第93話
「オーナーやっとオープンですね」
「そうですね、気に入った物が作れました?」
「はい、任せてください」
田所さん意外にこだわりの人、食材に負けないような調理法が出来るまでお店はしませんとのこと、今回はかなり苦戦している、食品衛生管理者でつまずいて、食材の運送でもつまずいて、そしてこの調理法ときた
素材が良いんだからシンプルでいいかと思いきや、デリケートな素材なので油とか揚げる時間とか何度も実験を繰り返していた
オークやコカトリスの肉もただじゃないんだけど、唯一の従業員にヘソ曲げられても困る、もちろんアルバイトは雇ったみたいだけど、どんな子達とかは今日まで知らなかった、最近余裕が出てきたので船橋さんに両店舗見てもらうことにした
5万円給料上げると言ったら喜んで引き受けてくれた、ソラちゃんのこともあるし、しっかり稼いでがっちり貯金していってくれたらいい
俺も子供が出来るのかな、前までは妄想だけど奥さんが2人も居たら絶対にできそうでなんか怖い、成長した娘に汚いなんて言われたら立ち直れないよ、ヒルダさんとこなんてお母さんお金好きそうだったし、未来が読めて怖い
まもなく開店だが、こんな時孤児院の子供達とかが賑やかしなんかで居てくれると非常に助かるのだが、こちらには来れないし、来れても労基法で捕まる、純真な子供の訴えに勝てる大人は居ないだろう
俺から言わせたらマッチ売りの少女なんておかしい、かわいい少女が売ってるいる物断れるかよ、俺はロリコンじゃなくて単なる子供好きだ、でもテレサもらっちゃったからな、その自称も否定できなくなってしまった
俺、田所さん、アルバイト3人、土曜日の11時、開店のためノレンを表に出す、戸を開けた瞬間外が見えたが5人ほど待っていた、絶品空間の時と違ってスタートダッシュは成功のようだ
今回実は秘策を用意した、ファステルで木の看板を作ってもらった、もちろん字は向こうの字で、その上に振り仮名として異世界フライ店と書いてある、これで異世界感満載になる
少なくてもこの世界のどの国の文字でもないわけなので注目は得られるであろう、メニューも"オーク豚肉のトンカツ定食"と"コカトリス鶏肉の唐揚げ定食"と本当の名前のメニューになっている、誰も信じはしないだろうが
ここだけ感の個性をかなり強く打ち出した、看板だけでも一度は寄ってみようかなと気分になってくれる可能性はある、
「いらっしゃいませー中へどうぞ、メニューは2品のみです、どちらにされますか?」
待っていた5組全員がトンカツ定食だ、オークの方が食べてみたいのかな、熱々のトンカツを運び込むと一番最初に聞こえるのはムシャムシャでもモグモグでもなくパシャパシャ、SNSでアップするのであろう、名前倒れと載るのか、面白いと載るのかまあ結果は見えている、まずいわけはないのだから
その後はまばらではあったが14時の閉店まで途切れることは無かった、今日用意した肉は500セットぶんだが、売れたのは50セットのみ、用意しすぎたようだ、明日からは100ぐらいにしとこう
シルキーにもそのように伝えておかねばならない、運ぶのはシルキーなのだから、親父からもらう予定のドアをどこに置こうか迷っている、この店に置けばシルキーの仕事はほぼなくなるが、向こうが繋がってるのは王都だ、異世界側のドアも移動できるらしいが、両方の入り口をいっぺんに変更は怖いのでしばらくは止めておく
今日は初日なので14時で閉店するが普段は11時から20時までやる予定だ、飲食店では定番の2時から17時まで休んでその後の夜を長くはしない予定だ、昔飲食店でバイトしていたがその3時間もの休憩時間を持て余してパチンコばっかりしてバイト代がほぼパチンコに消えたことがあるので絶対にしない
「それじゃあ田所さん明日からも宜しくです、定休日は水木で良いんですよね?」
「週に2日も休みで大丈夫なんですか?」
「そうしないと田所さんお休みなくなるじゃないですか、片付けと準備を入れたら8時間労働越えてしまうのが申し訳ないのですが」
「いえいえ、そこまで考慮していただかなくても大丈夫でしたのに」
「時期はずれますけど夏と冬と春もしっかりと長期休暇は作る予定ですからね」
「余りサービス業でそれは聞いたことがないのですが」
「しっかり働いてちゃんと休むがもっとーですから、私も明日から新婚旅行でしばらく休みます」
「オーナー結婚したんですね、おめでとうございます」
「仕事が忙しくて正直相手の人に会えてないのですが」
「初めからそれだと後々ずっと言われますから気をつけてくださいね」
「はい、ありがとうございます、それでは私はこれで」
お店を後にすると航空券を買いに行く、新婚旅行どこに行くかは決まっている、矢張りハワイにしよう、行ったことがないが新婚旅行としたら定番だ、今から実家に行ってドアをもらいに行かなければ、その後は旅行を楽しもう
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