主人公は、とある職業を夢見る十八才の上京女子。西武池袋線沿線の築三十年のアパートを契約する。ところがビックリ。それは、言葉を話すアパートだった。恋愛や夢へ向かう主人公の、素敵な『おうち時間』が繰り広げられる。とにかく会話が面白い。そして自分も、こんなアパートに住みたいと思った。だって新型コロナで病状が急変しても、決して一人じゃないから。意外と近未来のアパートってこんな風なのかも、と思わせてくれる作品だった。
なかなかおバカな設定から繰り広げられる主人公と相方(?)との軽妙なやり取りが実に秀逸。これを1日かそこらで書けてしまうセンスは恐ろしさを覚えるほどです。
借りた部屋を、「自分の部屋」として認識する瞬間ーーそれは、気にせずオナラが出来た瞬間。オナラが出来て初めてプライベートルームになる……そんな説得力がある!!まほろさんと主人公の軽快な掛け合いと語り口がクセになります。是非ご一読ください。
喋るアパート。こんなに読みたくなる言葉の組み合わせはなかなかありません。このアイデアだけで既に勝ち確定じゃないですか…?く、悔しい…。しかも読み始めたら勢いと熱さが読者を掴んで離さない。すごく面白かったです。くっ…。