先祖から脈々と続く盟約のために、あやかしに嫁がされることとなった紬。
紬は月城家の娘として嫁ぐのですが、そもそも養女。
義実家である月城家からは虐待を受けており、「養ってやったんだから役に立て」ぐらいの勢いであやかしたちに引き渡されます。
そんな紬の前に現れたのは。
冷酷無比で人を食い物としか考えておらず、利己的で自己中心的なあやかし。
……ではなく。
人間に友好的で、もっと交流を深めたいと考えている狐のあやかし、詩くん。
人懐っこい彼は、紬に好意的なのですが。
「いや、愛とか恋とか。そんなの無理だし」
紬は彼の気持ちをはねつけます。
育ってきた経緯からするともっともなのですが。
詩くんはそれでも負けずに一生懸命。
紬のことを大事に大事にしていくのですが……。
そんなふたりを邪魔するやつらが出てくるのです!!!
立場や文化、育った環境が違っても、「自分以外の誰かを大事に思う」気持ちってそんなことを超越するんじゃないでしょうか。
そんなことを考える異種婚姻譚。
クリスマスの夜にこそ、あまあまなこんなお話をぜひどうぞ!
キャッチコピーを見てくださいよ。
『好きになるとか、幸せな家族とか、そんなの私には無理だから。』
悲しいじゃないですか。
これね、ヒロインの紬ちゃんの言葉ですよ。
あらすじを見ていただければね、紬ちゃんがこれまでどんな生活をして来たかっていうのがわかるかと思うんですけど、養女として名家である月城家に引き取られてですよ、そこで虐げられてたんですよ。しかも引き取った目的も明確で、アヤカシに花嫁として差し出すためだっていうんですから、てめぇらの血は何色だ!って話です。
いや、それでもね?
まぁほら、言うてもですよ。
最近はこの手の婚姻譚って、そうはいっても旦那様がお嫁さんにぞっこんラブで、ていうかそもそもアヤカシ側が「人間の花嫁様だ!わーいようこそー!」みたいな感じで、そんでお嫁さんも最初は異形達にビビりまくっていたけど旦那様は超イケメンだし、優しいし、なーんだハッピハッピー!って感じで、えっ、まさかそんな幸せになるなんて聞いてないぞ、えーん悔しーい、そんじゃあそっちの娘じゃなくてウチのほんとの娘を嫁にしてくださーい!なんつって養父がしゃしゃり出て来ーの、それを門前払いしーの、ていうかウチの嫁にこれまで酷いことしやがって!お前らの家潰してやる!みたいな感じで、その間もお嫁ちゃんはデッキデキに愛されてる感じじゃないですか。
なんていうの、憂い顔なんて嫁ぐ瞬間だけっていうかね?あとはもうデッキデキに愛されちゃうから、もうハッピハッピフゥッフーじゃないですか。デッキデキに愛されるって何。
紬ちゃん、全然そんなことない( ;∀;)
だってそもそも『ウェルカム花嫁!』ってのが『霊力もりもりの花嫁を(物理的に)いただきます!』ってやつなんですもん!まさに生贄花嫁!そんなぁ!
ですが皆さん安心してください。タイトルにご注目。
『アヤカシ狐からの溺愛を』
気付きました?
ある!溺愛要素、ある!!
タイトルに書いてるってことは、まず間違いなくタイトル通りのことが起こるってことなんですよ!(力強く当たり前のことを言う)
ええ、それはもう頑張ってます。旦那様、頑張ってます。紬ちゃんの心をとかそうと、自分に向かせようとめっちゃ頑張ってます。
これを乗り越えたらきっと、もうラッブラブの夫婦になるはずなんだ。頑張れ旦那様。めげるな旦那様!
盟約により、あやかしの元へと嫁いでいく主人公の少女、紬。
彼女には「生贄」としての存在価値しか認められず、自由を奪われ、ずっと虐げられて生きてきました。
運命に抗い、ついに死をも覚悟する紬。
しかし、そんな彼女を救ったのは、婿となる狐のあやかし、詩でした。
温かい愛情を知らずに育った彼女は、詩の優しさにとまどうばかり。
しかし、彼が心から紬を想ってくれているのだと、しだいに気づいていきます。
彼の優しさに触れるうち、やがて紬の心にも変化が――。
紬や詩の周りを固める脇役のあやかしたちも、みな個性的。
読んでいると、なんだか人間よりもあやかし達のほうがよほど情があって、好ましく感じられます。
興味を持たれた方は、一度お読みになってみてはいかがでしょうか。
あやかしたちと織りなす、心優しく温かい世界が、皆さんをお待ちしています。