コロナウイルスによってあらゆる経済活動が委縮してしまった世界。しかし、人類が困窮する中でもふと一組のカップルが風景へ目を向ければそこにはいつも以上に穏やかな自然が「我関せず」と息吹いているのでした。天罰じゃない休息だ。一息入れて自分たちが何であるかを思い出す時なんだ。そんな彼女の前向きな心遣いに羨ましさを感じずにはいられません。ガイア理論という奴でしょうか。地球が一つの生命体であるならば、我々も生命の一部と考えられるのかもしれませんね。自然の雄大さから何かを学びたい貴方へ、おススメです!
『人間の介在しない自然ほどバランスの取れたものはない』……『地球(テラ)へ…(竹宮惠子、小学館、敬称略)』にそんな台詞が出てくる。 かくのごとく、ともすれば虚無主義になりかねない題材を、ヒューマニズムにのっとって優しく編み上げた本編はデマや事実に疲れた我々の精神を癒してくれる。 必読本作。
なにが起こるということもなく、ゆったりと流れる時間や自然の営みを味わうような作品。静かな描写の中にも、「前を向いていこう」という今の世に対するメッセージが垣間見える。得意のうんちくも健在。読みやすく、とても爽やかな情感溢れる作品でした。
二〇二〇年。世界的な伝染病対策で、人々の動きは極端に小さくなった。それによって、地球の鼓動がよく聞こえるようになったそうだ。――この惑星の吐息。本作は、それを感じる心の豊かさを教えてくれた。「誰もでも感じることができるのに、忘れていたもの」確かにそうなんじゃないかと思う。人間がこの惑星で生きるために必要なもの。自分もゆっくりと息継ぎしながら、窓から夜空を見上げてみたい。そんなことを考えさせてくれる作品だった。
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