その者、史実に詳細な人物像は残っていない

大唐帝国二代皇帝・李世民の時代。
華やかだった天下がゆるやかに斜陽となり、病弱だった三代皇帝・高宗にかわり武則天が暗躍しようかという頃だ。

玄奘三蔵と同時期を過ごした文官、王玄策という人物がいた。

この者、中国からの天竺(インド)への道のりを三度、外交使節として往復し、ときには現地の内紛に武力介入したと言われるほどの傑物である。

しかし史実にこの者の詳細な人物像は残っていない。
あるいは女性ということもあるのではないか――。

おりしも歴史上唯一の女帝となる武媚娘が活躍していた時代の物語である。そんなフィクションがあってもいいのではなかろうか。
わたしは大いに楽しみたいと思う。

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