第85話 聖都防衛⑦シウVS???



 いい所を取られた俺は項垂れていたが、男の悪魔が直ぐに攻撃を仕掛けてくる。


「ゴミが1つ増えた所で変わらんよ!シャドウエッジ!」


 俺の影から黒い刃が出てくるのだが


「影が使えるのは俺もなんだけどね!シャドウエッジ!」


 シャドウエッジを回避した俺は男と同じく影魔法を使い攻撃を仕掛ける。

「そして爆ぜろ!」


 男と違ったところは、シャドウエッジが突然爆発を起こし無数の黒い針が男に向かって飛んでいく。


「なんだそれは!そんな魔法は見たことがないぞ!」

 男の悪魔が叫び


「まさかおにぃ…魔力構築覚えたの?!」

 サクヤも驚きで大声を出していた。


「あっ…サクヤさん…お疲れ様でーす!魔力構築覚えましたです!はい!」

「なんでおにぃそんなよそよそしい感じ…あぁ…大丈夫だよおにぃ…アトデタップリトカワイガルダケダカラ…ふふふ」


 俺はサクヤの黒い笑いに恐怖を覚え、近くに居たユーキングの背中に隠れたのだ。


「へい!ユーキエモン!俺を助ける道具を出してくれよ!これガチで!」

「シウ太くんが全面的に今回は悪いから助けられねーや。とりあえず今はバカしてないであいつを倒さねーとな」

「あいつは一体何者?それに横の...黒鎧も敵なのか?てか、あの鎧は東の森に現れたやつじゃね?」


 ユーキングに男について聞くと


「あいつが今回のボスだろうな。お前が大遅刻してる間にイベントはかなり進んだんだよ!黒鎧については…わからん!」


 謎の黒鎧が俺にゆっくりと近づいてきていた。

 その間、ミドリムシに蒼紫、ラードとストレクーガは男の相手をしている。



「えぇ?!俺達であの鎧と戦うの?なぁお前さんや…東の森で会ったことあるよな?」


 黒鎧は喋ることなく頷いた。


「やっぱりあの時の鎧さんか...なんでこんな所までくるのさぁ...」

「妾の敵はあの鎧なのじゃな!硬そうじゃが妾の爪で切り裂いてやるのじゃぁぁぁ!!」

「駄猫はうるさいからあっちであの男と戦ってきなさい!」

「暴れてくるのじゃ!」


 黒鎧はゆっくりと剣を構えると同時に俺に襲いかかる。


「一騎打ちのお誘いはお断りなんだけどね!」


 黒鎧は素早く俺に斬り掛かるが短刀で何とか凌ぐと


「俺にも一騎打ちのお誘いをして欲しいもんだね!」

「おにぃを誘っていいのは私だけなんだから!フレイムニードル!」


 ユーキングとサクヤが黒鎧に攻撃をする。

 だが、大盾で2人の攻撃を防ぐと邪魔をするなと言わんばかりにユーキングとサクヤを見ていた。


 すると黒鎧は手に持っていた剣を地面に刺すと地面に魔法陣が現れた。


 その魔法陣からは黒鎧とは違う個体の鎧達が現れた。




「おぉっ?!なんか知らないけどいい魔法の的が現れたわね!!インディグネイション!!!」


 数体の黒鎧が現れ、サクヤとユーキングに襲いかかる。

 サクヤは笑いながら魔法を放ち続けていた。


「この鎧野郎はいつものリビングアーマーと違うじゃんよ!つえーよつえーよ!こいつら!はははは!!装甲硬すぎだろよ!しかも早いし!楽しませてくれる!きゃははは!!」


 狂戦士化したユーキングは笑いながら目の前の強化された黒鎧達と戦い始めた。


「結局俺一人になるんかーい!」


 サクヤとユーキングが俺そっちのけで暴れ始めた為、また1人になってしまった。

 黒鎧は再び剣を構えると俺に挑発をしてきた。

「片手で剣を構えながら指でこっちに来いみたいにクイクイしないでくれますかね!俺は近接より遠距離タイプなんじゃーい!」


 俺は後ろに下がり距離を取りながら魔弓スイハで矢を放ち続ける。

 魔力で作られた矢を斬りながら黒鎧は俺に迫ってくる。


『......獄一閃』


 黒鎧は瞬歩を使い俺との距離を詰め、アーツを使ってくる。

 躱しきれずに直撃を受け、俺は半分もHPを削られてしまう。


「一撃でこのダメージかよ?!瞬歩からのアーツとか避けきれなくね?!それに喋れるんかーい!」

『...ふっ...まだ行く...』

「もうお腹いっぱいで吐きそうなんで勘弁してくれないかな?!炎狐爆撃隊!」


 炎の狐を造り出し女に突撃させる。


「更に氷狐に雷狐も行ってこーい!」

 氷の狐と雷の狐も突撃していく。


『...無駄...アースウォール...』


 黒鎧の足元から土で出来た壁が現れ、俺の造り上げた狐たちが壁にぶつかり爆発を起こしていく。


「俺の可愛い狐さん達が!」


 爆発したせいで風塵が舞い上がり2人の視界を遮る。

 その風塵から黒鎧は現れ


『...スターリィスティング』


 俺に向け素早い突きを放ってくる。


「氷壁!魔弓雷蛇!」


 氷で出来た壁を造り出し黒鎧の突きを防ぐと同時に魔力構築で矢を造り上げ放つ。

 蛇のような動きをする雷の矢。黒鎧は矢を斬りつけようとするが当たらず矢が刺さってしまう。


『......痛い...でも...この痛みが......いい...』

「ドMかよ!ドン引きやわ!とりあえずどんどん食らっとけ!炎蛇に氷蛇!」


 2本の矢もそれぞれの属性の蛇に変わり黒鎧を襲う。


『...ふふっ...凄く...いい...』

「まじでこいつやべぇよ…攻撃受けてめっちゃ喜んどるやん…」

『......この痛み...ふふっ...』

「キモ怖いんですけどぉぉぉ!!!!」


『...お主の痛みという愛情を貰った...我からも痛みの愛をお主に「腐った愛をマスターにあげるなですぅぅぅぅ!!!刺し殺せ!!貫き丸ぅぅぅ!!!」


 上空からキュリアが手に持っていた槍を全力で黒鎧に投げつけ刺し殺してしまう。


「マスター大丈夫なのです?!愛という名の激毒を貰ってないです?!汚物は私が消毒したのです!!!」

「なんで君たちはいい所ばっかり取っていくの?!俺に恨みでもあんの?!ねぇ!!」


 キュリアは黒鎧に刺さっていた槍を引き抜き俺の元に駆け寄っていく。

 黒鎧のHPは全損したはずなのだが、なぜか光となって消えていかなかった。


『............』


 するとシウの目の前に画面が現れ



『魔人(魔鎧)がテイム可能です。テイムしますか?』


「………えぇ。魔人なの?鎧なの?どっちなの?!てかテイム出来んの?!うっそーん…」

「流石やらかしマスターなのです…大遅刻する上に訳の分からない黒鎧を手篭めにしようとするわ…信じられないのです…」

「手篭めにするとかやめよ?!俺が悪人みたいになるやん?!」


『...............』


 黒鎧は無言で俺を見つめていた。


「これでテイムしなかったら胸くそ悪いわ!もうテイムしますよ!Yesだよ!!」


 黒鎧の体が光だし、俺の目の前に再び画面が現れ



『名前を決めてください』Lv45

 種族:魔人(魔鎧)


 HP:780

 MP:390


 STR:150

 VIT:250

 INT:100

 MND:100

 AGI:50

 DEX:50


 スキル

【長剣術】【大盾術】【土魔法】【金剛】【身体強化】【鬼の化身】【忠誠】【瞬歩】【不屈の魂】


 固有スキル

【眷属召喚】【絶影】



「初期ステ高すぎる!何この鎧の壊れたステータスは!」

 『......名前...欲しい...』

「こんなのは鎧でいいのです!ボソボソ喋る鎧って名前でいいのです!」

 『...ふっ...おチビ...』

「きぃぃぃぃ!!そんな身長なんかいらないのですぅ!目指せロリ巨乳なのですぅぅぅ!!」



「とりあえずシカトしておいて…名前ねぇ…ゆっくりと本当なら考えたいけどそんな暇ねーよな…黒鎧に黒い剣...それに黒い大盾持ってるしなぁ…黒…クロ…黒いリビングアーマー...クロリアでいっか」

 『......クロリア...いい名前...』

「リア被りしてるのですぅぅ!!異議申し立てするのですぅぅぅ!!」



 イベント中にも関わらず俺は新たにクロリアをテイムしてしまったのであーる。









 その頃


「蒼紫殿!狐さんの方ばかり見ないでござるよ!こちらに集中するでござる!」

「無理無理。狐様があんな近くに居るのに無理っしょ。こんなおっさんと戦ってるより狐様を見てる方が私得よ!私の代わりにミドちゃんが頑張ればいいのよ!」

「オイラだって狐さんをじっくりと眺めてたいでござるが…このおっさんがそうさせてくれないでござるよ!」


「ほぅ?貴様ら…そんなに死にたいようだな!シャドウファング!」


「おっさんがおこでござるよ!蒼紫殿のせいでござるぅぅ!!」

「人のせいにしない!ミドちゃん1人が罪を背負ったらいいのよ!」


 2人は話しながらも男の攻撃を躱していた。



「なぁ…ラード…あの二人っていつもあんな感じなのか?」

「僕に聞かれても知らないよ?!」

「...妾の出番......ぐすっ...」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る