第65話 2つの温もり
アゲハが俺の為に新しく作り上げた防具は篭手を除くと全てが服であった。
「さぁさぁしっかりと確認して頂戴!服だから紙装甲なんて言わせないわよ〜」
しかし、テーブルの上には何故か3着の服が並んでいた。
「はーい!はいはい!質問がありまーす!なんで...3着もあるねん!今の流れは俺の新装備の発表だよね?なのに何故に3着?!」
「それはね、シウくん。君に着せたい服が現れたのだよ!とりあえずこの1着だけはちょっと預かるかね…」
アゲハは最初に出した服をアイテムボックスのに戻した。
残ったのは2着なのだが、1つは明らかに男性用では無いのがわかっていた。
「1つは何となく見た感じでわかるんですけど…もう1着は何故スカートが1番上に乗っている!」
「とりあえずそこに目がいったなら全部広げて見よっか♪︎この衣装は〜じゃん!巫女さんなのだ〜♪︎」
「返品致します」
1着目はミニスカ巫女衣装であった。
俺はもちろん手元に寄せることも無くアゲハの元に戻していった。
「えぇ〜!シウくんなら似合うと思ったのに〜!そしてスクショを撮らせて「絶対に着ないからね?!スクショも撮らせないからね?!」」
「む〜!それなら後でキュリアちゃんに着てもらうからいいもんねーだ!」
「私がなのです?!えと…その…考えておくのです!」(妾も着てみたいのじゃ…)
突然話をフラれたキュリアは驚きながらも受け答えはしたが、すぐさまお菓子を食べるのを再開した。
「こっちはまだ巫女装束に比べたらかなりマシだと思うんだけどなぁ…こっちは…これだぁ!陰陽師セット〜♪︎」
防具:軽装(服)一式
陰陽師狩衣バージョン装備セット レア度7
製作者:アゲハ 命名者:アゲハ
体(上)着物
陽炎 耐久値450/450
VIT+45 MND+35
体(下)袴
風魔 耐久値450/450
VIT+20 MND+10
背 狩衣
星光 耐久値400/400
VIT+10 MND+10 MP+150
靴
吹禅 耐久値400/400
AGI+35
セット効果
【破邪】【法術】【対魔】【式神】MP+250
「これって制服みたいなコスプレ効果は無いんですね…そこに驚きが隠せないんですけど」
「今回はガチな装備になってるからね〜。実は職業でも陰陽師ってあるんだよね。これを装備してジョブチェンジしに行ったら増えてるはずだよ。まぁ正直、この装備はシウくん向けでは無いかもね〜」
俺は装備を一つ一つ確認していき、アゲハの言葉に納得していた。
「自分のメインは弓ですからね。DEXの上昇が全くないから…微妙ですね。性能は凄くいいと思ってるんだけど…やっぱりDEXが上がらないとって感じですかね。セット効果のスキルはどれも知らないものばかりですし」
名前すら聞いたことも無いスキルがあり、どんな効果があるかなど全く分からずにいたのだ。
しかし、アゲハが言うにはどのスキルも後方支援タイプのスキルらしい。
アンデッドや闇属性のモンスターにはかなり重宝するスキルなのだが俺には興味が無かった。
「うーん…ぶっちゃけ見た目は良いし、着た感じも悪くはないんですよ…でも俺向けではない…です」
「とりあえず1枚だけ記念にスクショ撮らせて!1枚だけだから!!」
「…誰にも見せないって約束するなら…1枚だけ」「いよっしゃぁぁぁぁ!!!シウくん愛してりゅぅぅぅ!!!」
1枚だけSSを許し、装備を外し、借りていた制服姿に戻った。
「まぁ本命の装備はこっちなんだけどね」
アゲハは先程アイテムボックスにしまった服を再度出し、テーブルに置いて俺に見せた。
防具:軽装(服)一式
羽織袴戦闘バージョン装備セット レア度7
製作者アゲハ 命名者:???
体(上)着物
影炎 耐久値500/500
VIT+60 MND+30 DEX+10
体(下)袴
氷月 耐久値500/500
VIT+20 MND+20 AGI+10
背 羽織
狐楼 風雪 耐久値500/500
MND+35 MP+150
篭手
魂祈 耐久値550/550
VIT+25 DEX+50
靴
雷双 暁 耐久値500/500
AGI+40 VIT+10 DEX+10
セット効果
【隠密】【看破】【瞬歩】【友の守護】【魔装】MP+300
「……なんかやばくないすか?色々と」
「うん、作り上げた私もビックリしたぐらいだからね?シウくんの要望で妖魔結晶を篭手に使ってみたら、あーらびっくり、知らないスキルが1つついちゃったし。それにそのおまけなのか分からないけど魔装まで付属しちゃったからね」
「とりあえずスキルの効果は後で確認してみますけど…性能が服…着物なのにこんなに高いものなんです?」
基本的に服系の装備はVITが低くMNDが高くなるといった装備品になるのだが、アゲハが作り上げた着物はどちらもが高かったのだ。
羽織は黒がベースになっており、所々橙色で染め上げられていた。
羽織の下にある着物は俺のカラーである白磁色…ではないが、水色を基本色として使われており、緑と橙色のカラーリングになっていた。
袴はシンプルにグレー1色であった。
足元は足袋ではなく、ブーツになっていた。
そして、篭手には俺からの要望で雪那の息子である叢雲から譲り受けた妖魔結晶が嵌め込まれていた。
「もうなにも言うことなしにこれしかないですよね。陰陽師セットも勿論悪くなかったです。でもやっぱり…雪那と叢雲を近くに感じ取れる気がするし、2人の形見…素材を使ってるからこれしかないっすね!」
「だよね〜♪︎それに着物姿もバッチリ似合ってるよ!最初から和服を作るつもりだったからパンくんに無理言って短刀にしてもらったのよ」
アゲハは最初から俺に和服を着させるために半生パンに短刀を作らせていた。
「本当に最高の装備をいつもありがとうです!」
「いいのいいの〜。感謝の言葉はいらないから…その姿もスクショ撮らせてね!はぁはぁ…着物姿の狐っ子…萌える…」
アゲハが俺の姿をSSで撮っているとギンガムが
「やっと終わったか。シウの装備も良いけど…次はお嬢ちゃんたちだぜ?パンがお嬢ちゃんたちにも作った装備があるからこっちにおいで。」
ギンガムはキュリアと姫に声を掛け呼び寄せた。
「これがお嬢ちゃん…キュリアちゃんの新しい装備だ。そしてこっちが…猫さん?ちゃん?…まぁどっちでもいいか…猫が装備できるやつだ」
ギンガムは半生パンから預かっていたキュリア達の装備をテーブルに置いた。
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