働き方改革が日本で掲げられている中、
異世界での“休暇”とは一体どんなものなのか。
そして、休暇をとるという主が「聖王」!? ということで、興味深い展開が待ち受けられています。
イシュナグの旅に同行することになったのはギシュタークという、可愛らしい獣人族の男の子。彼が“我、聖王”テンションのイシュナグに振り回されていくのが可愛らしいのです。
イシュナグとギシュタークの、真面目つつも、「ん!? 可愛いっ!」となるシーンに出会えることが多々あるかと思います。
なんといっても見どころ! は、イシュナグとギシュタークが街中で見る、とある歴史が舞台にされていたシーン。
このシーンには、「すごい!」と驚かされる絡繰が秘められており、その作者様の技量に脱帽致しました。
そして、異世界(日本)での知識がイシュナグ達の世界でやりとりされるシーンは、思わずふふっと、微笑んでしまうことでしょう。
微笑むこと多々有り、そして、最後は――。きっと、誰もが感動による鳥肌がたつことでしょう!
イシュナグとガラム。いろいろと、楽しみでなりません。
イシュナグ達との素敵な休暇を、一緒にいかがですか?
是非、ご一読を!
……何言ってんだって思うでしょ?
でも事実なんですよ!!お願いします、信じてください!!
とにかく、最初から最後まで「なんやて……」ってなります(笑)
我らが異世界(ニホン)からご帰還なされた聖王さまが、我らの素晴らしき文化に触れて影響され、まーいろいろとやらかしてくれるわやらかしてくれるわ……
そう、この作品、「異世界転移」の「後」の物語なんですよ。目の付け所がシャープでしょ……??
異世界の人々や文化に触れた異世界人は……うん、そうだね、そういうこともしでかすかもしれないね(笑)
でもその先に開けるものは、きっと、光あふれる未来。
聖王さまの奇行にツッコミを入れつつ読み進めていくと、思いもよらない壮大な愛の物語が待っています。
爽やかな読後感は、まさに希望。
笑って、愕然として、呆然として、切なくなって、あったかくなって、最後には元気になれる。
そんな、頭上に広がる空のような作品です。
「聖王」と呼ばれる人って、どんな人物を想像します?
僕はやはり博愛精神に溢れた立派な人で「人類皆兄弟、仲良くしなきゃなりませんぞ、おっほっほ」みたいな人物を想像しました。
でも、今作に登場する聖王様は違います。
まず、現代日本の、とりわけオタク文化に毒されたのかネコミミカチューシャを愛用し、魔法少女アニメのオープニング曲を口ずさんじゃったりします。
かなり想像と違います。
先日、「スター・トレック」のカーク船長役ウィリアム・シャトナーが 「ラブライブ!」の推しを聞かれ「海未」と即答したというニュースを聞いて驚いたのですが、それと同じぐらいの衝撃でした。
さらに世界を統べる聖王様、百年ぶりに世界へと戻ってきたというのに「休暇を取りたい」などと言います。
おまけにそれを諫める諸侯らを無視して、密かにお忍び休暇旅行へと出かけてしまいます。
ぶっちゃけ、やりたい放題です。暴れん坊聖王です。
そんな聖王様、無理矢理従者にした獣人の少年を女装させ、あろうことか萌えを感じてしまいます。
同性愛に対して寛容なフランシスコ法王もびっくりな男の娘愛好志向、正直なところ、この時点で僕はかなりこの聖王様に親しみを感じておりました(ぁ
そしてお忍び休暇旅行が辿り着いた真実、そこで語られる聖王様の嘆きに、きっと多くの男性読者は「聖王様、今夜は朝まで呑もう。奢るぜ!」って言いたくなるに違いありません。
ええ、シンパシー半端ないです、聖王なのにそんなん普通あらへんやん、聖王ハンパないわぁって感じです。
きっとあなたもこの聖王様に親しみを感じるはず。今作はそんな物語です。
異世界《ニホン》から帰るなり、臣下たちの反対を押し切り、ケモミミもふもふ少年ギシュタークを引き連れて、休暇と称して人探しの旅に出た聖王イシュナグ。
身分を隠すため、自分は猫耳カチューシャ着用で、そしてギシュたんには無理やり女装させて(とても重要なポイント)
軽妙なテンポで進むドタバタ珍道中ですが、時おりちらほらと陰謀の影が垣間見え、気付けばすっかり物語に惹き込まれておりました。
特筆すべきは、聖王さまの異世界サブカルかぶれっぷり。
常時装備の猫耳カチューシャを始め、冷静に思考を巡らせながら魔法少女アニメの主題歌を口ずさんだり、「薄い本」をヒントに巻物を製本してみたり。
重くなりがちな話も、ところどころニヤリとできるネタが仕込まれていて、絶妙なスパイスとなっています。
従者ギシュたんの、異常なまでの可愛らしさも忘れてはなりません。
びくびくおどおど、すぐにお腹空いちゃう、女装が似合いすぎちゃう、お姉さまたちに追いかけ回されちゃう。
ケモショタの素晴らしさを引き出す要素が、これでもかと言うほど盛り込まれています。
丁寧に張り巡らされた伏線が回収されていく終盤の展開は、爽快そのもの。
温かな余韻と少しの切なさを残して、希望が輝くラストでした。
面白かったです!
どこの世界でも君主というのはわがままなもので、どこの国でもやりたい放題。イギリス王室を見れば、それは明らか。エドワード8世などかわいいもので、何かしらトラブルを起こしている。男性ならば女性問題は、標準装備なのかと思うぐらい。
とある世界から帰還した聖王も、君主のわがままを発揮して、突然、旅に出る。臣下は呆然。
諸国漫遊記なのかと思い、読み進んでいくと、思わぬ展開が待ち受けている。聖王は明快な目的があって王宮を離れたのであり、それは彼自身が内面に抱えている問題ともつながる。気になって、つい読み進んでしまう。
ファンタジーなので、設定は多岐にわたるのだが、巧みに本編に織り込んでいて、強く意識することなく理解できる。劇中劇の使い方は見事。
登場人物も魅力的。ギシュターク、かわいい、かわいいよ。
実は、ものすごく長い話のではと思うのであるが、いきつく先が楽しみでならない。
発想良し、文章良し、テンポ良し。
キャラ良し、萌え良し、ケモミミ良し!!
と今のところ、僕の中の6部門において他の追随を許さない良作です。特にケモミミ部門においては戦闘力53万を越えています。
とまぁ、今はこんな感じで、読みやすさに特化されているのですが、そのバックグラウンドには壮大な物語が存在していそうです。聖王様をはじめとする魅力あるキャラクター(濃い。濃い。濃ゆいっ)たちが、コミカルな描写の裏に垣間見せる過去の邂逅。そして多くの種族が生きる世界ならではの、避けては通れない確執。そういった深みが徐々に紐解かれ、読者の心を掴んで離さない作品。
ケモミミを追いかけて、どこまでも。
気付けば、私も深い森に迷い込んでいそうです。
あれ、話終わった?といきなりビックリ。
逆転の展開からはじまるこの物語は、いろいろ面白い。
異世界、と書いてニホン、と読んでみたり、妙な習慣を持ち込んでみたり。
色々な嗜好の読者層(意味深)に向けた配慮が見られる魅力的なキャラ設定は秀逸。作者の愛が感じられます。
個人的(私は歴史専門のはずだったのですが)には、ハチャメチャになり切らず、しっかりと筋道と規範のある、作りこまれた世界観と設定が好みに合いました。
笑いも、勇気も、軋轢も、悲しみも、全部盛りにした、王道の、そして逆説のファンタジー。
それこそ、すなわち、面白きもの。
素直に、ギシュたん頑張れ、聖王落ち着いて、と、ガラにもないことを、心の中で叫んでしまっています(笑)
面白い!!
最初、途中まで読んでレビューを書いた時、タイトルに「別の視点で見る大切さを身勝手な王様が教えてくれる……かも?」と書いた。
これは読み終わってみても、間違いではなかったと思う。
ただ、この「別の視点」というものが、なんなのかがわかった。
それは「否定」だ。
主人公の聖王は、ある意味で行き詰っていた。
そんな彼は、最初に兄を否定し、この世界の仕組みや聖王という立場を否定し始め、最後は性別まで否定する。
しかし、その否定は、どれもが悪い否定というわけではない。
今までの「そうだと思っていた」という自分の固定観念を否定し、視点を変えて視界を広げるという、非常に建設的な否定の仕方も含まれていた。
否定という言葉ではなく、もう少し適切に言えば、「疑問をもつ」という思考と言えるかもしれない。
その疑問から、突破口が見えることもあるのかもしれない。
行き詰った人に、見方を変えるきっかけを与えてくれる物語になってくれることだろう。
この作品に関しては、正直なところ、連載が始まる前から楽しみにしていた。
作者がツイッターで、連載を始めますよ、という予告ツイートをしていたのだ。
それが上手かった。
おっ、なんか面白そうだぞ。と読者の興味をひいたので、連載が始まるのを心待ちにしていた。
本文が0文字の段階から既にコンテストの勝負は始まっているし、面白い作品とそうでない作品はその時点で既に差がついてしまっているのだ。
そして、いざ連載が始まってみると。
現代日本から異世界に転生~~というありがち路線かと思いきや、異世界の聖王が現代日本に転生して、更にそこから帰ってきた、というひねった基本設定。
この時点でもかなりインパクト強力ではありますわね。
本題の物語はいかがかというと、、、序盤の段階だと話も進まないしそこまで面白さは見えてこないだろう、と思っていたら。宣伝ツイートで面白そうだと期待していた要素を惜しげもなく投入してくる。
序盤から飛ばしているなあ。
そうこうしているうちに、小説の技術的にすごく上手い部分が出てきて、おののいた。
私一人だけではなく、多くの読者が感嘆していた。冷静に考えれば、決して珍しい手法ではないのかもしれないが、その使い方がぴったりハマっていて、溜息しか出てこなかった。
そんな感じで。
この作品には、本文が始まる前から、やられっ放しという感じがする。
だが、さすがにこれ以上やられっぱということもないだろうからたぶん、物語的にはまだ序盤という段階なのですがこのへんでレビュー残しておきます。