蛍光

作者 柳成人(やなぎなるひと)

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★★★ Excellent!!!

子供の頃に見た蛍は、光を出す時間は短くとも、少しだけ休んでまた光って。

子供の頃に光っていた主人公は、年を経るごとに変わりゆく影絵のような町の中で少しだけ休んで、でもなかなか光に気がついてもらえなくて、やがて光れなくなって。

蛍と主人公の対比がとても綺麗でした。
素敵な作品をありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

かつて柳瀬川という川のさらに支流で蛍を見た女性主人公の人生が淡々とした筆致で語られる文芸作品。

離婚してひとり娘と実家に戻った主人公は、景色が自分の頃とはまるで違っていることに気づく。やがてその娘が自分と同じように実家に戻ってくる。ひとり静かだった生活は孫中心の生活と変わってしまう。そして自分を見下すような娘。
もういなくなっていたと思っていた蛍がボランティアの手で増やされており、娘と孫と三人で見に行く。幼少の頃見た蛍に思いを馳せ、涙する主人公。心配した孫が声をかける。それをきっかけに、疎外感を感じていた主人公は若い二人に少し近づくことができ、人生の光への希望を持つ。

人生を諦めかけた主人公の苦い思いが静かに語られていき、読者はその中に引き込まれて行く。寂しい主人公の気持ちが伝わってくる。最後は、主人公の希望を後押しするような無数の蛍の明るい光に包まれ、爽やかな後味に変わる。

★★★ Excellent!!!

子供の頃に見た、一匹の蛍。
儚げに光る、息を吹きかけたら消えてしまいそうな蛍。
変わりゆく武蔵野に一人取り残される主人公は、
自分をその蛍と重ねてしまう。

そんな時、孫を連れて戻ってきた娘。
不安に思う主人公の気持ちを変えた娘の行動とは?
そして孫に誘われて訪れた素敵な場所。
自分の居場所を見失った時にふと読みたくなる、心温まる作品だった。

★★★ Excellent!!!

ちょうど梅雨時に目にしましたこちらの作品は、このところずっしりとしてたり起伏の激しい物語ばかり読んでいた私には、久しぶりに出会ったすっと心に染み入るお話です。

幼い頃に見た蛍の光の記憶から綴られる名もなき女性の一生は、彼女なりに悲喜こもごもだったのでしょう。変化に変化を重ねて積み重なっていく思いが、でも子や孫に受け継がれていく様は、そこに変わらないものもあることを匂わせます。

蛍の光に包まれながら迎えるラストまで読み終えて、思いがけず暖かい気持ちになれたこと、このお話に出会えたことに感謝したい。

色々と慌ただしい昨今、こういうお話こそ多くの人に読んで欲しいと思い、久々にレビューを書きました。短いお話ですので、ちょっとした合間にも是非お目通し下さい。

★★★ Excellent!!!

時間が経つにつれ、変わっていくものがほとんど。でも、変わらないものだってあります。
そんな何かを見つけたとき、人は忘れかけていた何かを思い出します。
星空を彷彿させる、無数の煌めきを放つ蛍。それを目の当たりにした瞬間、彼女の心は動きました。瞬時に長い年月を旅していました。

武蔵野に存在する、日常と非日常の描写が、読み手に素敵な情景を見せてくれます。良い意味で読まされる文章。読み手として楽しむと同時に、書き手として勉強になります。
ぜひ一度目を通してみてください。