概要
そこで待っていたのは、周りから虐げられる、過酷な日々だった。
そしてそんな月城家には、かつてアヤカシとの間に交わした盟約があった。
百年に一度、月城家に生まれし霊力を持った娘を、花嫁として差し出すという盟約が。
紬が養女として月城家に引き取られたのは、彼女をその花嫁にするためだったのだ。
自らの運命に絶望しながら、狐のアヤカシの元に嫁いでいく紬。
しかし彼女は、その胸に悲しい決意を秘めていた。
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- ★★★ Excellent!!!頑なな心を溶かすのは、ただただ一途な愛情だけ。人間×あやかし狐の婚姻譚
先祖から脈々と続く盟約のために、あやかしに嫁がされることとなった紬。
紬は月城家の娘として嫁ぐのですが、そもそも養女。
義実家である月城家からは虐待を受けており、「養ってやったんだから役に立て」ぐらいの勢いであやかしたちに引き渡されます。
そんな紬の前に現れたのは。
冷酷無比で人を食い物としか考えておらず、利己的で自己中心的なあやかし。
……ではなく。
人間に友好的で、もっと交流を深めたいと考えている狐のあやかし、詩くん。
人懐っこい彼は、紬に好意的なのですが。
「いや、愛とか恋とか。そんなの無理だし」
紬は彼の気持ちをはねつけます。
育ってきた経緯からするともっともなのですが。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!全てを諦めた生贄花嫁の心をとかすことは出来るのか?
キャッチコピーを見てくださいよ。
『好きになるとか、幸せな家族とか、そんなの私には無理だから。』
悲しいじゃないですか。
これね、ヒロインの紬ちゃんの言葉ですよ。
あらすじを見ていただければね、紬ちゃんがこれまでどんな生活をして来たかっていうのがわかるかと思うんですけど、養女として名家である月城家に引き取られてですよ、そこで虐げられてたんですよ。しかも引き取った目的も明確で、アヤカシに花嫁として差し出すためだっていうんですから、てめぇらの血は何色だ!って話です。
いや、それでもね?
まぁほら、言うてもですよ。
最近はこの手の婚姻譚って、そうはいっても旦那様がお嫁さんにぞっこんラブで、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!頑なだった心が、愛情によって解けていく。心優しいあやかしとの婚姻譚。
盟約により、あやかしの元へと嫁いでいく主人公の少女、紬。
彼女には「生贄」としての存在価値しか認められず、自由を奪われ、ずっと虐げられて生きてきました。
運命に抗い、ついに死をも覚悟する紬。
しかし、そんな彼女を救ったのは、婿となる狐のあやかし、詩でした。
温かい愛情を知らずに育った彼女は、詩の優しさにとまどうばかり。
しかし、彼が心から紬を想ってくれているのだと、しだいに気づいていきます。
彼の優しさに触れるうち、やがて紬の心にも変化が――。
紬や詩の周りを固める脇役のあやかしたちも、みな個性的。
読んでいると、なんだか人間よりもあやかし達のほうがよほど情があって、好ましく感じられます…続きを読む