第16話 東の森


 喫茶<キャットファイト>



 シウが東の森に行った後、ユーキングとアゲハにギンガムは3人でキャットファイトで話をしていた。


「ねぇキング?ほんとにあの子2陣からスタートなの?」

「間違いなく2陣からだぞ。まさか天使をテイムするなんて思ってなかったけどな」

「ふむ、それにあのダブル回復ポーションな。弟子入りをしている証拠だよな。錬金術をここで教えてくれる店とか工房なんてあったか?」

「私はこの街では聞いたことないわ…第2の街なら錬金ギルドもあるからそこならわかるんだけど…」

「そうだよなぁ…それに東の森に行っただろ?なんかまたやらかしそうで怖いんだよなぁ…」


 ユーキングはシウがまたとんでもない事をしないか心配していた。


「キングはあの子とリアフレなんだよね?彼って男の子よね?俺って言ってたから間違いないと思うんだけど…」

「それは俺も思ったぞ?声は中性的な感じがしたんだが…身長は高いけど…それに前髪が長すぎて目が見えなかったし…」

「あいつは立派な男だぞ。リアルもあのまんまだし、少しはいじってると思ったんだけどな…」


 ユーキング達はシウの姿について暫く話していたのだ。

 この時アゲハの頭の中では色々な服を着ているシウの姿を想像していたのは誰も知らない…



<東の森>


 さて、初めての東の森なんです!西の森とはなんか雰囲気が違う気がしますです!しかも昆虫系が出るんだろ?でかい蜘蛛とか…きっついわぁ…

(ますたーはわたしがまもるのです!くもさんなんかどかーんとやっつけるのです!)


 もぅこの子…良い子すぎるわですぅ〜。蜘蛛はまだいいとしても…カブトムシとか矢が刺さるのか?なんか弾かれそうなんだけど…やるだけやってみないとわからないよな。

 とりあえず気配察知が反応を示した所を見てみるけど…

 木にカブトムシが止まってますな。かなりビッグサイズですけどね!なにあの大きさ?!俺の身長より少し低いぐらいじゃね?!160cmはあるよね?あの大きさ!

 それが木に止まってるとか…あれがこちらに飛んできてご覧よ…恐怖映像やで!

 でも殺るなら今しかないよなぁ…とりあえず全力投球なのです!


「石の矢を使いっての…付加エンチャント火からのパワーショット!」


 全力の一撃をビッグビートルに放つと、背中に刺さり一撃で仕留めた。


 おん?一撃で行けたぞ?そこまで強くないのか?とりあえずログを見てみるか?


 ログを確認すると付加火を使った事によって弱点をついていた。弱点属性が火であったのだ。


「弱点は火か…木に止まってる状態なら楽勝じゃね?」

(わたしのでばんがないのです〜)

「キュリアは…蝶にでも攻撃してみるか?光魔法で」

(やってみるのです!ちょうをくちくなのです!)


 俺はビッグビートルを、キュリアはバタフライモドキに狙いを定め狩りを続けていた。

 俺の弓での攻撃が何度か外れビッグビートルが突撃してきたがなんとか躱しつつダガーと弓で応戦していた。一方のキュリアはバタフライモドキはHPが低く魔防御も低いおかげで楽々狩っていた。

 数体のビッグビートルを倒し次の獲物を狙っている時に俺は背後から攻撃を受けた。

 すぐさま振り向くとそこには巨大蜘蛛が目の前に居たのだ。


「ぎゃぁぁぁぁ!!!クモォォォォォ!!!アクアボールアクアボールアクアボールアクアボールゥゥゥゥ!!!」

(ますたー!もうくもさんいなくなってるのです!みずのむだつかいなのです!!)

「はっ!もうヤツは居ないのか…振り向いたら目の前に蜘蛛とか怖すぎだろよ…しかもデカすぎるしよ…」


 その後も蜘蛛に不意打ちを食らいながらもしっかりと素材を集めていた。

 そしてまた一体のビッグビートルが木に止まってるのを見つけ攻撃をすると

『グオォォォォ…』

 何かの叫びが聞こえビッグビートルが止まっていた木がビッグビートルと一緒に光となって消えたのだ。


「え?木が消えたんだけど?なぜに?」

 ログを確認したらトレントを撃破とか出てますやん。そういやギンガムさんがトレントの素材もって言ってたけど…わかんねーよ!気配察知でも反応してなかったよな?トレントさんはどうやって判断したらええねん…適当に木を攻撃して行ったらいいのか?


「キュリア、その辺の木にライトボールで攻撃してみてくれ。もしかしたらトレントが出るかもだから」

(かしこまりなのです!らいとぼーるみだれうちなのですー!)


 数本の木にキュリアの攻撃が当たると2体のトレントが出現した。

 俺の足元が盛りあがって来たと思ったその瞬間、木の槍が根元から現れたのだ。

 不自然な盛り上がりを感じ取っていた俺は槍に当たることなく避けていた。


「あれがモーション無しに出てきてたら串刺しだったけどな!パワーショット!キュリアはもう一体をライトボールよろしく!」

(らじゃなのです!)

「付加火からのクイックショット!一体撃破からのアクアボール!」


 難なく2体のトレントを倒して少し落ち着いた時だった。

 俺の右側にある草むらから何か音がして直ぐに気配察知で確認をすると赤いマーカーが付いたのだ。



 また蜘蛛の登場か?ふっ…俺に不意打ちはもう通用しないぜ?

 しっかりとマーカーが現れてるからな!あいつの糸攻撃は粘つくし気持ち悪いから勘弁して欲しいんだけどな!!

 でもなんかカサカサ言わせてんだよな…ん?カサカサ?蜘蛛はこんな音を出してたっけ…





 そこに現れたの一体の黒い塊。


 そう、奴がこの世界にも現れたのだ…


 黒く光るボディ…


 揺れ動く2本の触覚…


 強靭な生命力を持つあの黒い怪物が…



 黒き悪魔…Gがぁぁぁ!!!




 なんでこんな奴がこの世界でもいるんだよ!!ちょ!早い!!この悪魔動き早い!!!

 弓当たんない!!避けられるぅぅぅ!!キュリア!ライトボールライトボール!!

(ごきさんはいやなのですーーー!!!)

 いやぁぁぁ!羽広げて飛んできたぁぁぁぁ!!

 付加火のクイックショット!付加火のパワーショットォォォォ!!!

 ダガーに持ち替えて、付加火!!からの逆袈裟じゃぁぁぁ!!

 これでも仕留めきれないのぉぉぉ?!キュリアの攻撃も効いてる気がしないぃぃぃぃ!!!

 ん?でも動きが止まったよ?なんで?





『ジャイアントコックローチがテイム可能です。テイムしますか?』




 な…なん…だと?

 まさかのキュリアに続いてのテイム成功がこの黒き悪魔…だと?なぜこのタイミングで…


 さすがにGを仲間にしたら…確実に周りドン引きするよね?!テイムモンスターは街に連れて行けるけど!キュリアとこいつは違うよね?!こいつを連れていったら阿鼻叫喚するよね?!絶対に!!


 たしかに強敵だったよ?!いつもの攻撃パターンで倒せなかったよ?!でも…でもGはやだぁぁぁ…




 よし…






 NOを選択っと…ポチッとな…






 そのまま黒き悪魔は光となり消えていきましたとさ…




 ちゃんちゃん☆













 ジャイアントコックローチと戦闘しているシウ達を見ているモノが居た。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る