盲腸で入院した母ちゃんが実はもっと性質の悪い病気なのかもしれない…。そう心配した主人公はある願掛けを思い立ちます。それは傍から見ればまったく馬鹿馬鹿しくて大人なら誰でも止めるような行為でした。しかし、本人はとっても真剣なのです!全ては大好きな母ちゃんを助けるため。その懸命な想いは小賢しい大人をも黙らせる純粋さがありました。コミカルな文体で描かれる感動の「無駄な努力」在りし日の気持ちと家族愛を思い出したい貴方へ、おススメです!
京王線のつつじヶ丘駅から仙川駅にかけての上り坂。これは国分寺崖線と呼ばれる、武蔵野台地西南部の縁だった。――その坂に、挑む。小学三年の久我少年は、7段変速クロスバイクのペダルを踏み込む。しかし、いくら頑張っても坂を上り切ることができない。彼の目的は何なのか?歯を食いしばる彼の脳裏によぎる光景が、涙を誘う。ついお腹に力を込めて、少年の純粋な願いを応援したくなる作品だった。