第18話 男?



 ログイン四日目

<東の森>セーフティゾーン


 悪魔の巣窟に戻ってきた俺です。インして速攻でやる気を無くしてる所です…だって今からこの森を出ないと街に行けない…多分奴らは俺を襲ってくるはず!昨日の夜も俺の部屋にあの悪魔は出やがった!ストーカーされてる気分だぜ!!

 それよりも早くここから脱出しよう。

(ごきさんとはもうあいたくないのですぅ…きもちわるいのです!)

 だよな!よしダッシュで森を出よう。それしか方法は無い。


 セーフティゾーンを出た俺達は森の入口目指して走り出した。

 何度かモンスターと遭遇したが素早く倒し事なきを得た。しかし俺の背後から何かが迫って来ている。


「奴だ…奴が来た気配がする!キュリア!幻影を出してくれ!そして逃げる!!」

(はいなのです!ミラージュー!)


 キュリアは幻影を出すが黒き悪魔ことジャイアントコックローチは幻影に目もくれずなぜが俺に向かって飛びかかってきた。


「このストーカーゴキがぁぁ!!脳天貫いてやんよ!!パワーショット!!」


 振り向きざまにパワーショットをジャイアントコックローチの顔に放った。

 一撃では倒せなかったものの動きを止めることは出来た。直ぐに2射目を放つ。キュリアもライトボールで応戦する。


「これでトドメじゃ!付加火のクイックショット!」

(おまけにライトボールなのです!)


 ジャイアントコックローチを倒すと直ぐに走り出して森を駆け抜けた。

 なんとか森の出口に辿り着き平原に戻ってきた。


「はぁぁぁぁ…もう朝から疲れたわ。平原はゆっくり行こうな、キュリア」

(わたしはますたーのあたまのうえでひとねむりするのですぅ…すやぁ)

 もう寝ちゃったよ…この子…まぁ別にいいんだけどね?それよりユーキングはインしてるかの?フレンドリストを確認…あぁインしてるわ。

 とりあえずコールしてみっか。


『朝からどうした?何用か?』

「朝から君の声が聞きたかったのさ…デュフフ」

『キモイから切るな』


 あーはん?まじで切りやがったよあの野郎。ならばかけ直すのみ!


『何用じゃ?』

「はぁはぁ…下着の色はなにい『切るからな』」


 もう…少しは会話のキャッチボールしようぜ?楽しもうよ!


『3度目は無いからな?』

「わかってるよ。素材を集めてきたからそれをあの二人に渡したいんだよ。昨日フレ登録するの忘れてたからさ」

『あぁ…そういや登録させてなかったな。てかお前が直ぐに行くから悪いんだろ?2人ともログインしてっから直ぐに会えるけどどうする?直ぐに会うか?』

「俺ももうすこししたら街に着くからスグ会えるならそっちの方が助かるかな」

『おけ、それなら連絡しておくわ。東門近くに俺はいるから東門で待ち合わせるか』

「りょー!」


 東門に着くと直ぐにユーキングと合流した。

 合流したのはいいがユーキングはじっと俺の顔を見ていた。


「どったの?俺の顔になにかついてるか?」

「気になってたんだけどさ?髪型変えようぜ?前髪邪魔じゃないのか?弓を使ってるのにさ。視界大丈夫なのか」

「特に気にしないから大丈夫!視界もリアルなら見にくいけどゲームだし影響は無いぞ?」

「なら俺が変えてやろう!アゲハから貰ったこいつを着けてやんぜ!」


 ユーキングはそう言うと1つのヘアピンを取り出した。

 そのヘアピンは黄色い星が付いており俺の黒髪に映える色をしていた。

 そのヘアピンをユーキングは俺の前髪を掻き分け右目が出るように着けてくれたのだ。


「何勝手に着けてんだよ!そんな事したら家にいる時の俺になるだろよ!」

「いいじゃんかよ。可愛らしい顔してんのに勿体ない。サクヤちゃんが見たら喜ぶぞ?それにサクヤちゃんが俺に愚痴ってたんだからな、前髪だけでも変えてくれたら良かったのにーってな」

「可愛らしいとか言われても嬉しくねーよ…サクヤがそんな事言ってたのね…特に支障無かったからいいのに…」

「そのヘアピンも一応はアクセ扱いだしいいじゃんよ。ステも多少は上がるから結果オーライって事で」


 貰ったヘアピンを確認してみると


 ヘアピン(星型) レア度3 耐久値250/250

 製作者:塩焼きそば

 シンプルな星型のついたヘアピン。

 AGI+1 DEX+5


 また凄い名前の人が作ったのね…でもステが上がるのはありがたや〜

(ますたーますたー!かわいいのですの!おめめぱっちりさんなのです!)

 いつの間に起きてたの?!さっきまで寝てたよね?!可愛い言われても俺は嬉しくないのですけど?!


「まぁ…うん、ありがとな。ステが上がるから素直にそこは貰っておく!でも俺の目を出したことについては…リアルで覚えておけ…」

「気にするな気にするな!アゲハ達ももうキャットファイトに居るだろうから行こうぜ」


 2人と1天使は喫茶に向かって歩き出した。

 周りのプレイヤーは何故かざわついていたのだがオレ達は気にしていなかった。



 その頃、掲示板では…




 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△



 411.名無しの神官


 やっと俺のクランにも新人さんが来てくれたぜ!



 412.名無しの拳闘士


 うちなんかもう10人は入ってきてまーす。



 413.名無しの侍


 俺のクランにも入ってきてくれたからレベル上げ手伝ってあげてるで。



 414.名無しの剣士


 俺も手伝ってあげてるんだけどな?西の森でやってたらおぞましい出来事があったんだが…



 415.名無しの漁師


 おぞましい?なにがあった?



 416.名無しの盗賊


 ニュースでござる!ニュースでござるよ!!

 始まりの街で狂戦士がイチャついてたでござるよ!!!



 417.名無しの銃士


 なんだと?!あの狂戦士が!相手は誰だ!まさかのサクヤタンでは無いだろうな!



 418.名無しの双斧使い


 お姉様系アゲハ様か!



 419.名無しの樵


 詳細はよ!!



 420.名無しの盗賊


 相手は…獣人の狐にしてるプレイヤーだた!

 身長高かったけど顔はなかなか可愛かったぞ!



 421.名無しのハンター


 狐?そういや2陣が来た時も狂戦士は狐さんと一緒にいるの見たって人いたな?



 422.名無しの盗賊


 その狐さんの前髪が長くて目が隠れてたんだけど、狂戦士が優しく微笑みながらヘアピンつけてあげてたんだ!

 そうしたら狐さんが照れながら微笑んでたんだよ!!隠れてた目が出てきた瞬間に可愛さ倍増だったんだよぉぉぉ!!



 423.名無しの双剣士


 リア充…



 424.名無しの樵


 リア充爆発しろ…



 425.名無しの盗賊


 しかも俺って言ってたんだよぉぉぉ!!声は…え?男?って感じだったが…



 426.名無しの剣士


 ボクっ娘ならぬ俺っ娘かよ!萌える!!



 427.名無しの拳士


 まさかの男の娘パティーン?!



 428.名無しの剣士


 まてよ?狐?俺が経験したおぞましい出来事の時も…狐さんだったぞ…



 429.名無しの薬師


 さっきのおぞましい出来事ってやつか?



 430.名無しの銃士


 それ忘れてたwww

 詳細かもん!



 431.名無しの剣士


 西の森でレベル上げしてたらいきなり笑い声が聞こえたんだわ…大声で…

 何事かと思いながらも森狼が近くに居たから倒そうとしたら狐さんが降ってきて狼の首を切り落としたんだわ…そしてまた笑いながら走り抜けて言ったんだよ…



 432.名無しの盗賊


 因みにその狐さん…頭に天使乗せてたで!



 433.名無しの剣士


 俺が遭遇した狐も頭の上になんか乗ってたな…

 同じ人物かよ…カタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ



 434.名無しの銃士


 天使って言えば狂戦士が前に掲示板で書き込んでたな。

 やはり2人は出来てるのか!くそ!リア充が!



 435.名無しの樵


 狂戦士の相手は天使持ちの首狩り…



 436.名無しの僧侶


 首狩り兎ならぬ首狩り狐…カタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ



 437.名無しの調教師


 俺も西の森に居たけどあれは怖かった…いきなり現れたと思ったら首狩りして直ぐに消えていったからな…

 消えたあとのあの笑い声…耳に焼き付いたよ…まじで…



 438.名無しの剣士


 新人達…泣きそうになってたからな!西の森ってこんな所なんですか?!って聞かれたしな!



 439.名無しの召喚士


 天使な狐さんは表の顔で裏の顔は首狩り狐さんか…



 440.名無しの盗賊


 可愛らしい顔してたのに…

 綺麗な薔薇には棘があるのね…((((;´・ω・`)))



 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△




 ユーキングとシウのやり取りを勘違いして見ていたプレイヤーは掲示板で盛り上がっていた。



 その事を2人は知らない。

 そんな2人はキャットファイトに到着してアゲハとギンガムと合流したのである。


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