桜の樹の下というと、死体を連想する風潮があります。
満開からパッと散る花は、儚さや別れの象徴でもありますね。
この作品にも、そんな寂しさは漂っているものの、もう少し甘くて暖かい。
別れは必ずしも悲しいだけじゃない、そんな前向きな明るさが気持ちいいです。
日帰りファンタジーとしてコンテストに登録されたようで、異世界との交流という主筋は正しく今風です。
しかし、現代ドラマが好きな人でも、SF系ショートショートが好きな方でも楽しめる内容だと思います。
違う世界に魅せられたある男の一生に、若き青年と一緒に思いを馳せてみましょう。
綺麗に3話で完結するお話ですが、番外編のような続きが存在します。
『桜が咲くまでに』、こちらは青年が主人公で、より現実に寄ったスピンオフ。
気になった方は、ぜひ合わせて読んでみてください。