第33話
戦争が近いと聞く割には兵士の姿がないな、戦争が近いなら兵士がうろちょろしてるイメージだが
「どこが戦場になりそうなんです?見る限り平和そのものですがここら辺は危険じゃないんですか?」
「おそらくここも戦場になると思いますが、今はまだ砦に集結させてる状態じゃないですかね」
早く通過しないと危ないじゃん、矢でも飛んできたら怪我じゃ済まない
「急ぎましょう、抜け道とかないんですか?」
「そんな道馬車が通れるわけないじゃないですか」
鼻で笑われた、そんなインフラ設備するだけの土木力はなさそうだ。
いつ危険な目に合うかとひやひやしてたら意外に暇つぶしになった、何もすることはないのは一緒だが、襲われると構えていると時間が過ぎるのは早い、ただ疲れるのは倍だ。
心配をよそに何事もなく帝国領へと入ったら、道中は多少魔物は出たが迷走の猪があっさりと退治、話を聞くとかなり魔物が少ない旅となったようだ
商人ギルドは世界的な組織らしく、ギルド証が身分証明となり、怪しまれることなく検問は通過できた、ただ王都のような特別扱いはされることなく、2時間ぐらい待たされた上でだが
迷走の猪とは帝都で分かれた、道中でうざかったマークの声を聞けなくなるのは寂しいものだ、暇つぶしによくこの不細工をからかって時間潰しをしていたからだ、根が単純なので褒めると調子に乗って武勇伝を聞かせてくれた
おそらく殆どは作り話であろうが、楽しめたのは事実だ
帝都の商人ギルドでまずは不動産の依頼をし、その後宿を取る、折角の帝都なので、なるべく居心地が良く、そしてヒルダとは別の部屋での条件で
その願いは叶うことなくまたもや同じ部屋となった、俺への嫌がらせではなく、安全面でのことと言われたが、俺の貞淑への安全はどうなるのかも考えて欲しい
お店の候補地は何軒か提示されたが全てヒルダが取り仕切った、人通り、広さを加味した上で決めた
ここ帝都の商人ギルド長はドイマンと言い、かなり偉そうだった、ライトさんの爪の垢でも煎じて培養して欲しいぐらいだ、なんでも帝都が世界の中心と思い込んでいるらしい
新宿に連れて行ってやりたいと思ったりもしたが奴隷でないと連れて行けない、面白いのはヒルダとドイマンのやり取り
「あの有名なフォーセリアのこんびにがここに支店を作りたいとの希望です、ふさわしい店舗を紹介してください」
「そんな名前この帝都リューベックでは聞いたこともないが、貸店舗なら紹介してやらんでもないが、手ぶらで?」
「もちろん手ぶらでなんてそんな失礼なことするわけないじゃないですか、ほらナオト君例の物出して」
俺何も聞いてないよ、何出せばいいんだよ、お土産的なものでいいの?だったらグラスでいいか、なんてったって8,000個も眠っている
「こちらどうぞ」
と10個差し出す、どうせ1個22円の代物だ痛くもない、だが向こうの反応は
「こんな高価な物差し出すなんてかなり切羽詰まったようだな、いいだろうこのドイマンが物件を用意する」
なんかすごい物を賄賂にもらったような感じがするけど、フォーセリアでも1個銅貨50枚って言ってたし、帝国だとどんだけでの価値があるのか
「私のナオト君の力を恐れ入ったか」
私のってとこかなり引っかかるよね、まだ誰の物でもありませんってね、
「これは1個で7000ゴールドはするであろう」
因みに1ゴールド1円の価値らしいから、7000円、フォーセリアより物価が高いってのがわかる、8000個売れたら5億6千万円ってなる、すごいな
ヒルダ
「そんな安物ではないぞ、1万ゴールドはするであろう」
止めてくれ、そんな高く設定したら売れる物も売れなくなるだろ
「それぐらい高価な物か」
納得しちゃったよ、驚きだな
「それを5000ゴールドで1000個卸してやろう、お前におまけで10個やろう、代わりに最高の物件を用意しろ」
(すごい強気だな、ヒルダよ、あんたそれ銅貨30枚で買い叩いたよな)
「わかった感謝する、すぐにゴールドは用意する」
こんなやり取りであった、ドイマンは偉そうだったがヒルダはそれを相手に完全勝利だ
ヒルダが選んだ物件はかなり広い、こんびにの3倍もの広さがある、家賃は月に100,000ゴールド、安いな、賄賂の効果テキメン。
後は商品を陳列して商売をするだけだ、因みに帝国では塩も砂糖も自由に売っていいらしい、100グラム5,000ゴールドだ
1キロしか持ってきてないからすぐに売れちゃうな、どうせなら100キロぐらい持ち込めば良かった
こうして無事帝都での開業にこぎつけるのであった
帝国にずっと居ることが無理なので奴隷を雇った、今度の奴隷は スージー、ハンク、ローザ、男1人、女2人だ
1日は教えるのに要したが次の日にはファステルに帰る
テレサ達も心配だし、そろそろ日本での営業許可も取れたと思うし、ヒルダはしばらくこちらのギルドでやることあるようだ
帰りの手配もヒルダがやってくれると言ってくれたが、早く帰るためにそれは断った。
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