7世紀の中国・唐。かの玄奘法師とは別に、唐から天竺へ四度も往復した女傑がいた。名は王玄策、なんと十八歳のうら若き女性。北魏王朝の末裔や自称通詞、気の荒いラクダや馬に野生の驢馬まで、役に立つのか立たないのかわからない面子を連れて、彼女は遥か天竺を目指すーー。
作者さまが「史実重視」と仰るだけあって、当時の文化や民族関係、人物に関する記述が多いのが特徴です。でも、難しくはなく、文章はライトでサクサク読めます。
登場人物は、王玄策を含めみな個性的で、会話がとても楽しいです。
これから、ラサのポタラ宮へ向かい、チベット仏教圏へ入るもよう。文成公主の登場をお待ちしています。
まだ、十八と若い娘が天竺まで、仲間と共に旅をする。
歴史がわからない人にも、難しく御託を並べるわけではなく、すっきり読めるように書かれています。蒋師仁と一緒に謎を追いかけるのが楽しいです。
以下最新話ネタバレあります。
最新話の駱駝と馬には笑いました。駱駝、たしか喧嘩や興奮したら口から胃を出したような・・・。蹴られたら骨折、酷いと亡くなるので近づくのは怖いですよね。冷静に対応する蒋師仁が可愛いです。
個人的に中国歴史が好きでして、夏王朝や、吐蕃、楼蘭が好きですので、ネットで中国の歴史の小説があるとついつい読んでしまいます。
これから、王玄策が愉快な仲間たちとどんな旅をするのか、とても楽しみです。
唐の時代の中国に実在した文官、王玄策の天竺行を語る物語。
中国史にうとい方(主に私です!)にもぴんとくるポイントは、あの『西遊記』の三蔵法師が天竺行を成した直後から始まるお話だってことですね。
玄策さんは生涯の内、はっきりしてるだけで3回天竺行を達成してますけれども、この作品はその史実に基づきつつ情感に満ち満ちたドラマが散りばめられていて、引き込まれずにはいられませんでした。構成がお見事です。
このあたり、作者さんのキャラ立てがうまいのもポイントですね。
顔なんて知らないはずの玄策さんが、読んでると自動的に「とほほ」って感じで浮かび上がってくる感じ。
玄策さんだけじゃなくて、登場キャラ全員がすごく人間臭くて生き生きしてるんですよ。
固くなりがちな歴史ものをここまでやわらかく読ませてくれる作品、はっきり言って希少です! 普段歴史へ触れる機会のない方にもおすすめです。
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)
大唐帝国二代皇帝・李世民の時代。
華やかだった天下がゆるやかに斜陽となり、病弱だった三代皇帝・高宗にかわり武則天が暗躍しようかという頃だ。
玄奘三蔵と同時期を過ごした文官、王玄策という人物がいた。
この者、中国からの天竺(インド)への道のりを三度、外交使節として往復し、ときには現地の内紛に武力介入したと言われるほどの傑物である。
しかし史実にこの者の詳細な人物像は残っていない。
あるいは女性ということもあるのではないか――。
おりしも歴史上唯一の女帝となる武媚娘が活躍していた時代の物語である。そんなフィクションがあってもいいのではなかろうか。
わたしは大いに楽しみたいと思う。