第43話 狐さんと狐その①
<西の森>
俺達は他のプレイヤー達に恐れられながら狩りを続けていた。
木の上からモンスターを見つけると直ぐにダガーを腰から引き抜き逆手に持ちながらモンスターの首を狙い飛び降りる。
着地した時には森狼の首は無くなっていた。
森狼の胴体と頭は分断され光となっていく。
キュリアは光の翼で木々を掻い潜りながら狼や兎を見つけては白兎で一刺し。
時には光の翼で斬りつけて移動をしていた。
そして2人と少し離れた所に1人の忍者プレイヤーが潜んでいたのを俺とキュリアは知らない。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
222:名無しの忍者
実況中継するでござるよ!
現在狐さんはアサシン作業でござる!
天使ちゃんは優雅に飛んでいるでござるよ!
223:名無しの剣士
安定の首狩りさんwww
天使ちゃんは飛んでるだけなのか?従魔が倒してもポイント入るんだろ?確か
224:名無しの僧侶
クランメンバーがイベントやってるけど西の森は恐怖って言ってたけどこの事か…
首狩りさんが居たら確かに恐怖だわな(´^ω^`)ブフォwww
225:名無しの召喚士
首狩りさんって弓使いだよな?なのにアサシンw
どうやって首を狩ってるんだ?
226:名無しの忍者
首狩りさんは木の上を移動してるでござるよ
オイラと同じでござるな!でも動きを見ると立体機動のスキルでは無いと思うでごさるよ
227:名無しの剣闘士
それならなんのスキルだ?
228:名無しの忍者
恐らく跳躍だと思われるでござる!
229:名無しの樵
跳躍か〜育てたらなかなか使えるんだよな?
230:名無しの拳士
空歩になるんだっけ?
231:名無しの調教師
西の森は死滅してしまうのか…森狼達が根絶やしにカタ:((;°ロ°;)):カタ
232:名無しの双剣士
まぁリポップするから絶滅はしねーけどな(小声)
233:名無しの忍者
狐氏…笑いながら首を狩る
天使ちゃん…笑顔で獲物を刺し殺す…
地獄絵図でござる…
234:名無しの魚人
海は安全なのであーる!
235:名無しの剣士
だろうな!!!
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
俺達は森狼達を狩るのに飽き長の元に向かった。直ぐにボスエリアに入り長を短時間で攻略する2人。
長を倒すのに5分も掛からずに倒してしまい再び森の中で殲滅戦をしようとしていたが一旦休憩を挟むために川辺のセーフティゾーンに足を運んだ。
「キュリアさんや、楽しく殲滅してるけど物足りませぬか?」
「マスター…違うエリアに行きましょうか…」
「やっぱり楽をしたらダメだな!休憩終わったらどこに向かうかね…とりあえず東にでも行ってみて巨大蜘蛛ともう一度戦ってみるか?」
「それがいいですの!全部のエリアを制覇するのです!」
「なら東にいってみよー!」「おーーなのです!」
俺達が東へ向かおうとした時だった。
川の奥にある草むらから1匹の狐が姿を現したのだ。その狐は酷く汚れており毛並みもボサボサだった。
「マスターこんな所に狐がいるのです!マスターと同じなのです!でも毛並みはマスターの圧勝なのです!」
「セーフティゾーンならモンスターでは無いんだよな?マーカーは…黄色…住人かノンアクティブモンスターか。てかキュリアさん?いきなり尻尾をもふりだすのやめようか?モフるならブラッシングしてくれよ」
ブラシを渡されたキュリアは俺の尻尾の手入れを始めた。
現れた狐をじっと見ているとその狐はゆっくりと俺達に近づいてきたがある一定の距離に来ると立ち止まった。
近づいてきた事により狐の体に傷があるのを確認できた。ゆっくりと狐に近づこうとすると狐は後ろに下がっていく。
俺は近づくのをやめアイテムボックスからリプリルを取り出し狐の前に投げた。
「食べるかわかんねーけどやるよ。腹でも減ってんじゃないのk「私も食べたいのです!狐だけずるいのですぅぅ!!」…分かったから尻尾を高速スリスリしないの!上げるから!」
狐はゆっくりと俺の投げたリプリルに近づき恐る恐る口を付け始めた。
1口齧ると狐は味を確かめるようにゆっくりと咀嚼し安心すると勢いよく食べ始めた。あっという間にリプリルは無くなり狐は俺に顔を向けるとじっと見ていた。
「ん?もう一個いるのか?仕方ないn「おかわりなのですぅぅぅぅ!!」お前もかぁぁぁぁ!!」
狐にもうひとつ投げると直ぐに狐は食べ始めキュリアも無心でリプリルに齧り付いた。
2つ目を食べ終わると狐は警戒心を解いたのか分からないが近づいてきた。
目の前に来たことにより鮮明に狐の姿を見ることが出来た。
毛は血で汚れており時間が経っていることにより固まっていた。かなりの数の傷も確認された。
錬金セットにあるコップとリプリル味の錬金ポーションを取り出しコップに注いでいく。
「飲めるか?傷ついてるから、これを飲んで元気になりな」
キュリアは物欲しそうにリプリル味の錬金ポーションを指を加えながら見ていたのだが俺は見て見ぬふりをしていた。
錬金ポーションにゆっくりと口を近づけ舌で器用に狐は飲んでいく。
飲み干すと今まであった傷はいつの間にか無くなっていた。
狐はここまでした事で心を許したようであぐらをかいて座っている俺の元へと歩きだし足に乗ってきたのである。
「あぁぁぁぁ!!そこは私の特等席なのですぅぅぅ!!この狐の分際でぇぇぇ!!」
「そんなに怒ること?!俺も一応は狐なんですけど?!後でゆっくりと髪を梳かしてあげるからそれで我慢してくれません?!槍を取り出さないで!!狐さんが怯えてるから直して直して!!」
狐はキュリアに怯えだし俺のローブの中に入り込み泣き叫んでいた。
「キューーーーーン!!!」
「ほらね?!キュリアさんとりあえず槍を直しましょうか?!こんなに怯えて可哀想でしょ?!てか鳴き声…コンって鳴かないの?!」
「キュン…キューン…」
「この…この…このぉぉぉ!女狐がぁぁぁ!!!マスターにスリスリするなんて!穿き丸の餌にしてやるのですぅぅぅ!!スリスリしていいのは私だけなのですぅぅぅぅ!!」
キュリアは白兎を収めるどころか狐に向けて穂先を向けたのだ。
「私で争うのは…やめてぇぇぇぇぇ!!!」
俺の叫びは西の森にこだまするのであった。
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