第32話 もふもふブラッシング


<フィノス湖>


「なんでこんな所にディーネが?精霊ってどこかに祀られてるんだろ?」


「私たち精霊は気まぐれですからね。私たちはただ祀られてるだけなのでそこにずっといる訳じゃないんですよ?それより!このもふもふ!久しぶりなんですぅ〜」


「相変わらずかよ…モフりたいが為に俺の前に現れたのか?」


「もちろんです!当然じゃないですか!私のもふもふレーダーが反応したのですよ!私とシウ様…の尻尾は運命の赤い縄できつく結ばれているのですよ!」


「うわぁ…無駄なレーダーだなおい。てかそこは嘘でも俺って言っておけよ!しかも縄かよ!それよりも!精霊と会うのに必要なアイテムとか関係なくね?これ」


「そんな事言われてるんですか?まぁそんな事よりもふもふタイムなんです!もふもふ中毒なんですぅぅぅ!!!」

「あっ…ちょ!そこは…あっ…らめぇぇぇ!!!」




 もうお嫁に行けないわ…




「ふぅ…満喫しました。あら?その子はシウ様のパートナーなんですか?」

「はぁはぁ…汚されたわ…キュリアの事か?大事なパートナーだな、確かに。俺のことを守ってくれたしな」


 俺はびしょ濡れになっているキュリアの頭を優しく撫でていた。

(はぅ〜ますたーのよしよしはきもちいいのですぅ〜)

「それなら安心出来ますね…天使達にも悪しき力を持つ者も居ますので…シウ様、黒き力にはお気をつけてください」

「黒き力?なんだそれ?魔王でも現れるのか?」

「これ以上今は言えませんが…そうですね…シウ様!力を付けて東を進んでください。その先でまた会いましょうね?これを渡しておきますのでお役に立ててください。シウ様の弓に使えば強くなれるでしょう。天使ちゃんにもプレゼントですよ♪」


 ディーネはキュリアの頭を撫でていると一瞬だが光に包まれた。

 俺に渡したのは


 精霊石 レア度7


 綺麗なアクアマリンの宝石のような美しい物だった。

 そしてキュリアには称号の【水精霊の祝福】が付き、さらに水魔結晶すいまけっしょうを貰っていた。


「水魔結晶は天使ちゃんの槍に使えば水属性が付与されますから是非お使い下さいね♪それとこの湖周辺にある草木を鑑定してみたらシウ様の役に立つ物が見つかると思いますよ♪それではシウ様…また会いましょう!っと別れる前にラストもふもふなんですぅぅぅ!!!」


 俺の尻尾はディーネによってむちゃくちゃにされていたが、キュリアがブラシを頑張って持ちながらブラッシングしていたのだ。

 ディーネはしっかりと堪能した後、フィノス湖に戻って行った。


「さーて…これはどうしたものか。こんな簡単に精霊に会えていいものなのか…それにレア度7とかかなりすごいんじゃね?とりあえずその辺の草たちを鑑定していくか」

(おともだちにきいたりしなくていいんです?)

「まぁ後で聞いてみるけどな。今は鑑定祭りだ!」

(はーいなのです!)


 近くにある草を鑑定すると


 魔力草 レア度3

 火炎草 レア度3

 毒草 レア度2

 痺れ草 レア度2

 顔付草 Lv13


「なんかモンスター現れた?!草なのにレベル高いし!てか噛み付いてきた?!痛い痛い!腕に噛み付かれた!」

(じんめんくさはかれてしまえなのですー!!)


 顔付草に右手を噛みつかれていたのでダガーを取れずにいた所をキュリアが槍で一振で顔付草を葬った。

 顔付草のドロップアイテムは


 にやけ草


「絶対にこれ馬鹿にしてるだろ…草なのににやけてるってなんだよ!てか結構顔付草いるじゃんよ!もう纏めて消し飛べよ!付加火のインパクトショット!」


 纏まって居た顔付草をインパクトショットで光に変え、ドロップアイテムを見てみると


 悲しみ草、怒り草、呆れ草、絶望草、怨み草

 色々な感情の草を手に入れていた。


「何に使えってんだよ…師匠ならわかるかな?とりあえず魔力草は大量に欲しいな。マナポーション作れるじゃん!」

(もんすたーはまかせるのですぅ〜じょそうさぎょうなのです〜!かりとりかりとり〜♪)


 キュリアは槍を振り回しながら顔付草を根絶やしにしていくのであった。

 そんなキュリアを冷めた目で俺は見ていた。


「なーんであんな戦闘好きになったのかね…武器を持たせた俺が悪いんだろうけどな…まぁいいか。魔力草と火炎草の回収回収!」

(ざっそうはねだやしなのですぅぅぅぅ!!!)


 暫く回収作業と除草作業をしていた2人はフィノス湖を後にして街に戻っていた。

 帰りの道中もカエルと八面鳥に襲われながらも無事に街に着いた俺達は直ぐに師匠の元に向かった。




 雑貨<森の隠れ家>工房



 工房にやってきて早速フィノス湖で手に入れた草たちについて師匠に尋ねた。


「師匠、魔力草と火炎草手に入れたんだけど…なんか訳の分からない草たちも手に入れたんだけどこれってなにかに使えるんすか?なんか気色悪いんだけど…」

「ん?それは感情草達か、そうじゃのぉ…普通に使うことはその草たちは出来んのじゃよ。お主が錬金の高みを目指して行くのならば使うことはあるじゃろうけどな」

「高みね…感情って事はなにかに感情を与えるってことなのか?」

「まぁそんなところじゃな。その感情草は今の所使い道が無いから買い取ってやろうかね、それより魔力草と火炎草で錬金はせんのか?」

「勿論やるさ!魔力草はマナポーションだろ?火炎草は…なんだったけな」

「火炎草は火玉の材料じゃろ…最初のレシピに書いておったじゃろ…そんなことも覚えとらんのか。どうせまたここに籠るんじゃろ?ワシは店に戻っておるからな」



 さーてLet's 錬金だぜよ!

 まずは魔力草使ってマナポーション作らねーとな。魔力草と水があれば出来るから簡単だよなー。

(またじゅーすにするのです!)

 それはまた後でな、今は普通に作るから我慢してくれな。


 錬金マナポーション(下級) レア度2

 MPが20%回復する。

 クールタイム60秒。


 ポーションのMPバージョンだな、普通に。正直20%じゃ心許ないよな…そろそろ中級辺り作りたいけど今はとりあえず我慢だな。

 次は火玉か…えっと、必要な材料は…火炎草と石だけ…これでどんなアイテムができるんだよ!

 まぁやってみるけどさ!!


 火玉 レア度2

 相手に極小ダメージを与え、状態異常【火傷】を与える事も出来る。


 なんか赤い石ころですやん。ダメージを与える言ってもこの石ころ投げて当たったダメージやんこれ。それにこんなんで火傷を与えることが出来るのかね?

 とりあえずあるだけ作りますけどね!

(ますたーふぁいとですのー!わたしはねてまってますの〜すやぁ)


 このマイペース天使が!まぁ邪魔しないだけましか。

 ではでは…時間忘れて作りこみましょうかね。


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