狐さんの冒険譚

第11話 謎生物

<西の森>セーフティゾーン

　夢中で錬金をやり続けて時間を忘れていたせいで日が徐々に傾いており茜色の空になっていた。

　時刻は夕方6時過ぎ…FLOは夜7時になると現れるモンスターが変わってくる。

　西の森では昼間は狼・兎・鳥なのだが、夜になるとゴースト・スケルトンが現れる。

　ゴーストには物理攻撃が効かなく魔法しかダメージを与えることは出来ない。スケルトンはHPは高くないが一撃が重いのだ。装備をしっかりしてないと一撃で沈む可能性もある。

　俺は錬金に夢中になっておりその事をすっかりと忘れていた。

　ふぅ…やり遂げたぜ…材料を見事に使い切った…俺のMPも使い切ってしまったよ。

　とりあえず木の矢より高性能な石の矢を大量生産した。

　出来上がったのはこちら！

　木の矢×30

　石の矢×69

　合計99本！しかし纏めて作るとMP消費がやばかった…回復するまで時間も掛かったし…

　それに満腹値も空腹の方にだいぶ落ちてるしな。てか今何時なんだ？18時47分…もうすぐ19時か…

　ん？19時？夜…夜？！モンスターが変わる！やべ…どないしよ。セーフティゾーンでログアウトしてもいいけど…テント買ってないしな…

　各エリアにはセーフティゾーンがあるのだがここでログアウトする事も出来る。しかし、街と同じでは無く姿は残ってしまうのだ。セーフティゾーンで安全にログアウトするには簡易テントが必需品になる。

　これがあればテントの中でログアウトでき、尚且つ他の人は入れないのだ。

　俺は深入りするつもりはなかった為に用意してなかった。

　さてと…どうしますかね。森の中はマップがある意味機能しない。モンスターにしか反応しない！入口出口はちゃんと記されるけど今のマップには記されていない。目印も何もつけていない。ある意味迷子です！はい！

　それに明かりも何も用意してない！これは死に戻り覚悟で突貫するしかないか？デスペナ喰らいたくないんですけど！

　FLOのデスペナルティは2時間の全ステータス半減、所持金半減、アイテムボックスの中身がランダムで消失。

　デスペナ中にまた死に戻りするとさらにステータスが半減してしまう。

　今デスペナ喰らうと折角の貴重かわからない素材達がランダムだけどなくなる可能性があるからかなり困る！

　錬金ポーションも後5個…最初からあるポーションが8個…

　もう覚悟決めて行くしかないよね…はぁ…

　そんなこと考えてる間に19時になったし…暗くなってきたし…

　よし！行くか！弓は多分使い物にならないだろうからダガーと魔法で切り抜けてやんよ！

　スニーキングミッションを…開始する！

　セーフティゾーンから出た俺は木々に隠れながらゆっくりと進んで行った。

　足音にも最大限気をつけながら慎重に歩いていた。

　これは…お化け屋敷より怖いかもしれへんで？だって俺の少し前にガチもんのスケルトンさんがいらっしゃいますよ？骨骨ですわよ？どこから現れたんだよぉ…しかもゴーストがゆらゆら揺れながら動いとるし…

　ゴーストってよりあれは人魂ですやん…とりあえずマップをかくにn…後ろに何か赤いマーカが…！！

　俺は素早く後ろを振り向くとゴーストが居た。

　んひっ？！アクアボ痛っ！なんか衝撃波きた！これがゴーストの攻撃か！

　HPはまだ4分の1ある…なら魔法で応戦じゃい！

　アクアボール！まだ攻撃で使えるのこれしかないからかなり辛いわ…てかダガーに属性付加したらダメージ与えられないのかな？やってみるべし！

【付加】火！からの袈裟斬りじゃ！

　ダガーで切りつけてみると水魔法で与えたダメージよりは劣るものの攻撃は通じたのだ。

　これならなんとか行ける！でも衝撃波が何処から来るのかわかんねーし、どれ程の距離をとったら良いかもわかんねー。ダガーで行けるなら弓でも行けるかもしれん！

　ダガーから弓に交換からの石の矢に付加の風！発射じゃボケェ！！

　速度を優先したシウは矢を放つ。ゴーストに当たると石の矢は消えていった。

　ゴーストの残りHPは残り僅かになっていた。

　俺はとどめを刺す為にアクアボールを放ちゴーストを倒した。

　これは…MPかなり消費するから連戦は出来ねーぞ？弓術のレベルが5になったらからアーツも使えるけどこれまたMP使うしな…付加しないと攻撃が通じないとか生粋の戦士系はやばいだろうな。

　とりあえずさっさと先に進もう。ガチでマップをこまめに見てから進もう。

　それからはモンスターと遭遇する前に違う道を進みながら回避して歩いていた。

　しかし進んでいたらマップにマーカーが付いたのだ。俺の前方には1つのマーカー、俺は避けて行こうとしたが森の入口である反応もその先にあったのだ。

　んー…これはどうしたものか。最短距離は直線…でもそこには敵反応…まだこちらに気づいていない。ならどうする？

　やる事は1つ！奇襲だ！

　足音を消しながら近づくと目の前に一体のスケルトンが居たのだが、何かを攻撃していた。

　スケルトンの右手には剣、左手には盾を装備しており剣で何かを切りつけるような素振りをしていた。

　お骨様は一体何をしておるのじゃ？特に他のプレイヤーは居ないよな？マップにも青のマーカーついてないよ…ん？黄色のマーカー？黄色って確かノンアクティブモンスターの反応だよな？どうする？今ならスケルトンの背後を取れるけどどうやって攻撃する？どうすれば一撃で倒せる？

　スケルトン…骨…折る？てか折れるのか？それなら実験してみましょう！

　ゆっくりと近づいて〜背後にゆっくりとゆっくりと〜

　からの〜首折り！！

　スケルトンの背後から近づき頭蓋骨を両手で持ち、勢いよくへし折った。

　シウの両手には頭蓋骨が残り、体はそのまま倒れて行った。

　えぇ…こんな事が成功すんの？てか…ゴキって言ったよ？しっかりと音がなったよ？気持ち悪…おぇ…

　てかスケルトンは倒したけどノンアクティブモンスターが残ってるやん！逃げるか？！

　スケルトンが光になって消えていくと俺の目の前にはゴーストとは違った光を発するモンスターが居た。

　えっと…これはなんだ？モンスター…なのか？夜の森はゴーストとスケルトンの2体だよな？

　それでこいつは何？！とりあえず攻撃してこないけど…一応鑑定しておくか。

　？？？ Lv1

　名前が分からない？光ってる玉らしき物体…妖精とかなのか？しかもレベル1って…よくスケルトンに攻撃されて死ななかったね…

　ノンアクティブモンスターだから何もしなかったら大丈夫だよね。

「さぁお行き…君を虐めていた骨さんは俺が退治したからもう安心だよ…これから強く生きるんだよ…」

　そう言って俺は森の入口に進んで行ったんだけどね？

　俺の横にふわふわ浮いてるさっきの光の玉が居るんだが。なぜ？

「なんで付いてきてるんだよ…お前さんの自由に生きなさいよ。てか眩しいから俺の顔を周りを飛ぶなし！近い近い！目の前だかr！！目がァァァ！！！」

　光の玉は何かを伝えようとしてシウの目の前で力強く発光してシウの目にダメージを与えた。

「目が！目がぁぁぁぁぁぁ！！！！」