のお礼な」


そう言って銀貨1枚渡した。


「こんなにもらって良いの?」


最初のドワーフは大量買いしてくれたからな、もっとも原価が安い、銀貨1枚渡したところで採算は取れている


リリムが帰った後 今後のことについて考えているとヒルダさんが来た


「初日の売り上げどうでした?」


「缶ビールが完売とポーションが27個売れたよ」


1日でポーション800個とかどうやってだよ


「実は私 今日何度かこの店の前を観察して気付いたことがあるのです」


気付いたならすぐに言えよ、周りくどいことして


「なんですか?早く教えてください。」


「看板が汚れていて見えなくなっています、これでは開店していることがわかりません」


それ伝えるのなんて5分で終わらない?1日の終わりにもったいぶって言うことじゃないぞ


「看板を新しく作って大々的に宣伝していきましょう、新しい看板はギルドで作ることを請け負いますから」


また金が掛かることを、ギルドってのは助けじゃなくてお店からお金をむしり取る存在なのかよ、今日の売り上げの範囲内だったら作ってもいいや、どうせ断っても無理に作らされることになるんだろうな


「いくら掛かりますか?そんなに用意できないですよ」


「銀貨5枚です、素敵な看板をご用意しますよ」


こいつ最初に売上聞いてきたのはこの為じゃないのか、今日の売上ほぼ全部じゃん、残り銀貨1枚半しかないよ、明日からはしばらく仕事に行かないといけないし、週間後の納期の約束をして帰って行った。


週末までに缶ビールの仕入れだけでもしとくか1ケースじゃ足りないのはわかったからいっそのこと10ケースぐらい買っちゃおうか、また5万円もの金が飛んでいく。


次の週末お店に行くと看板が掛かっていた5日ぶりの開店の準備をし、朝一番にドワーフが10人ほど入り口のところで待っていた


「柔らかい鉄はないか?」


アルミ缶のことだ、前に買って行ったドワーフから評判を聞いてきたようだ、なんでも剣やオノを作る際に芯を全部鉄で作ると重くなってしまう為、アルミを混ぜて剣身を作るようだ。


(それって強度大丈夫なの?)


技術的な物は俺にはわからない為10人のドワーフはそれぞれ1ケースずつ購入していき、開始後5分で用意した缶ビールは完売してしまった、ついでにポーションも10個ずつ、計100個の売上、5分で銀貨51枚、口コミってすごいな


その後冒険者さん達が入れ替わり立ち替わり来店し用意してあったポーションも完売、1000個全部なくなった、午前中で売る物がなくなり、新たなポーションの仕入れの為商人ギルドに赴くと


「看板の効果出ましたね」


ヒルダが偉そうに言っていた、看板の効果でなく口コミだよ


そうは思ったが


「そうですね、ヒルダさんのお陰ですね」


心にもない感想を述べた、薬草と魔力水を仕入れ午後はポーションの作製に専念し、その後現代に戻り缶ビールを仕入れに行き、次の日に備えた。7日の内2日の営業であったが、コンスタントに売上ができある程度の通貨が貯まった、仕事が休みの日にしか営業しないのはなんだかもったいない気がする。


でもこっちの通貨いくら貯め込んでも現代では使えないんだよな、日本円が減るばかりだ、何かこちらの商品を現代に持って行くことができればいいが、そうだ足りない物見てもらうのが1番じゃないか、リリムに頼もう。


リリムを現代に連れて行き、異世界に余っていて現代で足りない物を教えて貰えばいいんだ、リリムは若いが中々に目線が鋭い、俺が気が付かないことにも気が付くかもそうと決まればリリムに相談だ。


店を閉め中央区に行った、リリムはすぐに見つかった。


「頼みがある、付いてきてくれ」


お店まで連れて行き、地下の部屋のドアから現代に一緒に、、、通れなかった。


俺だけしか現代に戻れない、どうやらこのドアを使えるのは俺だけのようだ、リリムはなんのことかわからず


「何がしたかったの?」


と質問されたが、明確に答えることができず、適当に誤魔化すことしかできなかった、この作戦もダメか、もっと違うことを考えないとだな。

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