第64話 剣と弓
俺達はユーキングのクランハウスに向かっていた。
アゲハから装備が出来上がっていると報告を受け向かっていたのだが、その道中にユーキングからコールが来た。
『今いいか?』
「ん?どったのユーキエモン?」
『アプデの内容確認したか?』
「スクショにPKの実装だろ。ちゃんと読んだけどそれがどうした?」
『お前のスレでスクショスクショ騒いでたから設定をどーするのか聞きたくてな。お前のことだから設定とか確認してないと思うが』
ユーキングからスクショの設定の説明を受け、俺はとりあえずフレンドのみ許可をする方向で設定をした。
キュリアや姫達、テイムモンスターもプレイヤーと同じ設定になる為、フレンド以外がキュリアや姫をSSをしたとしてもモザイクが掛かったようになるのだ。
「一応はフレンドのみ許可にしたけど…ひとつだけ不安要素があるんだよな…」
『みなまで言うな…アゲハだろ…わかってる。本気でお前が嫌ならフレだけ許可でも細かく設定は出来るからアゲハを拒否設定しろ。いいな?』
「可哀想な気もするけど…あの暴走状態になれば致し方ないよな…まぁその辺はおいおい考えるわ」
『わかった。とりあえず今クランハウスに向かってんだろ?』
ユーキングがそう言う頃には俺達は既にクランハウスの前に着いていたのだ。
入口に手をかけ扉を開けて入り、
「もう来たけどな!」
「近くにいたのかよ?!ならそう言えや!」
俺達は近くのソファに座り、アゲハ達が出てくるのを待っていた。
ユーキングのクランメンバーからお茶を出され飲んでいた時、アゲハ達、3人がやってきた。
「シウく〜ん♪︎早速なんだけどお願いがあr「だが断る!!」えぇ?!まだハッキリと言ってないよね?!」
「どうせアゲハさんの事だからスクショでしょ?とりあえず今は装備の話をしませんか?後ろの2人の顔が死んでますよ?!」
アゲハの後ろに居たギンガムと、初めて会うのだが半生パンが疲れきった顔をして立っていたのだ。
「シウ…なんとか作り上げたぜ…かなり今回は苦戦したぜ…」
「えと…その…半生パンです!よろしくお願いします!アゲハさんの無茶ぶりになんとか答えられました…早速なんですけど作り上げた作品を見てもらっていいですか?この後まだ仕事が残ってるんで…」
半生パンは申し訳なさそうに俺に言う。
「なんか忙しいのにすみません…てか無茶ぶりってなんです?!またなにかやらかしたんですか?」
「んー、シウくんの新しい職が魔弓刀士でしょ?名前に刀士って入るぐらいだからダガーとかじゃ無くて短刀にしてって言っただけよ?」
「……俺、刀のスキル取ってないんですよ?」
俺は呆れながらアゲハに言うが、別のソファに座って居たユーキングが横から会話に入ってきた。
「短剣スキルがそろそろ進化出来んじゃねーの?そこから短刀に進化させたらいいだろ。短剣のレベル上限を上げるか進化させるかになるから短刀にしちゃえよ」
「それなら大丈夫だけど…直ぐに進化させられるから後でしておくわ」
「なら一安心です…これが僕の作りあげた短刀です」
半生パンはシウの前にあるテーブルの上に二振りの短刀を置いた。
「え?2本あるけど、なんで?」
「名前を見てもらったらわかると思います!」
武器:双短刀
雷召雪狐 レア度7 耐久値550/550
製作者:半生パン 命名者:???
ATK+55 INT+40 DEX+30
【二刀流】【属性付与:雷】【属性付与:氷】
「双短刀?2つで1つって事になるの…か?それに属性付きって事は、雷の精霊石を使ったんだね。てかなんで氷まで?」
「精霊石は確かに使ったんですけど…アゲハさんがシウさんが素材を持ってきてるから好きに使っていいと言ったもんで…妖狐の爪を使ってみたらこんな結果になっちゃいました!」
「あーね。でも妖狐の爪で氷属性がついたんだな…さすが雪那の爪だな…でも1本は短刀ってわかるんだけど…もう1本は長くない?脇差ぐらいの長さがあるような気がするけど…」
「こっちの短刀は30cm、もう1本は45cmあるけど短刀扱いになってるみたい」
俺とパンが雷召雪狐について話をしていたが二人の間にギンガムが割り込んできて、こう言い放つ。
「次は俺の弓も見てみろよ!なかなかだぜぇ〜!」
ギンガムは雷召雪狐の横に弓を置いた。
武器:魔弓
霊水弓 スイハ レア度7 耐久値600/600
製作者:ギンガム 命名者:???
ATK+75 INT+50 DEX+50 MP+50
【魔弓】【属性付与:水】【オートリロード】
「これまたかなりパワーアップしてる…しかも名前が変わってません?」
「本来なら強化で終わるはずなんだけどな?何故か知らんけど進化…って言っていいのか分からんが、変わっちまったんだわ!掲示板で調べたら、まぁレアなケースだな!」
ギンガムは笑いながら俺に簡単に説明をした。
ディーネから貰った水の精霊石を使った事で変わってしまったのではないかとギンガムは言う。名前も出来上がった時には勝手についていたらしい。
「でもすごくカッコイイです!あの黒い弓がまさかのこんな形になるなんて」
以前の魔弓とは形も色も変わっていた。
水色と緑のカラーリングに、アーチェリーの様な形に変わっていたのだ。
「これも精霊石とシウがくれた素材のお陰だな!流石チケットと交換した素材だけあるわ!」
ギンガムには深緑王樹を、半生パンには玉鋼をチケットで交換して渡していたのだ。
「シウさん本当に作ってて楽しかったです!そろそろ工房に戻るんですけど…キュリアちゃんとその猫さんの装備も作ってるんで!ギンガムさんに渡してるんで後でちゃんと受け取ってください!申し訳ないですけど自分はこれで」
半生パンは俺達に深くお辞儀をした後、駆け足で工房に戻っていった。
「パンはクランメンバーの武器を作って貰ってるからかなり忙しいんだわ。今度ゆっくり時間取るからその時にちゃんと紹介するから勘弁してくれな」
ユーキングが俺に向かって謝ってきた。
「いやいや、クランメンバーでも無い俺達なんかの装備を作ってもらって本当に良かったのか?」
「パンの生きがいだからな、装備を作るのが。それにアイツはお前のファンだしな」
「ファンって…なんでやねん…」
俺を見ながらユーキングは笑っていた。
今まで黙っていたアゲハが突然テーブルを叩き声をあげた。
「さぁ!ラストは私よ!シウくん!まずは今までの装備が使えるか試して見てくれない?」
アゲハがそう言うと以前まで使っていた悪魔シリーズを出してきた。
俺は言われるがまま1度アイテムボックスに直して装備をしようとするが
「あれ?装備不可になってる?なんで?!」
今までの悪魔シリーズがどれも装備が出来なくなっていた。
「んーやっぱりかぁ…私の勝手な予想だけど、職業を変えたことによって皮で作られた軽装が装備出来なくなったみたいね。装備的に言ったら魔法使いや僧侶系みたいに服だけの仕様になっちゃったみたいだね」
以前までは皮で作られたレザーアーマーを主体に装備をしていたのだが、軽装でも服などの装備しか出来なくなっていた。
「まじかよ…それならまた紙装甲に戻るのかよ…」
俺は残念そうに呟くが
「ふふふ…安心したまえ!少年よ!!私はそうだろうと思って新しく作ったのだよ!!そして使った素材は妖狐の毛皮に魔皇蟲の糸玉…さぁ見るが良い!!」
テーブルの上に俺の新しい装備一式を出した。
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