第78話 聖都防衛②ミドリムシ&蒼紫
ミドリムシ&蒼紫 side
「ミドちゃん、これからどうするの?街を走り回る?」
「そんな事はしないでござるよ。オイラの知り合いを既に呼んでるでござる!みんなカモン!!」
ミドリムシが叫ぶと3人の忍者装束のプレイヤーが現れた。
「あれ?3人でござるか?りっくんとハムくんは?」
「勝手に行動してるよ?ミドリムシさんとは行動したくないってさ」
「ウザがられてるよねーうけるー!」
「どうでもいいから早く要件伝えてくれないかな?せっかくのイベントなんだし?」
ミドリムシと同じ様な格好をしているプレイヤーに蒼紫は戸惑いを隠せなかった。
「えとえと…誰?この人たち…ミドちゃんの知り合い?」
「口は悪いでござるが…オイラの忍者仲間でござるよ!サングラスしてるのが与作で、うさ耳がエコ、背の低いのがもんじゃでござる」
ミドリムシがそれぞれ紹介をする。
ミドリムシと同じ忍者職であり、時折クエスト等を攻略する仲であった。
サングラス姿の与作が
「んなことより、どうすんのさ。住人を助けたらいいのか?それとも街の中にいるモンスターの殲滅?もしくはお前の抹殺?俺たち的にはミドリムシ駆除が最優先だと思ってるんだけど。なぁ?エコ、もんじゃ」
「「駆除に賛成だぁぁぁぁ!!」」
「駆除は後にするでござる!勝てたらの話でござるけど!それより住人の保護とモンスターの殲滅を同時にするでござる。街の破壊率に貢献度でイベント報酬が変わるとオイラは思ってるでござるから早急にいくでござる!解散!」
ミドリムシが3人に指示を出すとそれぞれ違った方向に消えていった。
「ミドちゃん…嫌われてるんだね…可哀想…それはさておき、ミドちゃんのクランメンバーなの?あの人たちは」
「オイラはクランには所属してないでござる。彼ら達とは時々行動するだけでござるけどチームNINJAとしてパーティを組んでいたでござる。その時にオイラがリーダーをしていたから指示を出してるだけでござるよ」
ミドリムシ達、忍者軍団はそれなりにトッププレイヤー達の間では有名であり中々の実力者の集まりだった。
「オイラたちも行動をするでござるよ。先程教会に現れた魔族が居なくなってるでござるから何処かにいるはず!探すでござるよ蒼紫殿」
「そだね〜。とりあえずは動かないとこうやって目玉達に襲われるだけだしね!」
2人は話しながらも続々と現れる目玉型モンスターを葬っていた。
次々と目玉が登場するなかミドリムシは忍術を使い、蒼紫は鎖を使い消していく中、一体のオークが突如として現れミドリムシを殴り飛ばした。
「何処から現れたでござる!油断したでござるよ…HPも4分の1減らされるとは…豚の丸焼きにするでござる!火遁、炎蝶!」
ミドリムシの周りに燃え盛る蝶が現れオークに飛んでいき、体に触れた時、蝶が燃えだしオークを炎で包む。
しかし、オークは腕を軽く振るだけで体にまとわりついていた炎を消し去った。
「まさかの炎耐性でござるか…」
「ミドちゃんガードされてやんの、ぷぷっ。次はわったしのばーん!双鎖術、クロスジャッジメント」
蒼紫が腕に巻き付けていた2本の鎖を解放すると、1本の鎖がオークに飛んでいき胸に突き刺さる。
もう1本はゆっくり蛇のように地面を這いながら進んでいる。
「さぁ…邪は消えゆくがいい。聖なる銀よ、打ち消せ」
オークの真下に鎖が到着すると同時に鎖はオークを下から突き刺す。
鎖が光り輝くと同時にオークは爆散し、光となって消えていった。
「かなりえぐいアーツでござる…1本目の鎖で確実に麻痺を食らわせるなんて…初見だったら避けきる自信がないでござるぅ…それに真下からの鎖の突き刺し…オイラのお尻が…ひぃ…」
「これは対魔用でお師匠に教えて貰ったアーツだから人にはそこまで効果無いと思うよ?食らってみる?ミドちゃん」
「お断りでござるよ!それにしても蒼紫殿にいい所取られたでござるよ…」
悪魔化したオークを倒したミドリムシ達は移動しようと歩き始めたが、魔法陣が足元に現れ、何かが召喚された。
「ふむ、下等な俗物が我の手下を殺すとはなかなか面白いじゃないか。我が相手をしないと行けないかな?」
魔法陣から現れたのは、黒髪のオールバックで黒いタキシードを着ており、背中には蝙蝠のような羽を生やした1人の男だった。
「まさかの人型悪魔でござるか…やっかいでござるね」
「めんどくさいのがキター!位持ちの悪魔じゃない事を願う!!」
「お嬢さん?残念ですが…男爵の地位を貰っておりますので…仲良くしてくださいね?」
人の姿をした悪魔は笑顔を蒼紫に向け言い放った。
「余計にタチが悪い!男爵級悪魔とか…実にめんどくさい!ここはミドちゃんに任せた!私は見学にまわりまーす」
「蒼紫殿?!普通は協力して倒そうとか言う場面でござろうに!」
「ミドちゃんのーちょっといいとこ見てみたーい。さっきは私がいい所取ったでしょ?だから今回は渋々ミドちゃんに譲るわ…泣く泣くよ?わかる?てか、わかれ」
「横暴でござるぅぅぅぅ!!!」
蒼紫が後方に下がると同時に男爵級の悪魔は名乗りだした。
「貴方が我の相手をしてくれるのですね?我の名はダリオン、我の名を知り…死ぬがよい!」
ダリオンは名乗ると同時にミドリムシに飛びかかってくる。
「初速が早い!でも躱すのがオイラでござるよ…忍者を舐めんなよ?黒虫如きが!」
避けると同時に苦無を投げつけるがダリオンの足元にある影から壁が現れふさがれてしまう。
「そのような飛び道具で我を傷つけようとは笑止。我が影は守りの影…そして、我が剣となる!シャドウエッジ!」
ミドリムシの影から黒い刃が突き上げて来たが瞬歩を使い回避をする。
「ふふふ、さぁ楽しいダンスの時間だ」
「男とダンスとか御免蒙る!しかしここまで影魔法が厄介とは思わなかったでござるよ!あまり呼びたくはないでござるけど…致し方あるまい」
ミドリムシはアイテムボックスから1つの腕輪を取り出し装備をする。
「我が声を聞きし者よ…ここに姿を現すでござる!オイラの相棒!ミッチー!」
腕輪に付けられている宝石が光だし
「ようやく俺の出番かよ、呼ぶのが遅くねーか?それよりずっと俺を出しとけよな、ミドリの虫さんよ」
「出してあげた途端に愚痴でござるか?!ミッチーを常に出してたら街に入れないでござるよ!」
ミドリムシがミッチーと呼ぶ者の正体は、顔は猿、体は虎、尾は蛇の姿をしている鵺であった。
ミドリムシのテイムモンスターである鵺のミッチーは普段、特殊な宝石の中に入れ込み持ち歩くことが出来るためその中に眠っているのだ。
ある一定の条件を満たすことにより入手できる宝石は調教を持つプレイヤーには欠かせないアイテムである。
これにより数多くのモンスターをテイムする事が可能となる。
ミドリムシは1番の古株であるミッチーを呼び出し共に闘うことにした。
「ミドリよ、あの黒い羽虫を食い散らせばいいんだな?」
「街を汚さないようにするでござるよ?」
「化け物が一体増えたぐらいで我を倒せるとでも?シャドウエッジ」
ミッチーはダリオンの攻撃を避けることもせずにシャドウエッジを食らってしまう。
「たわいもないですね、避けることもせずに食らうとは…見掛け倒しですか」
「誰が動かないデカブツじゃゴラァ!死にさらせや!!」
ダリオンの背後には先程シャドウエッジに貫かれたはずのミッチーが存在していた。前足でダリオンを押し倒し、尾の蛇が首元を噛み付く。
貫かれたはずのミッチーは液体に変わり消えていた。
「くっ!これしきで!シャドウサイズ!」
ミッチーに影から複数の鎌が襲いかかるが
「俺に魔法を使っても無駄だぜ?吸い取るからな」
固有スキルである魔攻吸収。
全ての魔法攻撃をMPに変えてしまうスキルをミッチーは持っていた。
一定のダメージ量は全て吸収してしまう為、ダリオンの影魔法での攻撃はミッチーには美味しいご馳走でしかなかった。
「魔法がダメなら直接切り刻むまで!」
「オイラを忘れたらダメでござるよ?彗破斬!」
ダリオンが剣を構えた瞬間、背後からミドリムシが忍刀を手に持ち背中にアーツを打ち込み前のめりにさせる。
「顔面ガラ空きだぜぃ!タイガーアッパー!」
ミッチー渾身の虎パンチがダリオンの顎にヒットして体を浮かせ
「トドメはオイラでごーざる!蒼牙朱突!」
ミドリムシがアーツをダリオンに食らわせるが
「ミドリはいつも詰めが甘いなぁ…まだHP残ってんぜ?絞りカス程度だけどな!ラストは俺様だぁぁぁぁ!!!」
ミッチーはダリオンに噛みつき、残りのHPを噛み砕いた。
「んぁぁぁぁぁ!!!蒼紫殿に続いてミッチーにもいい所を取られたでござるぅぅぅぅ!!!うわぁぁぁぁぁん!!!!!」
膝から崩れ落ちたミドリムシ。
それを蒼紫は
「お腹いたい…なんでいっつもいい所を持っていけないのよ…笑い過ぎてお腹いたい…しかもガチ泣きしてるし…笑い殺す気か…」
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