清々しいボーイミーツガール、いわば青春小説の王道とも言うべき作品ですが、驚くべきはその筆致の美しさです。一見、ありがちに見えるかも知れないボーイミーツガールを、それがここまで完成度が高い作品に昇華させているとの印象を受けました。フットボールでは、「気持ちの強い方に球が転がってくる」との球際での格言がありますが、これもまた然り。いや、ネタバレになるのでこれ以上は書けないですけど。2人の今後を、見続けたいなぁ、なんて思わせてくれる作品ですよ。
真野さんの作品、と言うかカクヨムの作品を久しぶりに読みました。今まではタイトルを見ても興味がわかなかったのです。でもトップページで真野さんのお名前を見た瞬間に、たいへん読みたいと言う気持ちが持ち上がりました。で、読みました。私の直感は間違いなかった。ちょっとだけ、既読感がありましたが、優しい筆致でスラスラと気持ちよく読めました。清冽で青春の香りがして、ちょっとびっくりさせられて、いい読書時間を過ごせました。ありがとうございます。
危機的な状況にあるのに、一人の女の子を連れ戻した室井くん。 そこにあるのはきっと愛だね……と、下世話な私など言いたくなるのだが、実際のところは判らない。 ただ言えるのは、思いやりの深い男の子だということ。 彼の思いやりある行動のおかげで、二人は秘密を共有することになる。 その秘密は、不思議でそして温かい体験。 短編なので、ネタバレ避けのために意味ありげな内容のレビューしかかけないのがもどかしくなる。 ねぇ? 読んで読んでと言いたくなる作品です。
これほど数万字分の衝撃を感じられる短編はそうそうない。本当にそう思える作品です。見てしまったからには呼んでみて欲しい。切実にそう思います。
ああ、やっぱり俺はこの人の作品が好きなんだなと再認識。わかりやすい感情の描写と、意表を突いた設定、すっと落ち着くラスト。そのくせありきたりではない、ハッキリとした個性あふれるカラー。ひねってくるくせに素直という矛盾を両立した、素直に脱帽できるいつもの真野作品であった。うむ。
人の出会いは奇なるもの。本作に登場するボーイとガールもまた、不思議な出会いをしました。そう、不思議なんです。そのわけは読んで確かめてください。