武蔵野という宝箱を探す彼女から目が離せない

――私、武蔵野ってことば嫌いなんですよね
友人の円藤沙也加が主人公に言った。
――存在しないものを、さも在るかのように語っているからです
そして二人の武蔵野探しの旅が始まる。

井の頭公園、短歌、そして民家園。
そこにあるようで、でも探してみると見つからない武蔵野。
それはまるで、ひっそりと隠された宝箱のよう。
探すことに興味を持ち始めた彼女から、つい目が離せなくなる素敵な作品だった。