聖王がたどりつく先は……

 どこの世界でも君主というのはわがままなもので、どこの国でもやりたい放題。イギリス王室を見れば、それは明らか。エドワード8世などかわいいもので、何かしらトラブルを起こしている。男性ならば女性問題は、標準装備なのかと思うぐらい。

 とある世界から帰還した聖王も、君主のわがままを発揮して、突然、旅に出る。臣下は呆然。
 諸国漫遊記なのかと思い、読み進んでいくと、思わぬ展開が待ち受けている。聖王は明快な目的があって王宮を離れたのであり、それは彼自身が内面に抱えている問題ともつながる。気になって、つい読み進んでしまう。

 ファンタジーなので、設定は多岐にわたるのだが、巧みに本編に織り込んでいて、強く意識することなく理解できる。劇中劇の使い方は見事。

 登場人物も魅力的。ギシュターク、かわいい、かわいいよ。

 実は、ものすごく長い話のではと思うのであるが、いきつく先が楽しみでならない。

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