第88話

「前に会った時に国王に結婚の許可もらったって言ったときによかったですねって一緒によろこんでくれたじゃないですか」


「それはヒルダさんが別の誰かと結婚するのかと」


「前にナオト君に決まった相手は居ないって聞いたときにそれまで私と婚約という形にしたの覚えてます?」


確かにめんどくさかったのでOKしたな


「ナオト君は私が婚約者の存在を無視して他の人と結婚するような貞操観念のない女に見えますか?」


ここで見えると言ったら炎上だ、ヒルダさん気性は粗いがそこら中の男に色目使うような感じではない


「もちろん見えません」


「でしたら私が結婚すると言えばナオト君以外考えられなくないですか?」


「誠におっしゃる通りでございます」


流石に手強い、論破されてしまった


「しかも今回は国王が絡んでます、これで結婚不履行って事態になったら2人とも指名手配ですね」


もう結婚するしかないのか、でもヒルダさんとはしたくないなあ、どうせするならもっと従順で可愛らしく言ってしまえばテレサのような子がいい、と横のテレサを見ると泣いている

テレサ

「ご主人様結婚するのですか?」


「うん、そのようだな」

テレサ

「奴隷の身分を解放してもらったら私が結婚したかったのに」


え?そんなこと考えてたの?全くそんな素振りはなかったような、、、でも奴隷から早く解放して欲しかったのはその考えだったのか、でもテレサまだ16歳だよ、早くないか?


「あらテレサも結婚したかったの?それなら一緒にしましょ 私が正妻でテレサが側室になればいいわ」

テレサ

「私はご主人様と結婚できればそれでもいいです」


「はい、無事解決ね、そうゆうわけだからナオト君」


どうゆうわけだよ、なんか俺の意思は無視なんだよなぁ

テレサ

「嬉しいです」


かわいい奥さんができた、ついでに怖い奥さんもってところがなんとも


「それでは先にブキャナンのところに行って解放してもらいましょ、その後は王都ですね」


テレサを解放することは反対ではないので一緒に行って解放してもらった、奴隷でなくなったのは良いけどこれで仕事させるわけにはいかなくなるな


いつまで経ってもヘリに乗れない、初操縦が花嫁ってことはかなり無謀だな、事故にでもあったら目も当てられない、今回は四駆で行こう、俺とテレサとヒルダさんと3人なら全く問題ない


正直行きたくない、テレサを奥さんにするのは大歓迎なんだが、行きたくない気持ちがアクセルを踏む力を弱める、通常なら12時間もすれば着くのだが今回は18時間も掛かった、途中村や町がある度に休憩と称して時間を浪費した


「ナオト君 前の時より遅くないですか?」


「こんなもんですよ、前の時は焦っていましたけど、今回は大事な人達を乗せて居るのですからゆっくり行かないと」


「大事と言ってくれるのは嬉しいですが、私は早く着きたいです」


「今日のところは遅いですからこの町で一泊していきましょう、私はテレサと同じ部屋にしますから、ヒルダさんは別の宿屋を探してきてください、それじゃあテレサ行こうか」


「ここではいわかりましたと言うわけがないでしょ、テレサだけ同じっておかしいでしょ、私も同じ部屋にしますよ」


全く大人しく言うことを聞いてくれない、寝る時は静かに過ごしたい、テレサなら俺が話しかけない時は静かだからな


「それでは間をとって同じ宿屋の違う部屋ということにしましょう、双方の希望の中間ですから文句ないでしょう」


「今回はそれでいいです」


おぉ珍しく主張が通った、テレサと同じ部屋に泊まる、もちろん何もないですよ、まだ婚前ですしね、ただ初めて添い寝しました、これだけ近くに居るテレサはいつもとは違った可愛さです、今までそんな目で見たこともないですから


「今度一緒にかわいいパジャマ買いに行こう、日本で」

テレサ

「ご主人様が選んでくれたらわたしはそれを喜んで着ますよ」


透明なパジャマにしようかな、このパジャマは馬鹿には見えないパジャマですとか言って


「もうご主人様と呼ばなくていいんだよ、奴隷は解消されたんだし、今度からはナオトと呼んでくれ」

テレサ

「はいナオト様」


いやいいね、ヒルダさんが居たらとてもじゃなく出来ない、恥ずかしいでも楽しい、朝一のくだらないやりとりを終え、ヒルダさんを起こしに行った


「ヒルダさん、そろそろ行きますよ、用意はできてますか?」


「はい、大丈夫です、今日中には王都に着きますよね」


「お昼には着くと思いますよ、えっと ファステルに行くんでしたっけ?」


「戻ってどうするんですか」


冗談が通じない人だ、ちゃんと王都に向かってやろうじゃないか、なんかエンジン掛けたくないなぁ、こんなことならハルク連れてくれば良かった、俺の身をヒルダさんから守ってくれるだろう


朝に出発した俺たちは無事に昼には王都に着いた、本当は昨日の夜には着いていたのだが、俺の気持ちの整理がつかない、結婚ってもっと楽しいと思っていたのにどんよりとしている


「まずは父に会っていただきますね、紹介致しますので」


王都の中でも今まで行ったことのない貴族街へと向かった、徒歩で行くのはおかしいと言われ辻馬車を雇った、当然俺のお金で、ヒルダさんは出すそぶりもしないし、テレサは口出しすらしませんって態度だった


周りの屋敷と比べて大きくも小さくもなく、普通の大きさの屋敷に着くと、入り口に居た男の人に


「ハンス通しなさい、ナオト君を連れてきたから、お父様はご在宅かしら?」


馬車のまま門を抜けて、正面の門に着いた、ハンスの居たところから正面の門までは馬車で3分、歩いた方が早い


ヒルダさんがノックもせずにドアを開けると


「ハンスお父様を今すぐ呼びなさい」


呼び出しに行ったハンスが帰ってくるまで5分、すると


「これはこれはナオト様ようこそおいでくださいました、拙宅に来ていただいて光栄です、私はフレッチャ伯爵の当主ヒルダの父ルードヴィヒです」


舌噛みそうな名前だな、でも伯爵が俺に向かって“様"ってどうゆうこと?


「俺のような者に敬称なんて不必要ですよ」


「いえいえ王位継承権のあるナオト様に呼び捨てなぞ出来ません」


え?どうゆうこと?

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