つとむュー

まさか、？？？が主人公とは！？ 本作のアイディアに驚いた。 確かにこんな主人公がいたら、作者に作中通りのことを望むだろう。 —―お前が終止符を打てば、誰がなんと言おうと、それは物…続きを読む

国分寺の姿見の池には、恋ヶ窪伝説が伝わっている。 その昔、逃げた遊女が武蔵野に隠れていた。 そこで出会ったのが畠山重忠。鎌倉の源頼朝に仕えた武将だ。 恋に落ちる二人だが、重忠の死を…続きを読む

――マンション街をかっ歩する乳牛、地面を泳ぐ魚たち。 見えないものが見える少年は、きれいなお姉さんと出会った。 そして、見えているものの正体を知る。 少しばかり昔の武蔵野の風景が、…続きを読む

末期ガンの七十五歳の老画家。 死ぬ前にどうしても描きたいものがあるという。 その謎解きを託された医師は、さいかち窪を訪れる。 そこは、雨の多い秋には湧き水による幻の池が現れる場所だ…続きを読む

推し活というと、手が届かないものへの憧れというイメージがあった。 この作品で登場する身近な存在は、主人公にとっては手が届かない。 でも主人公は憧れる。 コーヒー香るあの場所に、そし…続きを読む

印刷会社で働く高橋雄志は突如、異世界に召喚された。 しかしわずかにレベルが足りず、勇者パーティメンバーから漏れてしまう。 城下町の平和を守るだけの生活に嫌気がさした彼の頭の中で膨ら…続きを読む

湧き水が多いことで知られてきた東久留米市。 南沢氷川神社から西へ歩みを進める主人公は、水の流れに思いを寄せる。 そして幼少期との視点の違いを、ダイダラボッチの俯瞰と重ねてみた。 …続きを読む

――人々が神を忘れた時代に、人間の少女として過ごす権利を得る ダイダラボッチの太良つかさは、中学二年生の女子として武蔵野へ。 そこで出会ったのは、中二病全開のクラスメートの菊地くん…続きを読む

――私、武蔵野ってことば嫌いなんですよね 友人の円藤沙也加が主人公に言った。 ――存在しないものを、さも在るかのように語っているからです そして二人の武蔵野探しの旅が始まる。 井…続きを読む

父と娘の井之頭公園散歩。 たまごの木、熱帯鳥温室、トウキョウダルマガエル。 次第に父の記憶が解かれていく。 そして娘は、自分の夢を父に語った。 ――父にとってのジャイアント馬場は…続きを読む

小学二年生の紘一。 悲しい時には、団地の公園にあるケヤキの木の下で膝を抱える。 ――辛く悲しい話は、森の木の葉っぱ、夜空の星の数ほどあるものだよ！さあ、楽しい話をしよう！ 紘一はケ…続きを読む

プロ野球、川崎ライトリーズでライトを守る山田次郎。 シーズン二桁のホームランを打つが、いずれもソロばかりなのだ。 その姿はまさにミスター・ソロホームラン。 そこから脱却できずに悩む…続きを読む

舞台は高校は古典研究同好会。 主人公は美人の先輩から、翌年のバレンタインデーの提案をされる。 手作りチョコをあげるから、ホワイトデーには君のフォアグラ料理を食べたい――と。 まだ四…続きを読む

東南アジアの小国、チトパン王国。 青年チューチンは、憧れの国、日本に上陸を果たす。 チトパンの由緒正しきバイクとは？ チトパンで買うと罪になるものは？ チトパンで儲かる商売とは？…続きを読む

主人公は、とある職業を夢見る十八才の上京女子。 西武池袋線沿線の築三十年のアパートを契約する。 ところがビックリ。それは、言葉を話すアパートだった。 恋愛や夢へ向かう主人公の、素敵…続きを読む

世の中には、距離を空けないと解決しない問題がある。 日照権、騒音、匂い、振動などなど……。 そして新たに新型コロナが加わった。 みんな、離れ離れになっている。 でもやっぱり、みん…続きを読む

本作のタイトルを見て、こう思った方もいるでしょう。 これは、俺と後輩（美少年）が裸で描き合うストーリーだと。 どっちが攻めで、どっちが受けなのか、ワクワクしてしまったあなた。 誠に…続きを読む

国分寺市にある姿見の池。 覗き込んだセーラー服の二人が水面に映る。 それは大切な思い出。 忘れたくないから、今年も府中本町駅の２番線にたたずむ。 ――やがて白い光が2番線のホーム…続きを読む

府中市に引っ越したばかりの楓は、烏川先輩に誘われて祭りに出掛ける。 行き先は、武蔵国の六つの神社を合祀する大國魂神社のくらやみ祭り。 ――さ、そろそろ行きましょうか。 鳴り響く大太…続きを読む

日本史を専攻する大学四年生の伊達明人。 江戸の六上水を卒論のテーマに選び、武蔵野台地の東縁にたたずむ。 関口大洗堰――それは神田上水を分水していた巨大な建造物。 ひょんなきっかけで…続きを読む

部屋のクーラーがストライキを起こしてしまった。 ＡＩ機能搭載のアプリをスマホにダウンロードしたのが原因だ。 ――環境問題は一人一人の心がけが大切なのです。 埒が明かないと判断したア…続きを読む

武蔵野うどん屋の祖父。商社マンの父。 子供の頃の主人公が逃げ場に選んだのは、祖父だった。 だから休日になると祖父のところへ行く。 電車を乗り継いで、一時間もかけて。 ――風をきく…続きを読む

武蔵野ミュージアムの北西の森に住む狸。 ある日、ミュージアムの北側の東川に落ちてしまう。 そこはコンクリートで護岸された世界。 ほぼ垂直だから、狸には登ることは不可能だ。 そこか…続きを読む

武蔵野うどんに目がない主人公。 休日になると埼玉や東京の名店を梯子する。 ある日、ふと入った武蔵野うどんのお店。 そこで主人公は感じたのだ。独特な麺の強い香りを。 「何か練りこん…続きを読む

――神社仏閣にこの「お守り」を返したい。 それは、長野の実家の敷地内から出てきたものだった。 ヒントとなるのは、持ち主と思われる女性に関する証言。 そして、和紙に描かれた図柄だけ。…続きを読む

子供の頃に見た、一匹の蛍。 儚げに光る、息を吹きかけたら消えてしまいそうな蛍。 変わりゆく武蔵野に一人取り残される主人公は、 自分をその蛍と重ねてしまう。 そんな時、孫を連れて戻…続きを読む

『昔の武蔵野は萱原の――』 きっかけは国語の音読リレーだった。 友人同士の会話の中で、主人公たちは気づく。 独歩は、武蔵野が林になったことを言いたかったのではなく、 人工物に変わり…続きを読む

――武蔵野鉄道の謎を頼んだぞ。 そう言い残して父は病棟に消え、二度と戻らなかった。 与えられた命題は『武蔵野鉄道多摩湖線、延伸計画の謎』。 息子の薫はその謎を解くため、延伸先にたた…続きを読む

京王線のつつじヶ丘駅から仙川駅にかけての上り坂。 これは国分寺崖線と呼ばれる、武蔵野台地西南部の縁だった。 ――その坂に、挑む。 小学三年の久我少年は、７段変速クロスバイクのペダル…続きを読む

１１歳の少年少女は謎に直面した。 武蔵野の森のゴミ拾いの最中に。 ホタルを見に来た人のマナーの悪さに憤慨しながら。 ４人で謎を解き明かすうちに、明らかとなる歴史。 それは森の自然…続きを読む

府中市にある小さな山、浅間山。 「浅間」と書いて「センゲン」と読む。 そんな苗字を持つ主人公、浅間穂高。 ガイドとして幼馴染、林咲耶を浅間山に案内する。 ——もしかして樹の声が、…続きを読む

――上山口駅は山口県山口市にあるが、下山口駅は埼玉県所沢市にある これはある程度予想できる。西武山口線というのがあるから。 ――幼少期を山口県で過ごした作家国木田独歩 これは知らな…続きを読む

先駆樹。 それは、何もない大地に緑を授け、役目を終えるとすぐに死んでいく。 この先駆樹のおかげで、豊かな森が形成されたのだ。 主人公の夫は、その役割の解明に人生を捧げる。 武蔵野…続きを読む

憧れの吉祥寺住みを手に入れた新社会人。 が、流されるだけの毎日に疲れ、街が嫌いになってしまう。 そんな時に現れた少女。 人々の想いが街を、そして自分を形づくると主張する。 少女に…続きを読む

生まれた時に家族で住み始めたマンション。 だから、カーペットの下の床の色は知らなかった。 そんな引っ越し前夜。 兄と一緒に、十二階のベランダにたたずむ。 ――私の知らない私の城だ…続きを読む

父が怒った。 洪水のニュースに大喜びする愚弟に。 それから一年後、弟は成長を見せる。 武蔵野台地の立体模型を作製することで。 自分で作ったからこそ、わかることがある。 その時の、…続きを読む

絵の具にまみれた学生時代。 強く美しい彼女の横顔に魅了される。 春風が届けてくれるのは、油絵具の匂い。 彼女の傍にいることを決意する。 ――私は後輩くんを応援するよ。 武蔵野で始…続きを読む

子供の頃、たっくんの後を追いかけた雑木林。 草ぼーぼー、蜘蛛の巣、粗大ごみ。 やがて道っぽいものはなくなり、振り向くと薄暗い森の中。 ――もしかして、迷ったの？ それでも私の手を…続きを読む

大学の友人と立ち上げた新事業。 順風満帆と思われたが、ちょっとしたつまづきが致命傷に。 すべてを失った主人公が訪れたのは井の頭公園だった。 そこで見た夢のような風景。 鮮やかな着…続きを読む

吉祥寺。 それは未来を夢見る若者が輝く街。 そんな眩しさに引けを感じながら、 社会人となった主人公は再びこの街を訪れる。 お見舞いに訪れた恩師宅で飲むアイスコーヒー。 ――何が起…続きを読む

人の手で作られた自然に囲まれた、人の手で作られた町。 それが武蔵野。 キャンパスや図書館が並ぶ杜の街に、祖母のブックカフェがあった。 濃いコーヒーの香り、微かに交じる古い紙のにお…続きを読む

大学で日本画を専攻する主人公。 キャンバスに武蔵野公園の桜のトンネルを描く。 そんな中、出会った一人の女性。 絵を教えてほしいと懇願され、供に絵を描く楽しさを知る。 二人の生活の…続きを読む

会ってしまった、憎きあの女に。 いや、正確には会ったわけではない。 が、この強烈な嫌悪感は何？ 彼女をテレビ画面で見ただけなのに。 そんな彼女に復習を誓う話。 主人公は知っている…続きを読む

二〇二〇年の夏。 人々の間で流行したウイルスの影響で生活は一変してしまった。 真夏でも登校しなくてはならない学校。 人間なんてお構いなしに、蝉はけたたましく鳴き続けている。 ――…続きを読む

二〇二〇年。 世界的な伝染病対策で、人々の動きは極端に小さくなった。 それによって、地球の鼓動がよく聞こえるようになったそうだ。 ――この惑星の吐息。 本作は、それを感じる心の豊か…続きを読む

いやぁ、見事なオチです。 某仮装大会なら、思わずランプを二つ付けてしまいたくなるほど。 ほのぼのとした雰囲気と言葉選びと、オチに至るテンポが絶妙なんだと思います。 よく考えたら、…続きを読む

水槽の中で、じっとしているカメ。 普段は一体、何を見ているのでしょう？ もしかしたら、ひそめた顔で飼い主の喜びや悲しみを感じているのかもしれません。 そんな十年前から飼っているカ…続きを読む

油絵が趣味だった祖母。 彼女の大往生を見送ったのは、写真や油絵の花々だった。 クレマチス、クガイソウ、カンパニュラ、ルドベキア、ユーパトリウム……。 それは、祖母が大切に育てていた…続きを読む

舞台は、突如として女子高に接続されたダンジョン。 魔力を持つ者しか入れないという。 そこでの戦いも、魔力が鍵を握る。 なぜなら、魔力が切れてしまったとたん――すっぽんぽんになってし…続きを読む

晴れた日に、海で釣糸を垂らす。
こんな素敵なことはありませんね。
そんな主人公に起こる、さらに素敵な出来事。
ラストの奇跡に、海に行ったらネコを探してしまいそうです。