第69話

「スギヤマサン、感謝してもしきれないですよ」


「大丈夫です、こちらも打算の上での行動ですから、治ったばかりでなんですが!私も時間がないので約束は覚えてますよね?」


「勿論です、私に何かお力になれることが?」


「はい、戦車が欲しいです、5台」


今回実際に戦争に使うのではなく威嚇の道具としての戦車、見た目もごついし、威嚇で大砲を撃ったりすれば停戦に持ち込める可能性が高い


「今日は先程のお水を残り19本用意しました、どんな病気や怪我も一瞬で回復します、失った手足、失明した目でも大丈夫です、唯一使えないのは寿命だけですね」


「それは凄まじいですね」


「効果は先程見て頂いた通りでございます」


実演にて実証した、後は用意の為に時間をどれだけ短縮できるかどうかだけだ、前回ライフルと拳銃を用意してもらったので武器の取り扱いがないとは思えない、ただ今回は戦車、すぐに用意できるかは不明だ


「そうですね、1番の問題は運送です、ですが例のバッグさえあれば解決できそうですね」


「そうですね、一瞬で収納できます」


「私と一緒にロシアにに行きましょう、そこでお渡しできると思います」


「ありがとうございます、いつ行けますか?」


「実はお待ちいただいた間に武器か麻薬だと予想していたので両方とも準備はしておきました、なので明日行くことが出来ますのでご安心を」


麻薬なんて必要ないが欲しいと言ったら用意してくれたのか、なんかちょっとサダムさんの予想が怖い


「私が麻薬が欲しいって言った時は用意して頂けるのですか?」


「勿論止めます、あんなのは使わないに越したことはないですからね」


本気か冗談かわからない物言いだな、ただ頼むことはないだろう、間違ってテレサ達が使ってしまったと考えるとそら恐ろしい


次の日サダムさんと一緒にロシアへと旅立った、まずはモスクワに飛び、その後はどこに行ったのかわからない、目隠しをされてから飛行機と車で移動した為だ、軍事秘密がおそらくあるのだろう、スパイではないので目的の物だけ手に入れたらそれで大丈夫だ


サダムさんはロシアに慣れていた、仕事の関係でよく来るらしい、それと言うのもロシアは世界最大のダイヤの産出国でもある、サダムさんとはモスクワで別れた


「この度は色々とご協力頂きましてありがとうございます、これで紛争を止めさせることが出来ます」


サダムさんには小国の紛争を止めるための威嚇武器として戦車を用いると伝えてある、一介の商社マンが何故そのようなと言った疑問はあるだろうが、その点は特に聞いてこなくて助かった


「いえいえ、父の命を救ってくれてこちらこそお礼を申し上げる、今父の命が消えると内紛が起こる可能性もありますからね」


自爆テロが起こるぐらい気性が激しい中東の人だ、内紛なんて起こったらどれだけの犠牲が出るかわからない。


俺も異世界の戦争を止める為に急ごう、ヒルダさんからは1ヶ月ぐらいと言われては居るがいつ始まっても不思議ではないのだ、特に帝都と王都の距離は300キロしか離れていない


1日15キロの行軍で20日だ、それぐらいで考えたろうが良いだろう、残りの日数は、、、15日間か、余裕はあるがファステルに戻るだけではダメなのだ、王都に行かなければ、そして防御柵の建設だ、まだまだやることはある。


「テレサ みんなすぐ店を閉めろ、今からすぐに王都に行くぞ、準備しろ、ポーションを持てるだけ持ってけ」


「はい」


俺の真剣な顔を見て否定する意見はない


「親方ー、ちょっと王都まで付き合ってくれ、工房の仲間も一緒に頼む」


「いきなりなんじゃ」


「帝国の侵攻を止める為に今から王都に行って防御策を作ってもらいたい」


「わかった、すぐに集める」


「ライトさん、ヒルダさん、今から王都に行きますよ、帝国軍を止めます」


「え?はい、わかりました」


みんなの力を集結させる、本当は冒険者ギルドにも協力してもらいたいが、そこまでのコネはないのでヒルダさんに頼む


後は王都に行ってからだ、向こうに着いたら柵の建設、戦車の操縦、デモンストレーション用の的も作る


トラックに全員詰め込む、アステル達は驚いていたが他のみんなはもう見たことがあるので慣れたものだ


運転はハルクにさせて、俺はみんなにやってもらいたいことを話す、ヒルダさんとハルトさんは王都での俺の行動の許可だ、勝手に動いて処罰されてもたまらない


帝国侵攻の噂を嗅ぎ付けて王都から避難する馬車がたくさん見かける、この時期王都に向かうなんて自殺行為だ、フォーセリアが負けることは自国民であったもみんな感じてることだ


(愛国心ってないんだな)


俺なんて他国民なのに、俺の奴隷だけだったら日本に避難させることもできるが、スラムの子供達や親方達が傷付くのは嫌だ、おまけにヒルダさんも、その為に絶対に阻止する


戦車の性能チェックも頼まないとな、危ないことをしようとしているのに気分は高揚している

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