第53話 報酬



 イベントが終わりラード達と話していた俺達の元にユーキングが声をかけてきた。


「なぁシウさんや、場所を移してじっくりと話をしませんか?色々と聞きたいことがあるんだがな」

「おう?別にいいけど、マスターの店に姫…駄猫を連れて行っても大丈夫なのか?」

(駄猫違うのじゃ!)

「テイムモンスターもOKだから別に気にすることはないぜ。ラード達も来るだろ?」

「はい!勿論行きますよ!シウさんの話を聞きたいですから!」


 俺達は中央広場からキャットファイトに移動することにした。

 移動しながら俺はユーキングに話しかけた。


「それよりサクヤは呼ばなくていいのか?」

「サクヤちゃんはフレを王都に連れていくって言ってたぜ。クランに案内するんだろうな。お前はイベント終わったら王都と聖都どっちに向かうんだ?」

「うーん…とりあえずは聖都かな。まぁどっちでもいいんだけどな」


 キャットファイトに着いた一行はいつもの個室に案内された。

 部屋に入り飲み物を注文し終わり、来るまで少し話をしていた。飲み物が来るとユーキングが


「そんじゃみんな初イベおつかれ!かんぱーい!」


 乾杯の音頭をユーキングが取ると皆が声を揃え応える。

 そしてイベント中の事をラードが聞いてきた。


「シウさんは隠しクエストしたんですよね?どんなのだったんですか?」

「…それ気になる…教えて」

「キュリアちゃんは死に戻りなんかしてないよね?寂しかったんだよ〜!こっちの猫ちゃん…毛並みツヤツヤでしかももふもふ〜!」(猫ちゃんじゃないのじゃ!森猫姫なのじゃ!こら!顔を埋めるんじゃないのじゃ!)


 シンルーはキュリアに抱きついていたのだが姫の毛並みを気に入ったらしく、姫に抱きつき顔を姫の体に埋めていた。がっつりと猫吸いをしてらっしゃる...

 俺はラードとリーティア、ユーキングの3人に狐親子達の事を話していた。


「ほ〜、そんなクエストだったのか。でも納得行く終わり方じゃねーな、それは。バッドエンドもいい所じゃねーかよ」

「そうですよ!なんで狐親子が死ななきゃ行けないクエストなんですか!そんなの悲しすぎます!」

「いや…まぁまだ続きがあるんだけどな?ユーキングに聞きたいんだけど、その時に魂魄を手に入れたんだけど…ユーキングは知ってるよな?」

「魂魄?あんな激レアアイテム手に入れたのか?!まさかとは思うけど…送ったのか?使ったのか?どっちだ?」

「送った方だな」

「え?魂魄ってなんなんです?そんなアイテムがあるんですか?」「…興味津々…詳しく教えて…」


 命尽きるまでの裏クエストの事もシウは話しだし、全てを話終わるとユーキングはため息をついていた。


「まさか何も知らずに裏ルート進むとは…よくわかったな」

「師匠がヒントをくれたから行けた感じだな。てか他のクエストもこんな裏ルートとかあるのか?」

「あるっちゃあるけど殆どがイベントの時や隠しクエストを発見した時だな。だから住人達と仲良くしてたらお前みたいにヒントをくれるわけなんだよな…それで?裏ルートクリアして…当然いいお宝ゲットしたんだろ?」


 ユーキングは、にやっと笑いムカつく顔で問い詰めてきた。だから俺は言ってやったよ。


「…種族が変わった」



「…はぁ?」「シウさんまじですか?」「………」

「お前…マジで言ってんの?種族変更チケでも貰ったのか?クエスト報酬で貰えることは貰えるけど…結構レアだぞ?なんの種族になったんだよ、見た目変わってないじゃんよ」



「妖狐」


「はぁ?!」


 俺は雪那からキスされたことは伏せて説明をした。

 種族変更チケットでは基本的な種族を変えるだけのチケットなのだが、エルフからハイエルフなど上位の種族になるには特殊なクエストを受ける必要があるのだが俺はそれを飛ばして変わっていたのだ。


「まじかよ…妖狐の力を手に入れたとか…今度その力見せろよ?約束だかんな!」

「僕も見たいです!また一緒に狩りに行きましょうね!」「…約束」


 ユーキング達と共に今度一緒に狩りに行く約束をしてこの話はとりあえず終わった。

 次に話し出したのは今回のイベントでランキングに入った為、報酬の確認作業に変わった。


「とりあえずソロではお前とラードがランキング上位に入った訳だが…報酬はどんなの貰ったんだ?運営からもうメール来てるだろ?」

「そういや来てたな。ちと確認してみるわ」

「僕はもう確認して貰ってますよ!25万Gとスキルスロット拡張チケットにアイテム交換チケットが3枚でした!」

「3位のラードがそれなら2位のシウはどんなのなんだろうな」

「俺のは…50万Gにスキルスロット拡張…レアアイテム交換チケ3枚…後…レアスキル交換チケットだな」

「アイテム交換がレアに変わってレアスキルまでGETできるのか」

「…レアスキル羨ましい…」

「1つしか順位が違わないにこんなに変わるんですね…これなら1位の人はもっと豪華になってるんでしょうね」


 スキルの構成を俺が考えていたら


「アイテム交換は装備にするのか?」

「んー、素材とかにするかも。装備は今のが気に入ってるし、素材と交換すればまたアゲハさんとギンガムさんに強化してもらえばいいしな」

「確かにあの二人は喜んで強化するだろうな」


 その後もラード、ユーキング、リーティアの3人と俺は話していた。

 シンルーだけはキュリアと姫をいじり倒して遊んでいた。


「この後お前はどうするんだ?聖都目指して進むのか?」

「そうだな、まずは聖都に行ってみようかな。アゲハさん達は聖都にいるんだろ?」

「多分俺のクランの工房に篭ってるんじゃねーかな?キュリアちゃんの衣装がどうのこうの言ってたからな」

「うわぁ…それ聞いたら行きたくなくなったわ…」


 次の目的地を聖都に決めた俺はこの場を一旦お開きにしてユーキング達と別れた。




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