十二階から見上げた、最後の夜空

生まれた時に家族で住み始めたマンション。
だから、カーペットの下の床の色は知らなかった。
そんな引っ越し前夜。
兄と一緒に、十二階のベランダにたたずむ。

――私の知らない私の城だったもの。
見ていられなくなって、思わず夜空を見上げる。
武蔵野の星空はあの頃と変わらない。
丁寧な主人公の心情描写が胸を打つ。

こんなに別れが悲しいから、新しい世界に希望が持てるのかも。
そう思わせてくれる、素晴らしい作品だった。

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