真野てん

本作は日中戦争の前夜――作中では義和団の乱から三十年という記述があるので、そろそろ満州事変も起ころうかという時代背景のなか、義憤に駆られた若者たちによる闘争が描かれている。 抗日…続きを読む

古くから降霊術のひとつとして知られる百物語。 百の怪談をし終えたとき、語り部たちに厄災が訪れるという。 しかしそれは座興としてのおとぎ話。 でも。 彼らはまだ知らない。 …続きを読む

厳密に言えば主人公たちは探偵ではないのですが、ひとつひとつの証拠を、古文書や魔導書に記載された実例に照らし合わせて解決していくという、とてもユニークなファンタジー作品です。 異世…続きを読む

本作は都市伝説系のオカルトをモチーフにしている。 創作活動をしているひとのなかには、この辺の記事を読み漁ったことのあるひとも多いのではなかろうか。 自分もまたそのひとりである。…続きを読む

RPG由来のWeb小説は数あれど、ここまでゲームに振った作品も珍しい。 ゲーム臭さを消すのではなく、あえてゲームにしてしまっている逆転の発想がそこにはあるのだ。 舞台は超高齢化…続きを読む

霧の都ロンドンにある一件のイン（宿屋）アステリズム。 先代のころには繁盛したその老舗も、当代にあっては崖っぷち。 そこに現れた、コンサルタントはなんと、日本は遠野の妖怪・座敷わ…続きを読む

秋田を代表する鬼こと、なまはげ。 そして天界を代表する大天使ことサリエル。 このミスマッチが生み出すかつてないハーモニー。 かたや人道支援にくたびれてしまった公務員がごとき天…続きを読む

異世界転移と言えば、こっち側の知識や技術をもって、あっち側の世界で無双したり、ハーレムでムフフしたり、スローライフをしたり、世界征服をたくらんだりするのがお約束。 しかし本作は、い…続きを読む

厳格な筆致で彩られる、山水画の世界。 そこは人ならぬものたちの領域だった。 禁じられた恋ほど、切ないものはない。 まだ「彼ら」にはそんな自覚すらないかもしれないけど。 ひとは…続きを読む

人の出会いは奇なるもの。

本作に登場するボーイとガールもまた、不思議な出会いをしました。

そう、不思議なんです。

そのわけは読んで確かめてください。

おばさんというのは本当によく物事を観ている。 細かい、というとネガティブなイメージを持たずにはいられないが、本当はそうではない。 真実を追求する目を持っているだけだ。 本作に登…続きを読む

本作のお題目としても掲げられている「葉隠」の引用について少し。 『武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり』 この言葉を残したのは佐賀鍋島藩士・山本常朝なる人物で、祐筆であったとされる…続きを読む

一話一話が独立していながらも、そのひとつひとつをおざなりにしないという作者さんの気持ちが伝わってくるようです。 謎解きだけがミステリーではないという主張が、本作を通して世界に届き…続きを読む

思い込みというのは人生に付き物で、ふとしたきっかけが真実にたどり着くヒントだったりする。 しかし多くのひとはそのヒントを見逃したり、自分のなかで膨らませてしまった虚像こそを真実と…続きを読む

恋愛においてひとに好きになるということは、まさしく己そのものを相手にさらけ出すことにほかならない。 古今東西のあらゆる詩人や哲学者、はては神学に籍を置くものたちが語ってきたその「…続きを読む

現世を見れば過去世がわかり、現世を見れば来世も分かる。 生まれによって行いが決まるのではなく、行いによって生まれが決まるというのがいわゆる因果の法則。 さて、今回登場する彼らの人…続きを読む

いや面白かったｗ 本作は、web小説がまさにエンタメであることを証明してくれたわけだが、これがコミカライズされたときの編集さんたちの表情が見て取れるようだった。 詳細は本編を読ん…続きを読む

もやし初の一人称小説である。おそらく。 擬人化とかもうすっとばして、もやしそのものなのだ。 人間は考える葦であるという。 ならば物憂げなもやしもまた、ひとなのではないか。 …続きを読む

突如として巻き込まれた不可思議な事件に、男は戸惑いながらも最愛の息子のために札束を抱えて奔走する。 まるでハリウッドのクライムサスペンスのような展開が、この短い文章のなかで躍動す…続きを読む

偽空と呼ばれるかりそめの天蓋のもと旅を続ける、ひとりの少女と「棺に入った何者か（もしくは棺そのもの）」との物語。 まだまだ始まったばかりで謎だらけではあるのだが、その傾向に村上春…続きを読む

オリンピックを象徴する五輪のマーク。 それは五大陸を表しているが、そのなかに「アトランティス大陸」の存在はない――いまのところは。 2020年に行われる次期オリンピックの開催…続きを読む

人生は一筋縄ではいかない。それはたとえ青春時代であっても。 高い壁がある。それは自分のなかに作り出した幻想であることが多い。それを飛び越えたとて、何かが手に入るわけではないのだか…続きを読む

これは絆の物語。 不死を得たものは「命」を憎む、とは作中の一節ですが、手に余るものを担わされた人間というのは往々にして狂ってしまうのかもしれません。 そんなことを思い出させてく…続きを読む

タイトルにあるメンガーのスポンジ。 それが本作のすべてであります。 難しい説明は頭の隅にでもおいやって、物語に集中してください。 最後にはきっと理解できますから。 男には結婚…続きを読む

この世ならざる不可思議を退治する存在――退魔師。 それが東京は霞が関の片隅にひっそりと部署を構えているらしい。 主人公の直道は『内閣府大臣官房総務二課』と呼ばれる怪しい部署に…続きを読む

カクヨムではあまり見ないタイプの本格派ミステリである。 物語は主人公・薄井顕が捜査一課――いわゆる殺人事件を扱う刑事ドラマとかでもおなじみのアツい部署である――に配属されるところ…続きを読む

琵琶湖と深い山々に挟まれた僅かな土地を生活圏とし、鳥人間コンテストとひこにゃんくらいしか知名度のない、あの無個性な自治体として有名なあのし、し、し？　しがけんって言ったっけ？ ま…続きを読む

某イカれたCM風なタイトルはひとまず置いといて、本作の舞台は2020年の東京――そうかつて大友克洋氏がAKIRAのなかで予言していた東京オリンピックが開催される年である。 しかし…続きを読む

Twitterで話題となっている人気の創作タグ。「＃魔女集会で会いましょう」にインスパイアされた作品。 基本的なストーリーラインはタグの通りなれど、細部に光る書き手のセンスでうま…続きを読む

べつに古参アピールをするつもりはないんですが、アマチュアで十年書いてても「へぇ～そうだったんだ！」という発見のあるお話です。 これから先もweb小説サイトが隆盛であり続けるための…続きを読む

物語は唐突に始まり、「終わり」からスタートする。 異世界を満喫した聖王が、じぶんの治めるべき世界へと帰還したとき、すでに長い年月が経っていた。臣民たちは皆、聖王の帰還を待ち望み、…続きを読む

なにやっても効かないヤツってイラってきますよね。 でも、もう大丈夫。これからお送りする魔王の物語は、ちょっとした発想の展開で勝利が得られるって話なんだ。 弱虫にだって戦い方があ…続きを読む

誰もが知っている絵本の王様・はらぺこあおむし。 小生も幼少のみぎりに何度も読み返しました。 とくに洋梨のページが好きだったように思いますが、遠いむかしのことなので忘れました。 …続きを読む

主人公の青年は最愛の両親とすでに死別している。 そこに現れたひとりの少女。彼ら二人は手を携え、一生懸命に生きていく。 これだけでも感動を誘うが、本作にはまだ秘密がある。 それは…続きを読む

海外SFやスペオペ風少女漫画に胸踊らせた世代には分かるだろう、このワクワク感を。 主人公セロは、とある任務を命じられ一癖も二癖もあるメンバーを従えて厄介な宇宙生物と戦う羽目になる…続きを読む

この物語は異世界バスツアーに命を掛ける、とある添乗員のアツい一日を描いた青春ドラマである。 ――半分あってる。と思う。 異世界との往来もすでに常識となった時代、観光ツアーが組…続きを読む

桜の下には死体が埋まっている――。 よく聞くフレーズだが本作の桜の下に埋まっているのはそれどころではない。 これはとある老人の「青春」の物語。 遺された青年の胸中に去来するの…続きを読む

懐かしい匂いのする正統派ラノベとでも言おうか。 当たり前のことをただ当たり前に表現することの難しさを、この作品は教えてくれる。それは読者の「楽しい」を愚直なまでに描き、アイデアと…続きを読む

これは体験型VRクライミングシステム『上を向いて登ろう』を利用したある男の手記である。 なんでもそうだが男というやつは女性が絡むと最終的にはこうなるんだなということを教えてくれる…続きを読む

古き良き時代のTRPGリプレイでも読んでいるかのよう。 柔らかな文体と世界観とが非常にマッチしていて、読んでいてストレスを感じさせない。 また百合・BLなどの目を引くワードを駆使し…続きを読む

タイトルだけみて、ほんわか爽やか系の話かと思いきや突如始まる魔王との戦闘。しかも主人公は魔王の側のようだ。この展開からしてすでに予想を裏切られているのにもかかわらず、さらにこの作者…続きを読む

何かに行き詰まりを感じたときには、現実逃避もたまにはいい。 逃げた先でなくした何かが見つかるかもしれないから。 そんな気持ちにさせてくれる物語。 作者様の楽しく書いてらっしゃ…続きを読む

「僕だけがいない街」にも似たストーリーの構造だが、その根底にあるものはまったく異なる。 人との関わりを煩わしいと思っていた青年が、ぶーねことの出会いによって変わっていく。 柔ら…続きを読む

求めるものこそ違えど、誰しも大なり小なり同じ感情を抱くはずだ。

本作はすべての人類へのエールである。

あの日、別れたアイツらと、また巡り合うために！

じつに初々しい筆致と、ワンダーにあふれた作風である。 まだ序盤といったところだが、レビューを付けずにいられなかった。 コンテスト参加作ということで、ぜひとも書ききって欲しいと思…続きを読む

母さんごめんよ……。 そこに至るまでの回りくどい精神世界がなんともいえない。 それはあたかも、ルーブ・ゴールドバーグ・マシン（ピタゴラ装置ともいう）だ。 単純かつ明快なオチに…続きを読む

昨今のサウナ屋は、ポイントカードを貯めると異世界へ連れていってくれるらしい――。 そんなコンセプトのもとに描かれた本作。すでにただでは済まない雰囲気を醸している。 日本中のサウ…続きを読む

大唐帝国二代皇帝・李世民の時代。 華やかだった天下がゆるやかに斜陽となり、病弱だった三代皇帝・高宗にかわり武則天が暗躍しようかという頃だ。 玄奘三蔵と同時期を過ごした文官、王玄策…続きを読む

ある一定の年齢層より上なら、懐かしいと思えるあのフレーズ。 本作の主人公の身の上にはまさにそれが降り掛かっているのである。 寝ても覚めても戦い続ける、ジャパニーズビジネスマン（…続きを読む

まずは読んでほしい。 カワイイちゃんがマジでかわいいから。 どういう作品かって？ いやそういうんじゃないんだ。 あえていうなら癒し系。 あえていわなくても癒し系だ。 も…続きを読む