第17話 黒いストーカー


<東の森>


 そう…あれは今から1時間前の事だ。


 黒き悪魔であるGを倒して…なぜか分からないがテイム出来るようになったが、相手の一方通行な恋に終止符を…と思っていたのだ。


 だが!

 なぜ奴ら…黒き悪魔達は俺の前に出てくる!

 しかも、猪突猛進的な感じで熱烈アピールをしてくる!蜘蛛を倒そうとすればカサカサ言わせて出てくる…カブトを倒そうとしても飛んで現れるの…蝶を倒そうとした時なんか蝶に突撃して殺りやがったんだ!アイツは!

 でも…カマキリの時だけは切られてたな…ざまぁみろってんだ!この時のキュリアは大爆笑してたしな!!


 しかも奴が出てきて倒したら必ずテイム可能とか出てくるんだよ…なんなの?呪われてるの?ねぇ!!カブトムシとか蜘蛛はテイム出来ないのにぃぃぃ!!いらないけどぉぉぉ!!!

 テイムするまでこの呪いは続くのか?!勘弁してくれよ…まじで!!

 称号に【Gに好かれし者】とかあったら冗談抜きに運営に抗議のメール入れるからな!!

 称号…称号…よし称号の事については忘れよう。そうしよう!



 キュリアも黒き悪魔が出てくるとライトボール乱発しまくってMPも切れてるし…一旦セーフティゾーンでも探して休憩しますかね。

(さんせいなのです!ごきさんのあいてするのはつかれたのですぅ…)

 だよなぁ…俺もGのストーキング行為に疲れたわ…休もうぜ…それに矢の弾数も心許なくなって来たしな。無駄撃ちしすぎたな…

(ますたー!あそこにちょうがいっぱいいるのですー!どうするです?)

 そうだな、キュリアのMPは…少しは回復してるから蝶ぐらいなら行けるか。


 俺とキュリアは数匹の蝶に向けて魔法を放つ。アクアボールは避けられてしまい木に当たってしまった。

 その時だ。

 俺は突然何かの攻撃を受けてしまい吹き飛ばされてしまった。


(ますたー大丈夫なのです?!)

「一旦なにが起きた!HPがやっべ…回復回復…どこから攻撃されたよ!ん?目の前にマーカー?トレントか!」


 すぐさまトレントと判断をしたが、今までのトレントと何か違っていた。

 今までのトレントは動く木と言う感じだったのだがこのトレントは顔が有り薄らと紅い色をしていたのだ。すぐさま鑑定をしてみるとそこには、


 ワイズトレント Lv18


「なんだこいつは?!レベルたけぇーよ!トレントの上位版か?でもやる事は同じ…だ!」


 トレント戦でのお決まりパターンである付加火を矢に掛けてのアーツ・パワーショットを放つがワイズトレントは枝を鞭の様にしならせ矢を弾き飛ばした。1本は矢を弾き、もう一本の枝鞭で俺を攻撃してくる。


(ますたーあぶないのです!結界!)

「ナイスタイミング!あれは避けきれなかったぞ。食らってたら死に戻りしてる所やったぜ…こっわ。でも今の結界でキュリアはMPすっからかんだな。俺の頭で待機だな!」

(むー!しかたないのです…)


 ワイズトレントの攻撃を避けながらも弓で応戦するがなかなか当たらずにまともなダメージを与えられていない。

 アクアボールを放つと弾こうとするのだが魔法は弾けないのか少しだがダメージを与えていた。


「魔法は弾けないのね、でもずっとやってたら俺のMPも底を突きそうだしな…少し距離を取るか。鷹の目もレベルが上がって距離も伸びてるから効果範囲ギリまで離脱!」


 鷹の目はレベル5に上がって10mから15mまで伸びていた。鷹の目を発動させながら効果範囲ギリギリまで距離を取るとワイズトレントの攻撃パターンが変わったのだ。

 通常のトレントと同じく足元から木槍を出してくるがこの攻撃方法の避け方を解っていたシウは軽々避けている。

 弓を構え木槍を避けると同時に矢を放つと弾かれることなくワイズトレントに刺さった。


「お?このやり方なら鞭で弾けないのか?どっちか一方の攻撃しか出来ないのね?ね?それならただの大きな的になっちゃったのね?」

(どでかいまとにずどーんなのでーす!)

「なのです!ズドーンとパワーショットじゃごらぁぁぁ!!」

(ますたーのふっといのがささったのですぅぅぅ!!!)

「キュリアさん?!変な事を言わないの!!俺はまだ純潔なのよ!!めっ!」


 俺とキュリアは余裕が出来たことで巫山戯ながらワイズトレントを攻撃していた。

 キュリアもMPが回復すればライトボールで的当てをしているのだ。暫くするとワイズトレントは動かなくなり光になって消えていった。


「ふぅ…最初はやばかったけど距離を取ったら楽勝だったな。でも俺一人だったら確実に死んでたなこりゃ。キュリアのおかげだな、ありがとなキュリア」

(ますたーのおやくにたててうれしいのです!)

「俺の目の前を飛ぶな!光を出すな!ちょ…光が強いって!それ以上強く光らな…んぁぁ!目がぁぁぁぁ!!」


 嬉しさのあまり光り輝きながら目の前を飛んだせいで久しぶりに俺の目を潰してしまっていた。


「キュリアさんそれやめよ?!俺の目を潰してどうするつもりなの?!まだセーフティゾーンじゃないのよ?」

(ごめんなさいです…ますたーにかんしゃされてよろこびすぎたのですぅ…)


 しゅんとなってしまったキュリアを慰めつつセーフティゾーンを目指した。

 直ぐにセーフティゾーンに入るとその場で座り込んだ。そしてドロップ確認のためにアイテムボックスを見る。


「かなり溜まってんな…狼たちの素材も手付かずだしな。うーむ…後で掲示板で毛皮たちの行き先を見ておこう。とりあえず…この森で手に入れたのは…」


 ビッグビートルの甲殻×48

 ビッグビートルの角×25

 バタフライモドキの羽×53

 バタフライモドキの触覚×33

 バタフライモドキの鱗粉×12

 ビッグスパイダーの糸×42

 ビッグスパイダーの目×8

 ☆シャドウスパイダーの糸×10

 ジャイアントコックローチの羽×71

 ジャイアントコックローチの触覚×42

 トレントの木材×13

 トレントの枝×10

 フォレストマンティスの鎌×24


 ここまでは通常モンスターの素材なんだけど…てか多いわ!Gのドロップが1番多いわ!!

 それにシャドウスパイダー?そんなの倒したっけ?なんか黒い蜘蛛は確かに居たけど…あれなのか?よくわからん!それに星マークが付いてるって事はレア素材だな。ありがたや〜

 それに魔石も数個だけど手に入ったしね!使い道わからんけどね!

 そしてワイズトレントのドロップは…


 ☆賢老樹の木材×6

 ☆賢老樹の枝×4

 ☆賢老樹の魔石


 全部レア素材!ギンガムさんもこれなら納得してくれるっしょ!これだけレア素材手に入るなんて…キュリアのおかげかな?天使効果なのか!

 モンスター素材も手に入ったけどこんなのも手に入れたんだよね…


 リプリルの実×13

 ソレンズの実×11


 なんか果物なんだけどね?見た目が…リンゴとミカンなんだわ。

 でも食べるとね?リプリルは見た目リンゴだよ?でも味は桃なんだよ?すっげぇ違和感なんですけど?!

 ソレンズなんかミカンの見た目なのに味はバナナって!!美味しかったけどさ!因みにこの2つはキュリアが取ってきてくれますた。キュリアたんマジ天使!

(もともとてんしなのですー!)

 この実を使って錬金ポーション作ったらまた味が付くのかね?やってみたいのは山々なんだけど…とりあえずは矢を作っておかないと石の矢が1桁なんだよな。木の矢は鳥を狩る時にしか使ってないからまだあるからいいとしても…

 石の矢だけでもここで作っておくか。

 それに時間もそろそろやばいしな。またお化け達に会いたくないわ。

 素材はたんまりあるから作れるだけ作って今日はログアウトしよかな…

 でもここで落ちたら次もここからなんだよなぁ…黒き悪魔にまた遭遇してしまうぅぅぅ!!でもホネホネマン達もやだぁぁぁぁ!!

 よし!


 テント張ってログアウトだぜ!キュリア、また明日な!

(はいなのです!)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る