中華料理の知識を持つ高校生の少年と、読書姿が似合う完璧ヒロインを結びつけたのは、天津飯だった。
眠りの夢の中だけで巻き起こる、コミカルなファンタジーの物語。それが愉快な学校生活と並行して語られる様子は、気軽な『日帰りファンタジー』という、ちょっとした非日常感にとてもマッチしていますね。会話が軽妙でテンポ良く笑えて、短時間で読めるのに満足感は十分。
一見すると完璧超人なヒロイン、当然ながらただそれだけで終わらせないキャラの立たせ方も素敵。天津飯おごって食べてるのをずっと眺めていたい。そんな子。かわいい。
だいたい、タイトルが詩的な感じでタグを見たらクソ懐かしい田村くんとか何故かファンタジーで天津飯とか、もう、この時点で何が何やらと心掴まれますよね。
そしたら、これは読むっきゃないでしょう。
姫宮愛理のキャラクターがとんでもなくおもしろい作品でした。
成績優秀で、趣味は読書。
でも勉強のみならず運動神経も抜群で、さらに料理も上手く、裁縫もお手のもの。
これで誰にも優しく、例えば読書中でも話しかければ迷惑そうな顔ひとつしないでにこやかに対応してくれるのだから、まさに完璧超人
なのに……なのに……!!!
よだれは垂らすわハァハァするわ……。
あと、どれだけ天津飯が好きやねんw
読んでいて何度も笑いました。
公式が病気……うん、意味がよく分かったw
キャラクターの関係やストーリーは割と王道なのですが、抜群にキャラクター造詣がうまいんです。
あとは軽妙な話運び。ところどころネタが入っていて中だるみせずに楽しんで読むことができました。
作中に出てくる
『異世界でも美味しい天津飯を食べたいので勇者をやります』
これ、ものすごく読んでみたいと思いました。
誰か書いてくれないかなー……?
主人公とヒロインが同じ夢を共有し、その夢の核心に迫っていく物語なのですが――ものすごく分りやすく、そしてテンポの良いラブコメです!
余計なことは考えず、ただただ楽しく読める作品です。キャラが良いし、ギャグが面白いし、読後感も良いです!! 全てにおいて良い塩梅のラブコメに仕上がっています。
とくにヒロイン・姫宮さんのキャラは秀逸で、ギャップ萌えの極致です。物語の軸に「天津飯」なる素材を打ち込んだ所に、作者のセンスと狂気を感じさせます。あと、腹が減ります……
メタ的な要素もありますが、そこは隠し味といった感じで楽しめれば、より一層楽しめるでしょう!!
さぁ、世界一の天津飯を召し上がれ!!
完璧なヒロインに恋い焦がれる、ザ・平凡な主人公。
ヒロインの秘密と悩みを知ってしまい、その解決に(諸々の事情もあって)協力することに。
展開は王道で何とな~く先の流れは想像がつく。だというのに、どう着地するのか直前までわからない。
この匙加減が絶妙で、各話ごとに「次はどうなる?」が持続して最後までずっと物語に引き込まれてしまった。
読了後は「くぅ~、お見事!」と思わず漏らしてしまったほど。
そしてまた主人公を取り巻くヒロインと友人のキャラがいい。
ヒロインをキャラ崩壊させた「あのシステム」って、本当に誰が考えたんでしょうね!?
友人も二人の変化をいち早く感じ取り、絶妙なフォローをするとてもイイ奴。
いいなぁ、こんな青春時代を送りたかったなぁ!w
そして最後に……天津飯はとろみが大事よね(何を言っているんだ私は)。
新垣賢人は夢の中で魔王となって、女勇者と終わらない戦いを繰り広げられていた。この女勇者あまりにもワンパターンすぎて楽勝すぎる。
賢人は内心飽き飽きしていたが、これは全部夢の話。
起きれば憧れのクラスメイト姫宮さんに会うために、うきうきとして学校へ。
しかし、姫宮さんには秘密があった。それにはなぜか夢の女勇者と関係があるらしいのだが――。
ええと、読んでいただければわかるのですが、本作はお腹が空く小説です。特に天津飯を食べたくなります。
だって女主人公の動機やら、姫宮さんやら、賢人やら、全部天津飯に通じているのですから。全ての道は天津飯に通ず!(上手いこと言ったな俺)
つまりこれを読めば今日の夕食は天津飯で決まり!ってな具合で。
夕食のメニューに悩む奥様方、これを読んで夕飯は天津飯にしましょう。もしくは旦那を説得して中華料理屋へGO!
(真面目な話、天津飯を通じた青春小説です。天津飯ジャンキーの姫宮さんのために頑張る賢人君、カッコいいですよ。おすすめです)