棺の少女、夢の空

作者 笛吹ヒサコ。

45

16人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

本作は、テンプレートに沿った作品が好まれる傾向の強いWEB小説界隈において、常にテンプレートを破壊し続ける笛吹氏の最新作である。

良質な海外ファンタジー小説を彷彿とさせる世界観を彩るのは、やはりテンプレートから逸脱した魅力的なキャラクターたちだ。

棺を担いだ永遠の少女ナージェと、棺の中に収められた醜い異形のイェン。

自らの意思で動くことの出来ないこのイェンを語り手とすることにより、笛吹氏のテンプレート破壊は一層加速している。

時に彼は、永遠の少女ナージェへの歪んだ欲望を吐露する。
率直で純粋な彼の愛情は、実に変態的で直截的だ。

艶めかしい闇を抱えた棺の中の彼は、世界の謎を簡単に紐解いてはくれない。私の触れて欲しい部分には興味も示さず、ただ永遠の少女ナージェを舐め回すように観察しているのである。

まるで、読者一人一人を焦らすかのように。

作り込まれた世界観を、三人称視点ではなく一人称視点で。
それも棺の中からの実況というカタチで紡いでいくという笛吹氏のアイデアと手法に脱帽しつつ、このもどかしさの中毒となっている私である。

★★★ Excellent!!!

 空が落ちて大地がバラバラに砕けた世界。
 時を止めた少女ナージェは、世界を壊した影王を追い求めて世界を旅します。水底に沈んだアトランティス。子供だけのネバーランド。
 聞きなれた理想郷の数々は、どこか歪で不気味な暗さをもってナージェと読者を迎えてくれます。
 そして、語り手のイェン君の歪さがまたたまらない……。
 彼は、ナージェのために影王が空を落としたと言っているのですが――
 

 淡々と、ただ淡々と、美しくも暗い世界観と、どこか悲壮感が漂う歪な物語が読者であるあなたを魅了していくことでしょう。はてさて、暗くも歪な物語はどこへ向かっていくか。この先が楽しみでたまりません。

★★★ Excellent!!!

 崩壊した世界。それを描いた冒頭部分から一気に引き込まれていく。
 歪んだ舞台に、歪んだ登場人物が巧緻な文章で描かれ、上質な世界観を築いていく。
 ナージェとイェンはどこに向かうのか?そもそも彼らはいったい何者なのか? 子供しかいない町の持つ意味は?
 謎がぐいぐい物語を引っぱって行き、興味がつきない。
 ちょっとファンタジーが苦手な人でも十分に読めるし、ファンタジーが砂人なら、なおさらだと思う。
 今後が実に楽しみ。

★★★ Excellent!!!

出だしから魅せてくれますね。
今のところ(12/9現在)、水底の街アトランティスと子どもの街ネバーランドが出て来ていますが、井上直久さんなどのような幻想絵画を観ているような世界。しかし、歪な常識に支配されている、ある種のホラー要素が色濃く出ているお話です。
空を取り戻すために旅立った少女と異形の者。不穏な気配漂う謎をこの二人がどのように解き明かして行くのか……。
先の展開が気になって、ついモヤモヤしてしまう作りが実に巧みで、一度読み出すと術中にハマってしまうこと請け合いです。
他の方のレビューにもありますが、今のうちから読んでおく事をオススメしたいですね。

★★★ Excellent!!!

偽空と呼ばれるかりそめの天蓋のもと旅を続ける、ひとりの少女と「棺に入った何者か(もしくは棺そのもの)」との物語。

まだまだ始まったばかりで謎だらけではあるのだが、その傾向に村上春樹や時雨沢恵一の色が見て取れる。

逆説的な考え方をすれば、その「謎」を楽しませる作品であって、いまを抑えておかなければ一気に引き離されるのは必定だ。

分からないからといって手放すには少々もったいない作品とも言える。

まだまだ先は長い。

いまのうちにフォローしておくことが肝要といえよう。

★★★ Excellent!!!

アトランティス、ネバーランド、エルドラド、そして――、パンゲア。
世界中にある理想郷を煮詰めたような世界設計から繰り出される、壮大なる物語がこちらだ。

空を取り戻す使命を背負った少女ナージェ。彼女は、肉体的には成長をしない。その小さな背に、黒い棺と罪を背負っているためだ。
黒い棺に縛り付けられた醜い異形のイェンと共に彼女が旅するのは、さまざまな国。
そこには壊された世界のロジックがあり、偽空があり、巨悪とも思える影王の姿が横たわっている。

その使命は、誰がためのものか。背負った罪とは、何なのか。そして、大いなる影王の正体とは、果たして……


この物語は、ナージェを主人公としながらも、イェンが語り部となって世界を観照している。そこが、憎い。なぜなら少女の思惑と、異形の語りがまったく違う方向に進むかもしれないからだ。
ゆえに、不可思議。まさに、不協和音。その歪みこそが、この物語の最たる魅力となっており、そこにはカタルシスさえも見え隠れしている。

これは、最上級のダークファンタジー! この物語がどこに終着するのかは、近づいてくる渡り鳥も知らない――!

★★★ Excellent!!!

何一つおなじはない

お人形さんのように時を止めたナージェと、異形で歪んだイェン
アンバランスでありながら、ピースを一つ一つ嵌め込んで進んでいく
柔らかいタッチで描かれるダークファンタジー
世界観、キャラクターへの魅了が止まない、闇深く進む物語
(現時点のため編集します