第8話 錬金


ログイン2日目


 今日は昼からのログインなんです。

 今日の予定としては、まずギルドに行って再びの兎討伐クエストの報告。

 雑貨屋に行って錬金術セットを買う。

 そしてどこかで錬金をしてみる。

 この三本の放送予定です!おまけとしてステ振りもしておかないとな。


 それでは早速ギルドにて報告にレッツゴー!



 報告終わりますた。こんなの直ぐに終わるよね。

 報酬は1000G。他にもクエストを見たけど東西南北にあるエリアに関するクエストだったからとりあえずは今の所は保留しておいた。

 でもどこかには行かないとダメだしな。


 因みに、北エリアは鉱山などの山に続くエリアである。モンスターの特徴としてはリザードやゴーレム、固めのモンスターが現れる。

 南エリアは海に続くエリアであり、カエルや大型の鳥、水棲系のモンスターが現れる。

 東エリアでは森が広がっている。ここにはカブト虫に蟷螂、蝶や蜘蛛などの昆虫系のモンスターが群がってくる。虫嫌いの人は来たくない場所だろうな…大きい蜘蛛とか鳥肌もんやでぇ…

 そして最後に西エリアも森である。ここは平原でレベルが上がらなくなったら次に行くといいとユーキングに教わった。

 狼や兎、鳥類のモンスターが現れる。

 そして各エリアにはボスが居る。そのボスを倒すことによって第2の街に進めるようになるのだ。俺はまだ先の話だな…行くとしても西の森だな。昆虫は…ね?


 とりあえずは雑貨屋に行こうかね。

 えっと…どこだっけ…初日にユーキングに教えて貰ったはずなのに…忘れた。

 いちいちメールやコールして「雑貨屋の場所をおーしえて♡」なんて言ったらまた狂戦士化しそうだしな…

 困ったぁ…って思ってたらなんか声をかけられた。


「どうしたんですか?なにかお困りのようですけど」


 俺の前にはよくアニメや漫画でみる街にいそうな服を着ている住人(NPC)の奥さんがいた。

 なんで奥さんなんて思ったのかって?だって子供と手を繋いでいるからさ!(キリッ!

 名探偵ばりの名推理だろ?ふふふ

「あー、雑貨屋に行きたいんだけど場所を覚えてなくて…」

 言いながら少し恥ずかしくなったわ!少し照れてしまった。素直に迷子なんて言えないしな。


「あらあら、それなら私も用事があるから行くついでに案内しましょうか?」

「是非とも!助かりますぅ〜」

 なんかサクヤの口調が移ってしまった…


 こうして俺は優しい住人さんと一緒に行くことになった。ほんと凄いAIだよ…リアルの人と変わんないんだもん。

 でも唯一俺達プレイヤーと違うのは、1度でも死んでしまうと復活出来ない。俺達はゲームだからHPを全損しても復活出来るのだけどこの住人さん達は1度でも死ぬと生き返ることは無い。そして一陣のイベントの時に街の防衛イベントがあった時にひとつの村が壊滅状態になってしまい住人がプレイヤーをかなり恨んでいた事があったらしい。今でもアインスドットにはその村の生き残った人が居るのだがプレイヤーにいい感情を持ってない。

 俺はまだ出会ってないが…

 住人さんもお助けキャラとしてパーティーメンバーとして誘う事も出来る。

 店を持ってるプレイヤーなんかは店員にバイトとして住人を雇ってたりしてる所もある。看板娘やってたりなんかも。好感度もあるらしく、良い事をすれば好感度が上がる。その逆もまた然り…店なんか出入り禁止になったプレイヤーも数名いるしな…掲示板で叩かれてたし。

 可愛い住人の子の好感度が上がれば…付き合えたり出来ちゃうのかな?


 それはさておき…奥さんもとい住人であるノワルさん(名前を教えてもらいました)と話しながら歩いていたら雑貨屋についたみたい。(幼稚園ぐらいの子供はサイナちゃん(幼女)って名前だ)

 雑貨屋の名前がこれまた凄かったんだよ…看板を見ると…


 雑貨屋<森の隠れ家>


 …ここは森じゃないし…しかも隠れ家言ってるのに隠す気ないやん…これ…

 堂々と看板出してたら隠れ家でもなんでも無いし…


 ノワルさんは俺の事なんか気にすること無く店のドアを開けて、

「お母さんただいま」


 え?お母さん?ん?どゆこと?

 サイナちゃんも「ばーばただいまー」なんて言ってますけど。

 俺がプチパニックを起こしてると、

「言い忘れてましたけど、ここは私の母のお店なんです」

 あらあらみたいな仕草でノワルさんは言った。その仕草が妙に似合ってやがる…これが人妻パワーなのか?!

 すると店の正面に構えるカウンター居たお婆さんが俺に声をかけてくる。


「お客さんかね?久しぶりの旅人だねぇ。たっぷりと買って行っておくれ。有り金全部使う覚悟でね!」


 このババア…有り金なんて俺の財布には4000Gしかねーんだよ!錬金術セット買ったら無くなるんだよ!ばーかばーーか!!

「とりあえず錬金術セットが欲しいんだけど!それに俺の有り金は雀の涙程だ。期待しないで貰おうか!!」

「貧乏人なんだねぇ…錬金術セットだったね、ノワル、取っておくれ」

 ばぁさんはノワルさんに言うとノワルさんは棚に置いてある1つの箱を持ってきてカウンターに置いた。

「これが錬金術セットだよ。簡単な物しか出来ないがね、作れても初級の物ばかりだよ。それ以外のものを作ろうとしたらワンランク上の物が必要じゃがどうする?」

「まだ錬金した事も無いし今はそのセットで充分だし、ましてやそんなワンランク上を買う金なんて持ってねぇよ!」

 それにそこまで本格的に錬金術をする予定もないしな。

「そうかい…それならこの錬金術セットだけでいいんだね。3000Gだよ」

 俺は直ぐに金を払った。財布の中身が…また金欠街道まっしぐら…俺涙目…

「そういやお前さん、まだ錬金した事ないって言ったね?ならここでやって行くかい?」


 え?店の中でして宜しいので?

「ここ店の中だろ?したら不味いんじゃないの?」

 するとばぁさんは、

「隣の部屋があたいの工房だからそこでなら大丈夫じゃよ。あたいも錬金術師だからねぇ。どうする?して行くかい?それに金も欲しいんじゃろ?ポーションを作ったら買い取ってあげてもいいんだけどねぇ」


 まさか住人の錬金術に出逢えるとは…ならばこう言うしかないよな。


「師匠お願いします!!!」



 ポーン♪

『シークレットクエスト《錬金術師の弟子入り》が始まります』


 ふぁっ?!なんか変なの始まった?!弟子入りしちゃうの?俺?


「それならあたいについてくるんじゃよ。ノワル、店番頼んだよ」

 ばぁさんはノワルさんに店番をするように伝えるとカウンターの後ろにある扉に手をかけ「ほれ、いくぞ」と、俺を隣にある工房に連れていった。


 店の隣の部屋…工房は雑貨屋とはまた違った雰囲気をしていた。

 部屋の中にある棚には錬金術で使用する為の道具であろうと思われるものが幾つか置いてあったり、本棚もある。大きな釜なんてのもあるし…錬金術ってより魔女の部屋って感じなんだが…しかも壁に骨とか飾ってるぅぅぅ!!錬金術に必要なの?!

 しかも床には魔法陣みたいなものが描かれてるし…人体錬成でもおっぱじめられそうな雰囲気なんですけどぉぉぉ!!

「どうした?キョロキョロしてから。そんなに珍しいものでも無かろうに」


 いやいや、かなり珍しいですわよ?なんたってまだ俺は2日目のプレイヤーなんですけども?

「錬金した事ないし、見たことも無い物ばかりだし…これ全部錬金術で使うものなのか?」

「そうさ、まぁ今のあんたには必要ないものばかりだけどね。とりあえず錬金してみようか。さっき買った錬金術セットをこの机の上に出すんだよ」

 言われた通りに机の上に箱を出した。箱を開けて中身を取り出すと、魔法陣が描かれたシートとコップの2つが入っていた。

「その錬金術セットは初心者用だからその2つしか入ってないよ。簡単な物ならそれだけで作れるさね。まずはポーションから作ろうか、薬草は持ってるかい?」

 薬草なら平原で採ったやつがあるんだぜぃ!シートを広げてその上に薬草を置く。

「次に必要なのは水だよ。店の裏に井戸があるからそこから水を汲んでくる必要が有るけど、そこに丁度水を汲んでるのがあるからそれを使うといいさね」

「水ならなんでもいいのか?水魔法で作れるんだけど」

 そう、水魔法のクリエイトウォーターがあるのだ。まだ1回も使ったことないやーつ!

「魔法の水かい、そりゃいい。そのコップの中に入れるんだね」

 初めての…クリエイトウォーター!!おぉ!小さいけど水の玉が出来た。見た目ウォーターボールと同じやん…とりあえずその玉をコップに入れてっと…コップ1杯になりやしたぜ!

「後は簡単だよ。錬金スキルを発動させたらいいだけさね。さぁやってご覧」


 よし!ここは某鋼さんみたいに両手を叩いて…


「錬金!!」

「そんな大袈裟な仕草はいらんさね…なにをやってんだい…」


 なんか呆れられたよ…いいじゃんか!やってみたかったんだからぁぁぁ!!!

 錬金スキル発動させるとシートが光って1つの瓶が現れた。その瓶はどこから生まれたんや…これがゲームの力なのか…コップはちゃんと残ってるし…中身の水は無くなってるけど…摩訶不思議な現象…


「ちゃんと出来ておるな。ほれ、鑑定してみな」

 言われた通りに鑑定をしてみる。


 錬金ポーション(下級) レア度2

 HPが20%回復する。

 クールタイム60秒。


「おぉ!出来た!初の錬金大成功!!」

「大成功も何もちゃんとした素材を使ってたらまず失敗なんかしないさね」

「…それ言ったらあかんて…俺の喜びを返せよぉ…」

 これで俺の回復手段が出来たぜ!ぐふふ…

 でも店で売ってる普通のポーションより効果は低いけど。店売りのポーションはこちら


 ポーション レア度2

 HPが30%回復する。

 クールタイム60秒。


 これが調薬スキルでポーションを作ればまだ効果が上がるらしいけど、俺には錬金ポーションで充分だ。だって…金がかからないな。薬草も生えてるのを採ればいいし…水も作り出せる…最高やんけ!ディーネ!ありがとう!水魔法を勧めてくれて!水を生み出せるのを馬鹿にしてたけど…なんかごめん!ディーネ愛してるよぉぉぉ!!!

(そんなことはいいんです!早くもふらせてくださいよ!逢いに来てくださいよ!!)


 ん?なんか聴こえた気がしたけど…まぁ気のせいか…

 さて、まだ薬草はある!MPも充分ある!ならやる事は1つ…

 大量生産じゃぁぁぁぁぁ!!!!


 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△


 我を忘れて作り込んでました…

 錬金するにもMPが必要なんです…水を作るにもMPが必要なんです…

 数度MP切れさせて無の境地(回復待ち)に至ったことか…ふっ…熱くなりすぎたぜ…


 ばぁさんはいつの間にか居ないしな。多分店に戻ったのかな。

 とりあえず錬金ポーションが30個程出来た。これはまた薬草を集めなければ…

 ひとまず薬草を集めに行く前にばぁさん…師匠に声をかけとかないとな。

 工房のドアを開け店の方に戻っていく。すると師匠は店番をしていた。

「もう作り終わったのかね?」

「薬草が無くなったから。とりあえず30個は作れたよ」

「少しでも売って金に換えるかね?普通のポーションが1個300Gだから…100Gで買い取るさね」

「高いのか安いのかよく分からんが…とりあえず20個売るわ。なぁ師匠、また薬草取ってきたら工房使わせてもらえないかな?」

「なら2000Gで買い取るよ。工房はいつでも使うといいさね、後…これをあんたにあげるさね。簡単なレシピだよ、この街の付近で全部採れる物ばかりだから作れるだろうよ。そのレシピに載ってるものを全部作れたら違うレシピをあげるさね」


 工房を使わせてくれるのはまじで有難い!レンタル工房に行かなくて済む!!

 それにレシピまで!一々掲示板を確認しなくても良くなったぁぁぁぁ!!


「それなら素材集めにいってきやす!」

「気をつけて行くんだよ」


 店を出た瞬間に…


 ポーン♪

『《錬金術師の弟子入り》をクリアしました』


 特に報酬も何も無いのね。まぁある意味工房が使えるようになったのが報酬って事かな?

 とりあえず薬草を取りに行きますかね。今日は西のエリアまで足を伸ばしてみよう。

 その前に武器屋のおいちゃんの所に行って矢の補充をしておかないと、残数20だから心もとない…

 それとなんかメールが来てたから後で確認しておくか…後…ステ振りもな!!




 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△



『第2陣welcome記念討伐イベント開始』


 今から五日後に討伐イベントを開催致します。各フィールド・エリアのモンスターを討伐する毎にポイントが溜まり、順位が決まります。


 各エリアにて限定モンスターが現れます。倒せば高ポイントが得られますが調教することも出来ます。


 イベント中に特殊クエストも発生致します。発生条件は各々探してください。


 討伐期間は3日となっています。是非お楽しみください。


 ※Lv30未満のプレイヤーが対象となります。


 ※ソロ上位100名には報酬があります。


 ※パーティ上位100名には報酬があります。


 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△



 PN:シウ Lv5

 種族:獣人(狐)

 メイン職業:弓使い

 サブ職業:錬金術師

 HP:80

 MP:200(150+50)


 STR:8

 VIT:5

 INT:15

 MND:15

 AGI:15

 DEX:25


 ステータスポイント(0)


 スキル

【弓術Lv3】【短剣術】【鷹の目Lv3】【付加Lv3】【魔力上昇Lv2】【水魔法Lv2】【体魔力自動回復Lv2】【調教】【気配察知Lv2】【気配遮断Lv2】


 称号

【水精霊ディーネの加護】New【錬金術師の弟子】

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