第30話 パーティプレイ



 キャットファイトを後にした俺たちは北のエリアに向かうため歩いていた。

 歩きながらではあるが各々自己紹介をした。

 大盾使いのラード、魔法使いのシンルー、剣士のリーティア。

 3人は普段からパーティを組んでおり連携が取れている。自分が入ってその連携が崩れないか心配をしていたのだがユーキングが。


「最大6人パーティが組めるからこの3人の他に回復役にもう1人アタッカーを入れたいんだよな。だから今回はシウがアタッカー役兼サポートをしてくれ。キュリアちゃんもアタッカーだな。まぁ最初はパーティプレイが慣れないだろうけど頼むぜ」

「でも北は硬いんだろ?俺の弓が通用すんのか?それが心配なんだけどな」

「そこは後で説明すっから…っと北門に着いたからお前らパーティ申請しとけよ」


 3人のリーダーであるラードがシウに申請を出してそれを受け入れる。キュリアも入れて5人パーティになった。

「ん?ユーキングは入らないのか?」

「俺はレベル差があるから入らねーよ。俺だけ単独行動な、一応は共闘するけど。レイド的な感じだな、基本的には危なくなった時だけ動く感じだからな」


 俺たちのパーティは経験値配分も均等にされている。それぞれ役割を話し合い北門を出るとそこに広がるのはもちろん平原である。

 平原を暫く歩いていると普段の平原とは変わってきており草が少なくなり岩地が広がりだしたのだ。そして平原ではなくなり目の前は鉱山へと続く道になっていた。

 後ろを振り向くとそこには平原、目の前は大小様々な岩が転がっているフィールドに新しい場所に来たと実感していた。


「さーて!ここからが北エリアだ。ラード達は何回か来てるから分かってると思うけどシウ!ここのモンスターは基本的に鉱物系のモンスターが出てくる。あそこを見てみろ」


 ユーキングが指を指した先には一体のモンスターがいる。それを直ぐに鑑定をする。


 ロックビースト Lv12


「ロックビースト?石の獣?普通に石が歩いてね?ありゃ石の犬だな」

「あれがここの基本的なモンスターだ。とりあえず攻撃してみたらどれだけダメージ与えられるか分かるさ。3人はシウのフォローしてやってくれな」

「はい!」「りょーかい」「……うん」

「ならとりあえず…【付加】エンチャント水のパクイックショット!」


 ロックビーストに普段とおりに攻撃をする。矢は当たりはするものの何時もみたいに刺さりはせずに弾かれる。ログをすぐさま確認するとダメージはそこまで与えられていなかった。

「シウさん俺の後ろに下がってください!ガードします!シンルーは風魔法でリーはいつも通りに!」


 ロックビーストは攻撃された事によりこちらに向かって走ってくる。それをラードが大盾で受け止めると風魔法のエアプレスをシンルーが放ちロックビーストの動きを阻害しリーティアが剣術アーツのオーラストライクを繰り出しロックビーストを光に変えた。


「シウ、ダメージ与えられねーだろ?なんでか分かるか?」

「弓だからだろ?それに硬すぎる!」

「まぁ半分正解だな。攻撃判定が斬や突はここでは効きにくいんだよ。弓は突、剣は斬の判定がある。それはわかるだろ?ここに出るリザードマン達には行けるけどロック系のモンスターではダメージ半減する」

「まじかよ…なら俺はダメやんけ!ダガーで攻撃をしても同じことなんだろ?」

「同じだな。でも魔法は普通に効く。それにアーツでも斬や突以外の判定も与えられんだぜ?リーティアのオーラストライクがいい例だな。あれは斬の他に魔の判定がつくからな、だからダメージが普通に与えられる。お前のアーツにもそんなのないか?」


 俺はクイックショットで先程攻撃したのを思い出していた。

「ならもう1回やってみていいかな?ラードくん、また守ってくれる?」

「任せてください!シウさんにダメージ行かないようにしますよ!」

「それならみんなもまたよろしく!ちょうどあそこにいるしな…なら今度は魔弓で消費は…10位で行ってみっかな。うし!インパクトショット!」


 シウは10m先に居たロックビーストにインパクトショットを放つと今度は見事にダメージをしっかりと与えていた。

 そのままアクアボールを放ちキュリアも同じく光魔法のライトボールを放ちロックビーストを2人で光に変えた。


(きょうどうさぎょうなのです!)

(お、おん。そうだな…キュリアも今回はロックビーストに対しては光魔法での攻撃になりそうだな)

(しかたないのです。ほかのもんすたーがきたらあばれるのです!!)


「おぉ。爆発系か!それならダメージ与えられるな。そんじゃお前らだけで暫く進んでみながら討伐開始!」


 それからは先制で攻撃を仕掛け、ラードが守り魔法で迎撃と言うやり方で仕留めていた俺達だが、首狩りの効果を試そうとロックビーストの首と思われる場所を矢で射るが効果はなかった。


 暫く歩いていると岩陰から二足歩行の蜥蜴が現れた。


 リザードマン Lv15


「あれがリザードマンか…普通に歩く蜥蜴だな。でも武器を持ってるのかよ…」

「リザードマンは人と同じような動きをしてきますから気をつけてくださいね。思いもよらない攻撃なんかもしてきますから」

「あいつは物理攻撃は通るけど魔法は効きにくいの。だから私の攻撃は期待しないでね?」

「……僕はいつも通り……」

(とつげきなのですぅぅぅぅ!!!)

「ちょ!キュリア待ちなさいって!あーもう!【付加】パワーアップ、ディフェンスアップ!」


 キュリアは今までの鬱憤を晴らすかのように飛び出して行った。槍を振り回しながら。

 浮遊の速度も上がっており駆け足程の速さになっていた。そのおかげでリザードマンを撹乱しながら下から槍を振り上げその反動を活かしながら回転斬りを放つ。

 俺はリザードマンがキュリアに気を取られている間に首を狙い魔弓を放つ。喉元に刺さりリザードマンは後ろに倒れながら光になった。


「…これが首狩り狐さん…首をこの距離から狙うとか…どんな射撃なんですか」

「こわ!喉に刺さった瞬間に笑うとか…こわ!!」

「……かっこいい………」

「「えっ?!」」


 その後も俺とキュリアはリザードマンが出る度に連携して首を狩っていた。

 ロックビーストの時の2人とは雰囲気が変わったことにラードとシンルーは戸惑っていたがリーティアだけは熱い眼差しで俺を見ていたのはここだけの話。

 なんか怖かったもん…


 ボスエリア手前のセーフティーゾーンで一旦休憩を挟み来た道を戻りながら街に帰ってきた。

 街に戻ってきた俺たちはフレンド登録を済まして解散となった。

 ユーキングだけは残り俺と話をしていた。


「今日はもうログアウトすんのか?」

「うーん今15時だろ…ぶっちゃけ昼飯抜きでやってるからとりあえず一旦軽くなにか食ってからまたインするかな?南にも行ってみたいしな」

「南ならキュリアちゃんと2人でも行けるだろう。毒消しだけは持って行っとけよ、カエルが毒持ちだからな。北にもし行くならピッケルも持っていたら役に立つぞ。採掘無くても少しは取れるからな」

「情報サンキューな。ならまたなんかあったら連絡するわ」

「はいよ!あっ、南いくなら途中で分岐する所あるから右じゃなく左に進んでみな。面白い所にいくから!んじゃまたな!」


 そう言うとユーキングは走ってラード達を追いかけていった。


「面白い所?まぁ後で行ってみるか。キュリア、とりあえず宿屋に行ってからログアウトするからまた後でな」


(はいなのです!ますたーがもどってくるのをまってるのです!)

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